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米国皮膚科学会が注意喚起、ニキビ薬に広く使われる成分が発がん性物質に変化する可能性、過酸化ベンゾイルが分解してベンゼンに、FDA調査に基づいて自主回収も

カレンダー2025.3.27 フォルダー 海外
薬に関連して注意喚起。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

薬に関連して注意喚起。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 ニキビ薬として使われる成分が有毒な物質に変化する可能性があることから注意が必要だ。

 2025年3月24日、米国皮膚科学会は、市販されている過酸化ベンゾイルと呼ばれる成分を含むニキビ薬について、一部が発がん性のあるベンゼンに変化する可能性があるとして注意喚起した。

安全性に関して懸念

米国食品医薬品局(FDA)。(写真/Adobe Stock)

米国食品医薬品局(FDA)。(写真/Adobe Stock)

 ニキビ薬の有効成分として知られる過酸化ベンゾイルは、抗菌作用や角質除去効果があるため、米国では一般用医薬品として長年にわたって広く使用されている。一部の調査により、この成分が特定の条件下で分解して、発がん性の物質であるベンゼンが作られる可能性があることが明らかになった。

 同学会によると、米国食品医薬品局(FDA)は、過酸化ベンゾイルを含む95製品を対象に調査を実施した。その結果、90%以上の製品に含まれるベンゼンは検出限界未満または極めて低濃度であったが、一部製品からは許容範囲を超えるベンゼンが検出された。結果として、自主回収が行われた。これは限定的な製品に限られているため、FDAは、一般の消費者にとっては現段階で特別な措置は不要であると説明している。

 学会では、過酸化ベンゾイルを含む製品の安全な使用法として、室温以下での保管、10~12週間ごとの製品交換、25.5度を超える高温環境での保管や使用を避けることを推奨している。万が一、該当製品が手元にあっても、直ちに健康被害が生じる恐れはないという。

発がん性が懸念されるベンゼンとは

健康被害。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

健康被害。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 今回注目されたベンゼンは、工業用途をはじめとする幅広い分野で使用されている化学物質で、強い毒性を持つことでも知られている。厚生労働省によれば、ベンゼンは皮膚や目への刺激性に加え、長期間にわたり身体にさらされた状態となると、中枢神経系や造血機能に障害を及ぼす恐れがあるとされている。また、人間への発がん性を示すとされる。

 日本では、過酸化ベンゾイルを含むニキビ薬は市販されていないが、医師による処方薬には含まれているものがある。一方で、インターネット上では、同成分を含む製品が販売されている。

 今回の注意喚起を踏まえると、同成分には有害なベンゼンに変化する可能性がある。そのため、学会の指摘の通り、温かい環境で保存されている場合には注意が必要である。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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