FDAはシリコンバッグ豊胸を22歳未満には禁止、米国形成外科学会が情報提供、美容整形手術の低年齢化どう考える?
ポイント
- 米国では22歳未満のシリコンバッグによる豊胸手術が禁止
- 州によっては21歳未満は美容整形手術を受けるために親の許可が必要な場合も
- 精神的な健康や手術を受けたい動機などの慎重な検討が必要との指摘も
美容整形手術の低年齢化について賛否両論の意見が出てくることがあるが、米国における低年齢での美容整形手術に関して、医学会からの情報提供がなされている。米国医薬食品局(FDA)が22歳未満でのシリコンバッグを用いた豊胸手術を禁止していることなどを紹介する。米国形成外科学会(ASPS)が2023年12月に報告しており、参考にしてよいかもしれない。
シリコン製の豊胸インプラントは10代には使えない
学会によると、米国ではFDAは18歳未満の未成年者への豊胸手術を適用外と見なしていると説明する。特にシリコンバックを用いた豊胸については22歳未満までは禁止しているという。
その説明として、豊胸手術は、乳房の発達が止まるまで未成年者には勧められないという。これは、想定外に乳房が過剰に大きくなることを避けるため。さらに、妊娠や授乳を計画している場合、豊胸手術が身体やホルモンの変化に影響を及ぼす可能性があるともいう。乳房の発達が完了し、家族計画が固まってから豊胸手術を受けることが望ましいとされるようだ。
米国では18歳未満の未成年者は、親の同意を得なければ美容整形手術を受けられない。それに加えて、州によっては21歳まで親の同意を得る必要がある場合もあると説明する。
精神的、動機の問題について慎重に検討を
美容整形手術を家族や親しい人から勧められた場合、手術を受けるのは適切ではない可能性があると学会。
自分の見た目への不安から手術を希望する場合、自分自身の容姿に自信を持ち、自尊心を養うことこそが重要で、精神的な治療が必要である場合もあるという。
ヒフコNEWSでは、叡啓大学の粥川準二氏のインタビューで、美容医療の低年齢化についての考え方をリポートしている。粥川氏は、美容医療の低年齢化の背景に、社会的な問題が見過ごされている問題があると指摘した。特定の見た目に関連したいじめなどが放置されていないかと注意喚起していた。
また、真崎医院院長の真﨑信行氏にインタビューしているが、フィラーを使った豊胸はなおさらやるべきではない手術だと指摘されている。そうした点も注意すべきだろう。
今回の米国からの情報提供を参考にすると、美容整形手術の低年齢化では、手術が本当に必要なのかを慎重に考えることが重要といえそうだ。例えば、鼻の整形の手術は、顔の骨が完全に発達している場合には比較的早い時期でも安全に行えるという。ただし、精神的に病んでいないか、手術の動機が問題ないかを慎重に検討するよう求めている。
一方、乳房を小さくする手術については、豊胸術とは異なり、15~18歳でも安全に行えると解説する。
日本国内では10代への豊胸手術に関する情報提供が医療機関からなされていることもあり、選択肢の一つとしてシリコンバッグについても挙げられている。米国では若い女性への豊胸手術に慎重な姿勢が見て取れる。美容整形手術の低年齢化を考えるときには、このような海外の状況も参考にするとよいかもしれない。
参考文献
How young is too young for plastic surgery?
https://www.plasticsurgery.org/news/blog/how-young-is-too-young-for-plastic-surgery
Types of Breast Implants
https://www.fda.gov/medical-devices/breast-implants/types-breast-implants
小学生からの美容整形、社会学の視点から見た課題とは?叡啓大学准教授の粥川準二氏に聞く、前半
https://biyouhifuko.com/news/interview/3822/
小学生からの美容整形、押しつけられていないか、また本当に安全か?叡啓大学准教授の粥川準二氏に聞く、後半
https://biyouhifuko.com/news/interview/3890/
「やってはいけないフィラー豊胸術」、世界が認めていないのに日本でいまだに行われている理由
https://biyouhifuko.com/news/interview/277/
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