植物から採取されたフラボノイドを含むガムが、創傷治癒を効果的に促進することが確認された。日本でも一般的な食品に含まれるフラボノイドの効果を考えると、参考にされるかもしれない。
ヨルダンなどの研究グループが2024年8月に美容皮膚科の医学誌で発表した。
植物性のフラボノイドに注目
今回の研究で注目されたのは、植物から抽出されるフラボノイドを含むガムの持つ酸化ストレスの抑制効果。ドレマ・アウケリは中東地域周辺に自生する植物。この植物からは樹脂が分泌され、ガムとして使用されている。このガムの効果が注目された。
フラボノイドはポリフェノールの一種。フラボノイドにはさまざまな成分が含まれている。フラボノイドは日本でも非常に身近な成分で、これらの食品を日常的に摂取することで、体内の抗酸化機能を高め、日々の健康維持に役立つとされている。例えば、お茶に含まれているとされるカテキンもフラボノイドの一種として知られている。
フラボノイドは、傷口周辺で発生する酸化ストレスを軽減し、組織のダメージを防ぐことができると考えられている。また、フラボノイドは炎症を抑制する作用も持ち、痛みや腫れなどの症状を和らげることができるとも考えられている。このような特性により、皮膚の再生が促進され、傷口が早く癒えると考えられた。
そこで、今回研究グループはこのガムに含まれるフラボノイドが、傷の治りをよくするのではないかと考え検証した。ネズミの仲間であるラットにガムを与えて、傷口の治癒速度が調べられた。
お茶や柑橘類などに豊富に含まれる
今回の研究で確認されたのは、フラボノイドを与えることで傷口の治癒速度が高まることだ。
具体的には、治癒に伴う収縮率が向上。組織を見ると、傷口が治っている途中の組織には、線維芽細胞の形成が増加し、コラーゲンの沈着が促進され、炎症細胞が著しく減少していた。こうした特徴から傷口の治癒が促されていると判断された。
今回の研究結果を踏まえると、フラボノイドを多く含む食品が、創傷治癒や皮膚の健康維持にも寄与する可能性が示され、今後の研究に期待が高まる。また今回の研究では、ガムだからこそ効果が出たという形態は特に問題になっておらず、他の形でもフラボノイドを摂取する意味はあるものと考えられる。フラボノイドは、日本でも非常に身近な成分であり、例えば緑茶、柑橘類(特にみかんやレモン)、ブドウ、そば、赤ワイン、チョコレートなど、さまざまな食品に含まれている。
ヒフコNEWSで伝えているが、美肌につながる食材として、フラボノイドを含む食品が注目されている。美容医療を受けたときには傷は大きな問題になる。その観点からも、フラボノイドを取り入れることに注目してみる価値があるだろう。