
顔全体を見て施術の組み合わせを計画。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
ヒアルロン酸製剤などを製造販売するアラガン・エステティックス(以下、アラガン)から、美容医療の治療計画を立てる技術として、「AA Signature(AAシグニチャー)」が提案されている。
同社が2025年1月以降に美容医療関連のIMCASやAMWCの国際会議などで報告されたもので、AAというのはアラガン・エステティックスの略称。
同社は美容医療で製剤を提供する、国際的に見ても規模の大きい企業であり、国内の美容医療にも影響を与える可能性が考えられる。
このプログラムはアラガンによるものだが、美容医療の安全性と有効性が重要視される中でガイドラインがますます必要とされている。
「AA Signature」とは何か?

最適な施術は?画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- AA Signatureの基本方針→ 「引き上げ(Lift)」「輪郭形成(Definition)」「肌質改善(Skin Quality)」の3つの観点から、個人の状態に合わせた多角的な施術を計画。
- ガイドラインによる標準化→ 注入位置や量、複数の施術の組み合わせを一貫性ある形で提案できるようにし、安全性や治療効果の向上を目指す。
- ホリスティックな美容医療→ フィラーやボツリヌス製剤、スキンケア製品などを活用し、全体の印象を整える包括的なアプローチが重視されている。
美容医療の施術には、注入系や照射系などがあり、施術の方法にはさまざまな選択肢がある。シワやたるみの改善など目的に合わせて、医師が施術を選択し、組み合わせる。
アラガンはこれまでにもヒアルロン酸注入技術である「MDコード(MD Codes)」を通じてヒアルロン酸注入の標準化を進めてきた。これは日本国内のクリニックでも広がっており、注入位置や量を明確にしたガイドラインとされるが、AA Signatureではさらにボツリヌス製剤やボディコントゥアリング、スキンケア製品など、多多角的に顔の印象を整えることを目的とした提案だ。
AA Signatureによれば、顔に対する施術をどう選ぶかというと、顔のたるみの引き上げ(Lift)、いわゆるシュッとした顔の輪郭(Definition)、滑らかでしっとりした肌質(Skin Quality)の3つの観点に基づいて施術を選択する。これらのポイントに関連した課題を見極めて、施術を受ける個人に合わせ、フィラーやボツリヌス製剤などから必要な施術を施す。
例えば、下がり気味の頬を引き上げるヒアルロン酸注入+ボツリヌス製剤によるフェイスラインの補正などが、医師により計画的に行われる。複数の施術を同時に行うケース自体は珍しくないが、施術部位や手法を標準化したガイドラインが公表されることにより、より一貫性のある提案や安全管理が期待される。同社によると、9割の人が複数の部位を同時にケアできる施術に興味を持つという。同社は、「ホリスティック(holistic、包括的)」な施術やコンサルテーションと表現している。
安全性や有効性におけるガイドラインの重要性

3つの観点で美容施術の必要性をとらえる。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 多角的治療指針の広がり→ AA Signatureのような治療計画は、美容施術の品質向上に寄与する可能性があり、今後クリニックに広がることが期待される。
- カウンセリングの重要性→ 多角的施術は費用やダウンタイムが増す可能性があるため、個人に合わせた丁寧な説明が不可欠。
- エビデンスと公的ガイドラインの必要性→ メーカー主導の指針には限界もあり、美容医療全体の質を高めるためには公的なガイドラインの整備とエビデンスの蓄積が重要。
このような注入技術や治療計画のプログラムは、一般にはあまり知られることがない可能性があるが、美容クリニックでの施術の提案に影響を与える可能性はありそうだ。
当然、こうした提案は、メーカーやクリニックの収益につながる可能性があるが、結果として、美容施術の品質が向上するのであれば望ましい。AA Signatureは、多角的に顔の悩みにアプローチするための新しい指針として注目される。今後、このような考え方が美容クリニックに広がる可能性がある。美容施術の安全性と有効性につながる指針は重要で、今後、それぞれのクリニックがさらなる工夫を加え、より良い施術を実現できるか注目される。
一方で、多角的な施術は費用が増す可能性があり、ダウンタイムやリスクにも個人差があるため、カウンセリングの重要性が増すことも見逃せない。
また、ガイドラインの普及には、施術の安全性や有効性を支えるエビデンスの蓄積と、専門家による評価が前提となる。今回のようなメーカー発の指針も注目されるが、メーカーの指針は、それぞれのメーカーが扱う製品に関連する内容にとどまる可能性がある。折しも、美容医療の合併症や後遺症といったトラブルが大きな注目を集めている。美容医療全体の質を高めるためには、公的なガイドラインのさらなる充実も必要となる。
施術を受ける本人もカウンセリングで納得のいくまで確認することが大切だ。美容医療をより安心安全に受けられる環境が整うことが期待される。