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2023年発表の試験結果に基づく「レヌビオン」の効果、FDAが首やあご下のたるみに適応拡大、施術の動画や写真も

カレンダー2024.8.16 フォルダー最新研究

 レヌビオン(Renuvion)という美容施術についてヒフコNEWSで紹介したが、2022年7月に米国食品医薬品局(FDA)により首やあご下のたるみを改善するために適応拡大を認められた。

 有効性や安全性を確かめた試験が2023年3月に論文発表されている。そこには施術中の動画や写真が含まれ、施術を受けた約8割が180日後にたるみの改善を実感したと報告された。

レヌビオンの有効性や安全性とは

カニューレからプラズマになったヘリウムガスが出て、それにより限られた部位を85度ほどに加熱する。(写真/アフィックス・メディカル)

カニューレからプラズマになったヘリウムガスが出て、それにより限られた部位を85度ほどに加熱する。(写真/アフィックス・メディカル)

 レヌビオンは日本では承認された施術ではないが、米国では2019年10月に組織を切ったり固めたりする目的で認可されたが、22年7月から首やあご下のたるみ改善に使用することが認められた。

 既にヒフコNEWSで書いたように、レヌビオンは独特なメカニズムで組織の圧縮と引き締めの効果を示す。皮下に挿入したカニューレ(管)から高周波でプラズマになったヘリウムガスを放出し、これにより組織の特定の部位を約85度に加熱する。これにより、周囲に熱が広がらず、短時間でかつ安全に効果を発揮すると考えられている。

 この承認を得るための臨床試験が論文発表されており、それによると首とあご下のたるみがある65人の男女を対象に安全性と効果が評価された。

 その施術中の動画が論文で示されている。動画は次のような形でリンク先から確認することができる。

レヌビオン施術中の動画。(写真/Aesthet Surg J . 2023;43:1174-1188.)

レヌビオン施術中の動画。(写真/Aesthet Surg J . 2023;43:1174-1188.)

Ruff PG, Bharti G, Hunstad J, Kortesis B, DiBernardo B, Gentile R, Cohen S, Martinez A, Shridharani SM. Safety and Efficacy of Renuvion Helium Plasma to Improve the Appearance of Loose Skin in the Neck and Submental Region. Aesthet Surg J. 2023 Sep 14;43(10):1174-1188. doi: 10.1093/asj/sjad055. PMID: 36883611; PMCID: PMC10702463.
https://academic.oup.com/asj/article/43/10/1174/7072381?login=false

首やあご下のたるみを改善

 試験結果としては、施術を受けた人のうち82.5%が180日後にたるみの改善を実感していた。96.9%の患者が軽度以下の痛みを報告し、副作用は軽度にとどまった。この結果は、FDAによる適応拡大の審査で重要なデータとなり、2022年7月に正式な承認が得るに至った。

 論文では写真も提示されているので確認できる。それぞれ左の写真は施術前、右の写真は施術後となっている。

レヌビオン施術前(左)と施術後(右)。(写真/Aesthet Surg J
. 2023;43:1174-1188.)

レヌビオン施術前(左)と施術後(右)。(写真/Aesthet Surg J
. 2023;43:1174-1188.)

レヌビオン施術前(左)と施術後(右)。(写真/Aesthet Surg J
. 2023;43:1174-1188.)

レヌビオン施術前(左)と施術後(右)。(写真/Aesthet Surg J
. 2023;43:1174-1188.)

レヌビオン施術前(左)と施術後(右)。(写真/Aesthet Surg J
. 2023;43:1174-1188.)

レヌビオン施術前(左)と施術後(右)。(写真/Aesthet Surg J
. 2023;43:1174-1188.)

レヌビオン施術前(左)と施術後(右)。(写真/Aesthet Surg J
. 2023;43:1174-1188.)

レヌビオン施術前(左)と施術後(右)。(写真/Aesthet Surg J
. 2023;43:1174-1188.)

 有害事象は次のようにまとめられている。有害事象は、施術に直接関係しなくても有害になった出来事が記録されるものだ。これを見ると、すべてがレヌビオンと直接関連しているとは限らないが、さまざまな問題が発生する可能性があることが分かる。美容医療では、安全性の課題が存在することを理解することが重要だ。

副作用 割合
一時的な運動神経の変化(神経の衰弱、筋萎縮、けいれん、まひを含む) 6.2%
感覚神経の変化に関連しないかゆみ 6.2%
血腫 4.6%
表皮剥離/水疱 1.5%
皮下硬結 3.1%
インフルエンザ様症状などの全身症状 3.1%
膿瘍/感染症 1.5%
ガスの蓄積 1.5%
瘢痕 1.5%
その他:
– 耳痛
– 下部消化管出血/胃潰瘍/腹部ヘルニア
– 急性虫垂炎
– 腎結石
– 交通事故による左上まぶたと眉の神経まひ
– 交通事故による左頬と眉の擦り傷
9.2%

 首やあご下のたるみ改善は、他の方法があるが、国内では脂肪吸引にしても、熱を使った施術にしてもトラブルが報告されている。レヌビオンの有効性や安全性についてはさらに検証が必要だが、安全性が高ければ利用価値がある可能性もある。

参考文献

Ruff PG, Bharti G, Hunstad J, Kortesis B, DiBernardo B, Gentile R, Cohen S, Martinez A, Shridharani SM. Safety and Efficacy of Renuvion Helium Plasma to Improve the Appearance of Loose Skin in the Neck and Submental Region. Aesthet Surg J. 2023 Sep 14;43(10):1174-1188. doi: 10.1093/asj/sjad055. PMID: 36883611; PMCID: PMC10702463.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36883611/

首などのたるみ改善する新技術「レヌビオン」、脂肪など圧縮し引き締め、高周波とヘリウムガスで限られた部位を0.5秒だけ加熱、米国形成外科学会が特徴を解説
https://biyouhifuko.com/news/world/8671/

脂肪吸引の進化、筋肉際立たせる新施術、安全性向上にAIも使う、南米と米国の美容外科医が最新情報、第112回日本美容外科学会(JSAS)開催
https://biyouhifuko.com/news/japan/7604/

効果的な毛穴引き締め実現?ウルセラとヒアルロン酸注入組み合わせを検証
https://biyouhifuko.com/news/research/650/

あご下の脂肪吸引のリスク、死亡事故にもつながる「血腫」なぜ窒息を起こすのか?ブラジルの医師らの報告
https://biyouhifuko.com/news/research/6533/

大阪市内美容クリニック施術で都内在住医師を書類送検、脂肪吸引による死亡事故、大阪府警
https://biyouhifuko.com/news/japan/5753/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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