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タトゥーインクの安全性に米国で注意喚起、汚染や成分不明などの健康のリスクに懸念、食品医薬品局(FDA)が注意すべきポイントを公表

カレンダー2024.12.18 フォルダー 海外
タトゥーの身体への影響は無視できない。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

タトゥーの身体への影響は無視できない。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 米国食品医薬品局(FDA)は2024年12月17日、タトゥーインクの安全性に関する注意喚起を公開した。

 タトゥーの普及が進む一方で、インクの汚染や成分が不明であることによる健康リスクが課題になっている。

 美容医療、アートメイクとも関連し、気を付けると良さそうだ。

インクの安全性は大丈夫?

インクの出所がよく分からないこともある。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

インクの出所がよく分からないこともある。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • タトゥーの普及→ 米国では人口の約30%、18~34歳では約40%がタトゥーを入れている。
  • 安全性の懸念→ 汚染インクによる感染症やアレルギー反応の報告が多数あり。
  • 主な原因→ 殺菌処理されていない水で顔料を希釈することによるケースが多い。
  • インク成分の問題→ プリンター用トナーや車用塗料に使用される顔料が含まれることも。

 米国ではタトゥーはますます一般的なものとなっている。全人口の約30%が少なくとも1つのタトゥーを入れており、特に18~34歳では、約40%がタトゥーを入れているというデータがある。タトゥーは個人の表現手段などとして広がるが、安全性についての懸念も出ている。

 FDAによると、米国ではタトゥー行為は州や地方自治体が管理し、タトゥーのためのインクや顔料はFDAによって「化粧品」として監督されている。しかし、FDAはこれまでに汚染インクが原因となる感染症や、アレルギー反応の報告を多数受け取っているという。

 FDAは、未開封のインクでさえ細菌や微生物を含む可能性があると指摘する。主な原因は、殺菌処理されていない水で顔料を希釈するため。さらに、タトゥーインクの成分には、プリンター用トナーや車用塗料に使われる顔料が含まれることもある。

 FDAは、皮膚への注入を前提とした顔料を承認しておらず、長期的な影響については未解明な部分が多いと指摘している。自分でタトゥーをするキットについては感染リスクが高く、消費者が適切に管理することは難しいと説明している。

起こり得るトラブルと健康リスク

タトゥーによるアレルギー。(出典/米国食品医薬品局)

タトゥーによるアレルギー。(出典/米国食品医薬品局)

 タトゥー後には、さまざまな反応や健康リスクが報告されている。FDAは、代表的なトラブルを説明する。

  • 一般的な反応: 皮膚の赤み、腫れ、熱感が発生することがある。適切なケアを行えば通常は治癒する。
  • 感染症: 発熱や治癒不全が見られる場合、細菌感染が疑われる。重度の場合は、長期間の抗生物質治療や手術が必要となることもある。
  • アレルギー反応: タトゥーインクが原因で発疹や腫れが起こり、症状が続くこともある。
  • 傷跡が残る: 異物に反応して、ケロイドや肉芽腫が生じるリスクがある。特に体質的にケロイドができやすい人は注意が必要。
  • MRIでの反応: まれにMRI検査を受けた際に腫れや熱感が発生することがあるが、ほとんどは一時的。

 長期的な健康リスクについては未解明な点が多いが、FDAは想定される影響について次のような点を挙げる。

  • 成分や汚染物質の影響: タトゥーインクに含まれる顔料や汚染物質が、長期的に人体へ与える影響は未解明とされている。
  • アレルギー誘発の可能性: タトゥーインクに含まれるPPD(パラフェニレンジアミン)によって、ヘアカラー製品などに対するアレルギーを発症する可能性がある。
  • タトゥー除去の問題: レーザー治療で顔料が分解される際の人体への影響も未解明で、除去後に傷跡が残ることや完全に除去できない場合もある。

 FDAは、今回の注意喚起を通じてタトゥーの安全性について改めて警鐘を鳴らしている。万が一、感染やアレルギー反応などの異常が見られた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要。その際に使用したインクのブランドや色、ロット番号などの情報を確認し報告することが、原因の特定や対策に役立つ。また、インク製造者や流通業者に対しても、汚染を防ぐためのガイダンスが示され、タトゥーインクの安全性向上への取り組みが求められている。

 日本国内でも、タトゥーを検討している人はこうしたリスクを理解した上で、信頼できる施術者やインクを選ぶとよいのだろう。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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