NMN摂取でアンチエイジング効果は?NAD+をはじめ体内の変化を促進
ポイント
- NMNは、アンチエイジングや生活習慣病予防に関与するNAD+の前駆体である
- NMNを飲むと、血中のNMNとNAD+の濃度が上昇し、健康が改善される可能性がある
- 健康効果と全体的な安全性が示唆された一方、中性脂肪が増える懸念点も確認された
NMN(β-ニコチンアミドモノヌクレオチド)を毎朝飲むと、確かに血液中のNMNが上昇し、食後の血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出やすくなるようだ。若返り効果が注目されるNMNだが、その効果を考える上で参考になりそうだ。2023年5月に大阪大学発ベンチャーのバイユーアナリティカの研究グループが発表した。
NMNを飲むことでもたらされる変化は
ヒフコNEWSでも取り上げているが、NMNは若返り効果が注目され、サプリメントなどの人気が高まっている栄養素。そもそもNMNは、細胞のエネルギー代謝や恒常性、成長のために重要な機能を果たしている。
※もう少し詳しく見ると、NMNはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の前駆体で、NAD+はさまざまな細胞のプロセスに関与している。そのようなプロセスの一つが、SIRT1(サーチュイン1)の活性化によるもの。SIRT1はNAD+を使い、特定のタンパク質からアセチル基を除去する。NAD+はその後、分解されて再びNAD+に戻る。老化や生活習慣病の予防につながる。これが健康を増進する可能性が示されてきた。
老化したり、病気になったりすると、細胞の機能に関連するNAD+をうまく使えなくなる。そこでNMNを補充することが有効と考えられるようになった。実験的には、血糖値を速やかに下げられる効果、有酸素運動能力、身体能力、疲労回復の効果が検証されている。一方で、NMNを飲むことによって体内でどのように分布するのかが完全に解明されていないほか、安全性についての懸念もまだ残っている。
そこで、今回、研究グループは、NMNを毎朝飲むと、NMNやNAD+が実際に血液の中で増えるのかどうかを確かめた。
研究では、健康なボランティア男性7人、女性4人に毎日250mgのNMNを12週間にわたって飲んでもらい、NMNとNAD+の血漿中濃度が測定された。さらに、NMN投与前と投与中の昼食後に血糖値を下げるホルモンであるインスリンの検査を行った。
NMNが体内に変化をもたらす
NMNを飲むことで、NMNとNAD+の血液中の濃度が上昇し、食後のインスリン濃度も上昇したことが確認された。その上昇には個人差があり、有害な症状は観察されず、NMN摂取の安全性が示された。
一方で、中性脂肪が上昇する変化も確認された。
研究グループは今回の観察からNMNの健康やウェルビーイングを改善するNMNのメリットに光を当てるものであると説明している。
NMNは人気のサプリメントではあるが、その効果は検証が進んでおり、まだ不明点もまだ多い。
参考文献
1. Yamane T, Imai M, Bamba T, Uchiyama S. Nicotinamide mononucleotide (NMN) intake increases plasma NMN and insulin levels in healthy subjects. Clin Nutr ESPEN. 2023 Aug;56:83-86. doi: 10.1016/j.clnesp.2023.04.031. Epub 2023 May 5. PMID: 37344088.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37344088/
2. 寿命400歳まで示唆する最新研究、慶應義塾大学の早野元詞氏が解説するアンチエイジングから若返りへの最新トレンド、第111回日本美容外科学会(JSAS)
https://biyouhifuko.com/news/japan/1439/
3. 美容医療の新常識「エピジェネティック・クロック」が教える、あなたの本当の年齢
https://biyouhifuko.com/news/japan/2078/
4. NMNの視力への好影響が示されるも、歩行や握力の改善は認められず、大阪大学の研究
https://biyouhifuko.com/news/research/869/
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