肌乾燥の背後にある細胞老化とセラミドの秘密、悪さするSASP、大正製薬が明かす
ポイント
- 肌の老化のメカニズムと細胞の老化との関連について調べた
- 細胞の老化と結合型セラミドの減少がバリア機能低下につながっていた
- 細胞の老化やセラミドの減少を確かめたアプローチが美容を進化させる可能性
2024年1月31日、大正製薬は、年を取るに伴って起こる肌の乾燥が、細胞の老化とセラミドの減少によって起こることを明らかにした。
肌の乾燥のメカニズムとは
ポイント
- 細胞の老化と肌トラブル → 細胞の老化は、体の機能低下だけでなく、肌の老化にも関係していて、たるみやシワ、乾燥などの肌トラブルを引き起こす。
- SASPの影響 → 老化細胞から放出されるSASP(細胞老化関連分泌形質)という物質が、周囲の細胞の老化を促し、悪循環を生じさせる。
- 大正製薬の研究焦点 → 大正製薬は、肌の最も外側の層である表皮の細胞老化に着目し、この問題の解明を目指して研究を進めた。
- 3次元の老化表皮モデルの開発と利用 → 研究チームは、老化した細胞を含む「3次元の老化表皮モデル」を開発し、このモデルを使って肌のバリア機能の変化を詳しく評価した。
細胞の老化は体の多くの機能低下に関わるが、肌の老化でも同じように起こる。それはたるみやシワ、乾燥などのトラブルにつながる。
大正製薬によると、老化細胞からはSASP(細胞老化関連分泌形質)と呼ばれる物質が放出されるという。これによって、周囲の細胞も老化を促進される悪循環が生じる。
大正製薬はこの問題に着目し、特に表皮にある細胞の老化という肌の最も外側にある層に発生する現象に焦点を当てた。
このプロセスを深く理解するため、研究チームは老化した細胞を含む「3次元の老化表皮モデル」を開発した。このモデルを使い、肌のバリア機能に生じる変化を詳細に評価した。
細胞の老化とセラミドの減少がリンク
ポイント
- 細胞の老化と肌のバリア機能 → 細胞の老化により、結合型セラミドが減少し、これが肌のバリア機能の低下に大きく影響している。
- 結合型セラミドの役割 → 結合型セラミドは、肌を外部の刺激から保護するために必要なセラミドで、角層細胞間脂質と角層細胞をつなぎとめる重要な役割を持っている。
- セラミド減少の影響 → このセラミドの減少は、加齢に伴う肌の乾燥や老化に重要な影響を与えていることが明らかになった。
- スキンケアへの応用 → この発見は、加齢による肌の乾燥や老化への新しい対策として、結合型セラミドを活用したスキンケア製品の開発などにつながる可能性がある。
こうして判明したのは、細胞の老化により結合型セラミドが減少し、それが肌のバリア機能の低下につながっていること。結合型セラミドは、「角層細胞間脂質と角層細胞を結びつけるバリア機能に必須のセラミド」(大正製薬)。これは外部の刺激から保護する役割を担っている。このセラミドの減少が、加齢に伴う肌の乾燥においても重要な役割を果たしていると示された。
今回の発見から、加齢による肌の乾燥や老化に対する新しいスキンケアの開発にもつながる可能性があるようだ。結合型セラミドを使い、肌の乾燥を防ぐというのが理にかなっているといえる。
最近ではセラミドが逆に老化症状を防ぐという研究結果も報告されている。こうした発見から美容医療はさらに進化していく可能性がある。
参考文献
細胞老化が肌のバリア機能に重要な結合型セラミドを減少させる新知見~加齢による肌の乾燥メカニズム~
https://www.taisho.co.jp/company/news/2024/20240131001492.html
バリア機能だけではない、セラミドが肌老化を遅らせる効果を示す
https://biyouhifuko.com/news/research/2384/
なぜシワやたるみが現れる?肌の老化プロセスに光、コーセーが真皮の変化を明らかに
https://biyouhifuko.com/news/research/4128/
紫外線、熱、肌トラブル、富士フイルムの新たな発見
https://biyouhifuko.com/news/research/4143/
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