韓国でGLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1薬)の肥満治療薬を中心とする違法な医薬品のオンライン販売に対し、359件の摘発が行われた。
韓国食品医薬品安全処(MFDS)が2024年11月21日に発表した。
韓国の取り締まりとGLP-1薬の問題
- 韓国MFDSの取り締まり→2024年10月15日から11月14日にかけて、GLP-1薬を含む医薬品の違法オンライン販売を集中取り締まり
- 摘発件数→359件の違法行為が摘発され、その42%が「ウゴービ(セマグルチド)」や「サクセンダ(リラグルチド)」などのGLP-1薬に関連
- 日本でのオンライン診療問題→2020年、GLP-1薬がダイエット目的で不適切に使用され、オンライン診療による美容医療サービスが問題視された
MFDSは、24年10月15日から11月14日にかけて、GLP-1薬を含む医薬品の違法オンライン販売を集中取り締まった。
その結果、359件の違法行為が摘発され、特に「ウゴービ(一般名セマグルチド)」や「サクセンダ(同リラグルチド)」などGLP-1薬が全体の42%を占めていた。これらは医師の処方が必要な医薬品で、適正な使用が求められるにもかかわらず、違法オンライン販売が横行していたという。
MFDSによると、摘発されたケースには、販売サイトのリンク紹介やチャットアカウントの案内、個人間取引、直接販売などが含まれた。同局は、不正に販売された医薬品は偽造品や汚染品である可能性が指摘されており、安全性が保証されないと指摘。医師の指導を受けた適切な使用を求めている。
日本でも20年、オンライン診療を利用した美容医療サービスが問題視され、GLP-1薬がダイエット目的で不適切な使用が報告された。国民生活センターや医療関連団体は、医療広告をそのまま信じず、契約前に慎重な検討を求めた。
オンラインでの処方では、利用者の健康を十分に考慮しないまま販売されることがあるため、不適切な使用につながる恐れがある。解約を拒否されるなどの経済的なトラブルも発生している。
日本でもオンライン薬販売には警告
- GLP-1薬の問題→ダイエット目的での使用が世界的に急増し、本来治療を必要とする糖尿病患者が使用できなくなる問題が発生
- WHOの警告→2024年6月、WHOがGLP-1薬の偽造品流通について警告
- オンライン販売の問題→医師の関与がないケースが指摘され、「美容医療の適切な実施に関する検討会」でも問題視されている
GLP-1薬をめぐっては、その後もダイエット目的での使用が世界的に急増し、本来治療を必要とする糖尿病患者が使用できなくなるという問題も起きている。24年1月には厚生労働省がダイエット目的の使用に注意を促す通知を出した。
さらに、GLP-1薬は吐き気などの胃腸系の副作用が報告されている。また、視力低下の重大なリスクが指摘されているほか、胆道がんリスクの増加が指摘されている。また、低血糖を引き起こす可能性がある。病気ではない人が安易に使用することは避けるべきだ。
24年6月にはWHO(世界保健機関)が偽造品が出回っていることについて警告を発している。同月、販売元の一つである米国イーライリリーが不適切な使用に警告を発した。
オンライン販売では、医師の関与がないケースが指摘されており、「美容医療の適切な実施に関する検討会」でも問題視されている。今後、オンライン診療のルールも厳しくなる見通しだ。
様々なトラブルが発生する中で、日本で再び注目される可能性もある。