ボツリヌス療法の「200年の歴史」とは?
ポイント
- ボツリヌス毒素はもともと食中毒の原因だったが医学に応用された
- 医学分野では、この毒素が斜視などの治療に使われていた
- 斜視治療中、シワ改善の効果が偶然発見され、美容医療への応用が進んだ
ボツリヌス療法の「200年にわたる歴史」は興味深い。米国美容協会が2024年1月にその歴史をまとめている。
偶然の発見から美容医療へ
19世紀の発見
1820年に、ラテン語でソーセージを意味するBotulusから、ソーセージ毒という言葉ができて、これがボツリヌス毒素の語源となった。その理由は、ボツリヌス毒素が保存状態の悪いソーセージを食べた人に食中毒を起こすものとして知られていたからだという。
第二次世界大戦で注目
第二次世界大戦のときには、ボツリヌス毒素は軍事目的で研究されたが、広く使用されることはなかった。
医学的な研究が進む
20世紀半ばにボツリヌス毒素が分離され、これが筋肉の痙攣や斜視などの病気に役立つ可能性が明らかになった。もともと軍事用に研究された毒素が、一転して医学に応用できるものと見なされた。
ボツリヌス療法が美容医療へ
1980年代、眼科医アラン・B・スコット氏がボツリヌス毒素を使って斜視の患者を治療していたときに、眉間のシワが改善することを発見。この偶然の発見が美容医療への応用のきっかけとなった。
ボツリヌス療法がハリウッドに
2002年に米国食品医薬品局(FDA)が美容目的でのボツリヌス毒素の使用を承認。この後、ボツリヌス療法がハリウッドセレブに人気を博すようになり、一般にも徐々に広がっていった。
「毒」が「薬」に
その後、ボツリヌス療法は美容医療での用途だけではなく、片頭痛や発汗、神経障害などの病気に有効であることが証明された。
かつて食中毒を引き起こした毒素が、今では人々の若さと健康を保つための「薬」として評価されている。かつての災厄が、今では美容医療の新たな希望となった。
参考文献
The Surprising History of Botox
https://www.cosmeticassociation.org/the-surprising-history-of-botox/
英国のフィラー治療やボツリヌス療法の人気、歯科医や一般医、看護師も手掛ける意外な実態
https://biyouhifuko.com/news/world/3051/
美容目的のA型ボツリヌス製剤の安全性とは?約1万人の副作用を解析
https://biyouhifuko.com/news/research/411/
美容整形手術の最新動向、脂肪吸引が豊胸術を抜き、世界で最も人気のある美容整形手術に
https://biyouhifuko.com/news/world/925/
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