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涙袋のヒアルロン酸注入法、普通の鋭く尖った針と、先端が丸く針自体が柔らかいカニューレではどう違う?

カレンダー2023.4.7 フォルダー最新研究

ポイント

  • ヒアルロン酸注入による涙袋の形成での注入法による有効性と安全性の違いを検証
  • 普通の鋭く尖った針と、先端が丸く針自体が柔らかいカニューレとの間に見た目や安全性の差はなかった
  • いずれの方法でも、内出血や腫れなどの好ましくない症状は2週間以内に治まった

涙袋をふっくらさせる。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 目を大きく見せたい、顔の印象を変えたいという目的から、ヒアルロン酸を目の下まぶたに注射して涙袋をふっくらとさせる施術を定期的に受ける人も少なくない。この施術では、普通の鋭く尖った針と、先端が丸く針自体が柔らかいカニューレという2つのタイプの注入法を選べる場合がある。カニューレを使うときに追加料金を払うこともあるが、実際どれくらい差があるのだろう。海外の研究で2つの入れ方の安全性や結果の違いが分析されており、参考になりそうだ。

カニューレは内出血が少ない?

カニューレは先端が鋭くない。写真は脂肪吸引に使われるもので、ヒアルロン酸注入では極細い物が使われる。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 普通の針は一般的によく見る注射針と変わらない、先端の鋭く尖った、針の先から液体が出てくるものだ。それに対して、カニューレはクリニックなどではマイクロカニューレと説明されていることが多いが、普通の針よりも先端が丸く、針自体が柔らかく、液体が出る口が針の横に開いている。ヒアルロン酸注入においては、カニューレを使った方が内出血が少なくなるというメリットが示されることがあり、カニューレを選ぶと追加料金が必要になることもある。

 今回、UAE(アラブ首長国連邦)大学の研究グループは、涙袋へのヒアルロン酸注入技術とその結果の違いを調べた論文をデータベースから集め、普通の針とカニューレの安全性や見た目の改善効果について分析している。この結果は2022年に、形成外科分野の医学誌であるプラスティック・リコンストラクション・サージェリー誌で報告されている。

 研究では、過去に行われた普通の針について調べた20件の研究、またはカニューレについて同様に調べた12件の研究、特に安全性について調べた10件の研究を集め、それらを分析している。

内出血などの大きな差はないという結論示す

注入法には違いがある?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 論文を比べた結果として、研究グループは普通の針を使ったときとカニューレを使ったときで特に差はないと結論付けている。

 まず施術後の見た目は、普通の針を使った場合も、カニューレを使った場合も涙袋の見た目への効果は100%の割合で認められていた。普通の針を使った研究の方が、結果を示す写真の映りは良い傾向があり、普通の針の方が、涙袋の見た目への効果はより良くなる可能性があったが、研究グループは「統計的に有意な差はない」と説明しており、問題になる差ではないと解釈している。

 安全性は、いずれの方法でも内出血や腫れなどの好ましくない症状が現れることがあったものの、ほとんどの場合、2週間以内に解消した。なお、浮腫や腫れが普通の針では55%に見られたのに対して、カニューレは58%。内出血はそれぞれ40%と33%、赤みは25%と17%、しこりが15%と8%、痛みは10%と17%となっていた。

 注入法によってわずかな差はあるものの、研究グループでは、やはり「統計的に有意な差はない」と説明している。今後、同じような研究がさらに進められるとまた違った結果になる可能性はあるものの、ヒアルロン酸の注入法による効果や安全性を考えるときにどちらの注入法でも差はないと報告されていることは参考にしてよいかもしれない。

参考文献

Rao BK, Berger LE, Reilly C, Alamgir M, Galadari H. Tear Trough Filler Techniques Utilizing Hyaluronic Acid: A Systematic Review. Plast Reconstr Surg. 2022 May 1;149(5):1079-1087. doi: 10.1097/PRS.0000000000008990. Epub 2022 Mar 9. PMID: 35259144.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35259144/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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