断食を模倣した「FMD(Fasting-mimicking diet)」という食事法が、人の老化を遅らせ、若返りの効果を持つかもしれない。2024年2月、米国南カリフォルニア大学(USC)レナードデービス老年学スクールの研究グループが報告した。
断食を模倣したダイエットの効果を確かめた
USCレナードデービス老年学スクールのヴォルター・ロンゴ教授により開発されたFMDは、5日間続け、その後約25日間は通常の食事に戻るというサイクルを繰り返す。この方法は、水だけで断食することの利点に着目しつつ、必要な栄養素も摂れるように設計していることが特徴となっている。FMDの食事は、植物ベースのスープ、エネルギーバー、エネルギードリンク、チップスナック、お茶が5日間分配され、ミネラル、ビタミン、必須脂肪酸を豊富に含むサプリメントが提供される。魚やナッツに多い不飽和脂肪酸を多く含みつつ、カロリーやタンパク質、炭水化物を抑えた食事内容としている。
過去の研究で、FMDを定期的に行うことで、体の幹細胞を元気にする、薬の副作用を少なくする、マウスの認知症のサインを減らす、人間のがんや糖尿病など加齢によって起こりやすい病気のリスクを下げることにつながると示されているという。
今回、USCの研究グループは、2つのFMDの効果を確かめる研究を実施した。最初の試験では、健康な成人が参加し、FMDを3回のサイクルを実施。また、2番目の試験では、FMDと地中海ダイエットの効果が比較された。FMDを4回のサイクル実施した。
臨床試験におけるFMDの影響
FMDに参加した人たちは、生物学的に平均で2.5年若返ったと統計的に示された。生物学的年齢とは、実際の年齢とは別に、体の健康状態を年齢で表したもの。FMDによって健康が改善され、より若々しくなったことが分かる結果だ。3,4カ月でこれだけの効果が表れたといえるのだろう。
2つの臨床試験を通じて確認されたことは具体的には、糖尿病になるリスクが下がり、インスリンの効き方が良くなったことがある。さらに、MRIを使って調べた結果、おなか周りの脂肪と肝臓の脂肪が減っていることが確認された。その上、FMDを行うことで、若い免疫系の特徴である「リンパ球」の比率が増えていた。
美容にとって食事の配慮は欠かせないが、最新の研究では次々と新しい発見がなされている。日常の生活にそのエッセンスを取り入れることは、より良い生活につながっていくかもしれない。