吸収性スレッドを使用した非外科的な隆鼻術が、美容医療の分野で一部の関心を集めている。この技術は、従来の鼻整形手術に比べ、体に大きな負担をかけずに実施できるとされ、加えて回復が早い点も特徴である。その安全性や長期的な効果については、十分なデータが揃っていないのが現状だ。
2024年8月、香港と韓国の研究グループが美容皮膚科の医学誌に2人の女性の成功例を報告した。この報告は、非外科的隆鼻術の有効性を示すものであるが、同時にさらなる研究の必要性も指摘されている。
非外科的鼻形成術の新たな選択肢か?
美容医療の分野では、手術を伴わない非外科的な治療が増加しており、隆鼻術においてもフィラーや吸収性スレッドを使用する方法が実施されている。今回の研究で紹介されたポリジオキサノン(PDO)素材の吸収性スレッドを用いた隆鼻術は、体に負担をかけない方法として注目されている。
この研究では、26歳と33歳の女性に対し、異なるスレッドを使用した非外科的鼻形成術が実施された。1人目のケースでは、ボリューマイジングスレッドを使用して鼻筋を通す施術が行われた。ボリューマイジングスレッドは、鼻組織を支え、ボリュームを増やすために形が工夫されており、鼻筋や鼻先(鼻橋や鼻尖)を自然に持ち上げる効果がある。
2人目のケースでは、コグ付きスレッドを用いて鼻先と鼻筋の左右(鼻尖および鼻翼基部)の形状を整えた。コグ付きスレッドは、先端に小さな突起が付いており、皮膚や組織にしっかりと固定されることで、鼻の形を直ちに整える効果がある。このスレッドは特に、鼻の先端を持ち上げる効果があり、広がった鼻翼を縮小する目的で使用された。
日本では似た無資格施術で重大な事故
研究の結果、吸収性スレッドは自然な形で鼻の輪郭や形状を改善する効果が確認された。次のような効果が写真で示されている。
研究グループはこの技術に対する評価を行いながらも、スレッドの移動や皮膚感染といった潜在的なリスクが残ることに言及している。施術に伴う合併症が発生しなかった点は評価できるが、長期的な安全性に関するデータが不足しているため、さらなる研究が求められる。
また、スレッドの繰り返し使用による過剰な施術は、線維組織の形成などの問題を引き起こす可能性があるとされている。これらの結果は、年に一度の施術が推奨される一方で、長期的な安全性と効果を評価するためのさらなる調査が必要と示されている。
さらに、日本では無資格者が行った糸を使った隆鼻術で重大な事故が発生しており、施術には高い技術と専門知識が求められる。
施術を受ける際には、資格を持った医師が行う安全な施術であるかどうかを十分に確認することが極めて重要だ。