「求める理想像に変化 SNS上の加工画像が『なりたい顔』」
ポイント
- Zoomブームで自分を見つめる時間が増え、美意識が変化
- SNSで加工された画像が “なりたい顔”になる傾向が見られる
- 一方でありのままの姿を見せて共感を得るインフルエンサーが登場し始める
昨年12月、アラガン・ジャパン株式会社は、世界の美容医療専門医15人への取材をもとに、グローバルトレンドを独自にまとめたレポート「FUTURE of AESTHETICS 2022」、全編を公開。近年の美容トレンドが見えてきた。
Zoomブームで自身を凝視する時間増で美容意識に変化
新型コロナがまん延し、昨年10月時点で49.4%の企業がオンライン会議を導入。オンライン会議の増加が、美容意識に変化をもたらすきっかけとなっている。
美容皮膚科医であるインドのChytra Anand医師は、「Zoomブームが患者の自分自身の見方を劇的に変えた」と認め、「これまで会議中に自分の姿を見ることはなかったものの、いまでは画面に映るみんなと自分の顔を見比べるように。それは精神に変化を及ぼしています」と話している。
米国フェイシャル形成外科学会の会長Paul J. Carniol医師は、「リアルタイム動画では、FaceTuneやPhotoshopで加工して、鼻のでこぼこ、目尻のしわ、首のたるみなどを滑らかに整えることはできないため、特に自己批判のためのレンズになりやすい」と指摘している。
SNS上の加工画像が「なりたい顔」
デジタルコミュニケーションが浸透していく中で、自尊心に多大なる影響を与えているのがSNSだ。
イタリアの Chantal Sciuto医師は「いま、アイドルという言葉は過去の定義とは異なるものです。ソーシャルメディアのアイドルは、Instagramのインフルエンサーとなり、何もかも変わりました」と話している。
また、「なりたい顔だって違います。患者さんは『こんな風に自然な頬骨にしてほしいんです』とおっしゃいます。そして私はこう伝えます、『分かります。でもまず、それはアプリを使って加工しているもので、全く自然とは言えないですよ』と。でもこれが新しい考え方なのです」と言い、その理想像に変化が訪れていることに触れている。
実際、加工画像を手に来院する若者は増えている。
英国に拠点を置く美容専門医師Tijion Esho医師は、「つい最近、非常に若い患者さんが毛穴を除去してほしいと診察に来られました」と振り返る。「彼女はInstagramの写真を見せ『ほら、この子、毛穴がないでしょ』と言ったのです。 私は、それはフィルターで加工していること、そして毛穴は自然かつ現実であることを説明しました。私たちは、見た目を改善することはできますが、完全になくすことはできません。この事実を知って、彼女はショックを受けました」
このように、フィルターによって見た目についての認識が大きくねじ曲げられ、自分の体の限界に気付いていない若者は後を絶たない。
ありのままの美しさ
一方で、フィルターをかけた完璧さではなく、現実のありのままの姿を見せることで共感を得るインフルエンサーが現れはじめた。
スウェーデンのインフルエンサー、Sofia Grahnがその一人だ。彼女は、ニキビを肯定的に捉える、アクネポジティブとして、一切加工をしない素肌をさらしている。
「ニキビがあっても美しい」「ありのままで美しい」という考え方は、ハッシュタグ、#AcnePositivity #SkinPositivity などで拡散されている。
過度な加工に異を唱える風潮が次第に見えてきたものの、若者の間では加工美を現実世界に求める人も少なくない。
加工画像への判断能力をしっかり養い、後悔のない美容施術を行なっていきたいものだ。
参考文献
『オンライン会議増えていませんか?49.4%の企業でオンライン会議を導入』https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000367.000043465.html
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