国際美容外科学会(ISAPS)は、2023年の世界の美容医療の統計を発表した。
これによると、美容外科手術と非外科的治療の合計が前年比3.4%増加し、3490万件となった。
美容外科手術は前年比5.5%増加し、1580万件以上に達し、非外科的手術も引き続き増加し、ボツリヌス療法が最も人気のある施術となった。
顔周辺の手術が顕著な増加
顔(頭部含む)の手術は前年に比べ19.6%増加し、650万件以上が実施された。特に人気の手術は以下の通りである。
- まぶたの手術170万件以上が実施され、前年比24%増加した。
- 鼻形成術が110万件以上実施され、前年比21.6%増加した。
- 唇の強調や口周りの手術が90万件実施され、前年比29%増加した。
一方、胸の手術や身体、手足の手術は減少傾向。胸の手術は410万件(前年比5%減)、身体や手足の手術は510万件(前年比0.4%減)であった。脂肪吸引術は、豊胸術に代わり女性にとって最も一般的な手術となり、180万件が行われ、21年と比べて29%増となっている。男性では、まぶたの手術が最も多くなった。
非外科的治療では、ボツリヌス療法が引き続き最も人気で、世界中で880万件以上が実施された。そのほかヒアルロン酸や脱毛なども人気となっている。
- ヒアルロン酸注射は550万件以上実施され、前年比29%増加。
- 脱毛は160万件以上実施され、前年比10.6%減少。
特に、35歳から50歳の年齢層でボツリヌス療法が人気となっている。
日本の美容外科医は3050人と推定
2023年の美容医療手術の件数で最も多かったのは米国で、610万件以上が実施され、次いでブラジルで330万件が実施された。ブラジルは特に外科手術では210万件で世界最多。これらの国々は最も多くの美容外科医を擁し、日本、中国、インド、韓国が続く。日本の美容外科医は3050人と推定されている。
美容医療手術は、病院で46.9%、オフィス施設で31.4%、手術センターで20.4%が行われている。
医療観光も増加している。施術を受ける人のうち外国人の比率が高い国は、コロンビア、メキシコ、トルコ、シリア、タイが挙げられる。ISAPSの会長であるリナ・トリアナ医師は、「医療観光の人気が高まる中、規制や安全ガイドラインが国によって異なるため、学会認定の専門の美容外科医を選ぶことを勧める」と述べている。