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クマ取り手術の合併症発生率は約1割の研究報告、不満や内出血などのリスクには注意、中国の研究が4671人のデータを分析

カレンダー2024.10.16 フォルダー最新研究
目の下のたるみや深く刻まれた溝を解消する施術。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

目の下のたるみや深く刻まれた溝を解消する施術。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 いわゆる「クマ取り」の施術は、美容外科の分野で広く行われ、目の下のたるみや深く刻まれたシワを改善するために行われている。これらの手術に伴う合併症が問題になることがあるが、どれくらいの頻度で起こるのかというデータが明らかにされている。

 2024年9月、中国の研究グループが4671人の患者を対象にした33の研究を基に分析し、クマ取り手術に伴う合併症の発生率を報告したものだ。

結果の不満、内出血や腫れなどが問題に

いわゆる「クマ取り」の施術では合併症が起こるケースもある。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

いわゆる「クマ取り」の施術では合併症が起こるケースもある。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 日本でもクマ取り手術に対する相談やトラブルが多いことが、国が開催している「美容医療の適切な実施に関する検討会」で報告されている。

 今回の中国の研究によれば、クマ取り手術における主な合併症の発生率は次の通りであると分かった。

合併症 発生率
全体の合併症率 11.2%
施術の結果の不満 6.2%
血腫、腫れ、出血 6.2%
再手術の必要性 2.4%

 このデータから、クマ取り手術では約1割の患者が何らかの合併症を経験していることが分かる。結果に満足できなかったり、内出血や腫れなどの問題が起こったりするケースが少なくない。再手術が必要となるケースも2.4%ある。

クマ取りの後にあっかんべえになる変形も

日本の美容施術の相談の中で目やまぶたに関連する相談は少なくない。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

日本の美容施術の相談の中で目やまぶたに関連する相談は少なくない。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 前述のように、日本の美容医療現場でもクマ取りに関連したトラブルが多数報告されている。

 2024年6月に開催された厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」で、日本美容医療協会が提供したデータが紹介された。それによると、約3週間で149件の相談が寄せられ、最も多い相談内容は「目・まぶた」に関連するものだった。相談件数は32件と、全体の約20%を占めており、この中にクマ取り手術が含まれていた。

 協会によれば、クマ取り後に、目があっかんべーのような形でめくれる変形を起こした合併症が報告されている。相談内容は合併症ばかりか、説明や金銭的なトラブルもある。

 今回は中国の研究グループが世界の論文を分析したものなので、日本と状況は異なる可能性があるものの、日本でも参考になる部分はあるだろう。

参考文献

Xu Z, Zheng F, Zhao X, Wang S, Wang R, He J, Gan F. Complications of Fat Grafting and Repositioning for Correction of Lower Eyelid Pouch With Tear Trough Deformity or Lid-Cheek Junction: A Systematic Review. Ann Plast Surg. 2024 Sep 1;93(3):e9-e25. doi: 10.1097/SAP.0000000000004022. PMID: 39158343.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39158343/

美容医療の疑問やトラブルの相談、最も多いのは「目・まぶた」、厚労省検討会で示された6月3週間の相談内容、日本美容医療協会が情報を提供
https://biyouhifuko.com/news/japan/8367/

顔の脂肪注入やクマ取りで不安を感じる声も、美容医療トラブルの増加が顕著、東京都消費生活総合センターが6月のデータを公表
https://biyouhifuko.com/news/japan/9071/

美容医療「ぼったくり商法」数万円のはずが100万円超え、被害者泣き寝入りし他院で修正手術、国民生活センターが注意喚起
https://biyouhifuko.com/news/japan/6863/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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