恥骨周辺には脂肪がたまりやすく、恥骨周りが盛り上がった状態になることがある。これを解消する美容外科手術、恥骨部のリフトアップが米国で評価されている。
米国形成外科学会が2024年5月にその実際や意義について報告している。
余分な皮膚や脂肪を除去、恥丘を引き上げ
- 恥骨部の盛り上がり→ タイトな服を着たときなどに恥骨部が盛り上がっているのが目立つことがある。
- 恥骨部のリフトアップ→ 脂肪吸引や腹部形成術(タミータック)と一緒に行われる場合も多いが、単独でリフトアップを行うことも可能。
- 効果→ 見た目が改善して、自己肯定感も高まる。
米国形成外科学会によると、恥骨部には脂肪がたまりやすい特徴があるという。恥骨部は、「FUPA(fatty upper pubic area)」=恥骨上部の脂肪領域と呼ばれる。ここは年を取る、あるいは体重が増えると、盛り上がりが目立つようになる。日本語だとこのエリアは恥丘と表現されるが、その見た目が変化してくる。
「タイトな服を着たときに目立つのを避けたいと感じる人も少なくない」(同学会)。そのような見た目を気にする人に恥骨部のリフトアップのニーズが増しているようだ。
」同学会によると、美容外科手術では、おなか周りの脂肪吸引や余分な皮膚・脂肪を除去する腹部形成術(いわゆるタミータック)が行われ、これらと一緒に、恥骨部を覆う脂肪によってできる恥丘を引き上げるリフトアップが行われることもある。また、このリフトアップは単独でも行うことが可能だと解説されている。
米国形成外科学会によると、快適さが増し、自己肯定感も高まる効果的な施術と見なされている。ジェリー・チデスター医師(Dr. Jerry Chidester)は、「この施術は水着やタイトな衣服を自信を持って着用できるようになるなど、気持ちの上での恩恵が大きい」と述べている。
性的満足は「おまけ」や「ボーナス」
- リフトアップのメリット→ 性的満足度を向上させる可能性がある。恥骨部の見た目を改善することで、性的な活動に自信を持てるようになる。
- 見た目の改善が第一目的→ 性的な満足に必ずしもつながらない点に注意が必要。
- 信頼できる医療機関の選択→ 腹部や下腹部の施術では合併症も報告されているため、信頼できる医療機関を選ぶことが欠かせない。
さらに、恥骨部のリフトアップのメリットとして、間接的に性的満足度を向上させる可能性があることも示されている。恥骨部の見た目を改善することで、性的な活動にも自信を持てるようになり、より自由に振る舞えるという。過去に恥骨部の見た目が気になっていた人にとって大きな変化があるという。チデスター医師は、「物理的にも、恥骨部の余分な組織がなくなることで、性行為時の快適性が高まる」と述べている。
ただし、あくまで第一の目的は見た目の改善であり、必ずしも性的な満足につながらないという点には注意が必要だ。スミタ・ラマナダム医師(Dr. Smita Ramanadham)は、「もしそうなるのであれば、それは素晴らしい付加価値だと思うが、私はそのようなことを期待して施術を受けたり、治療として使用したりはしない。効果があるという保証はありません」と指摘。性的なメリットについては「おまけ」や「ボーナス」で、あればラッキーくらいにとらえるのが良いようだ。
前提として、米国形成外科学会認定の医師に相談することが重要であると、同学会は強調している。
日本でも恥骨部の美容外科手術に対応している医療機関があり、米国のように日本でも注目される可能性がある。美容クリニックのウェブサイトでは、恥骨部の盛り上がりについて「どて高」や「モリマン」と解説され、関連する施術として、「恥骨部整形」や「恥骨部脂肪吸引」、「どて脂肪吸引」といった施術が紹介されている。一方で国内外で腹部や下腹部の施術では合併症も報告されている。検討する際には、信頼できる医療機関を選ぶことは欠かせない。