いわゆる「クマ取り」の施術は、美容外科の分野で広く行われ、目の下のたるみや深く刻まれたシワを改善するために行われている。これらの手術に伴う合併症が問題になることがあるが、どれくらいの頻度で起こるのかというデータが明らかにされている。
2024年9月、中国の研究グループが4671人の患者を対象にした33の研究を基に分析し、クマ取り手術に伴う合併症の発生率を報告したものだ。
結果の不満、内出血や腫れなどが問題に
日本でもクマ取り手術に対する相談やトラブルが多いことが、国が開催している「美容医療の適切な実施に関する検討会」で報告されている。
今回の中国の研究によれば、クマ取り手術における主な合併症の発生率は次の通りであると分かった。
合併症 | 発生率 |
---|---|
全体の合併症率 | 11.2% |
施術の結果の不満 | 6.2% |
血腫、腫れ、出血 | 6.2% |
再手術の必要性 | 2.4% |
このデータから、クマ取り手術では約1割の患者が何らかの合併症を経験していることが分かる。結果に満足できなかったり、内出血や腫れなどの問題が起こったりするケースが少なくない。再手術が必要となるケースも2.4%ある。
クマ取りの後にあっかんべえになる変形も
前述のように、日本の美容医療現場でもクマ取りに関連したトラブルが多数報告されている。
2024年6月に開催された厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」で、日本美容医療協会が提供したデータが紹介された。それによると、約3週間で149件の相談が寄せられ、最も多い相談内容は「目・まぶた」に関連するものだった。相談件数は32件と、全体の約20%を占めており、この中にクマ取り手術が含まれていた。
協会によれば、クマ取り後に、目があっかんべーのような形でめくれる変形を起こした合併症が報告されている。相談内容は合併症ばかりか、説明や金銭的なトラブルもある。
今回は中国の研究グループが世界の論文を分析したものなので、日本と状況は異なる可能性があるものの、日本でも参考になる部分はあるだろう。