医療脱毛

医療脱毛を扱うクリニックでは、施術前後の期間に日焼けをしないよう注意喚起を促しています。その理由と、考えられる肌トラブルやリスクについて説明します。

脱毛,日焼け

今や、紫外線対策は一年を通じて行うのが常識です。シミやそばかす、肌の老化などを引き起こすだけでなく、炎症や乾燥などのトラブルや皮膚疾患の原因になる可能性もあるからです。そして、日焼けは脱毛にも大敵であることをご存じでしょうか。定期的に脱毛をしている最中に日焼けしてしまうと、思うような効果が得られなかったり、施術そのものが受けられなくなったりすることがあるので注意が必要です。

この記事では、日焼けと脱毛の関係や、脱毛効果への影響について解説します。

脱毛するなら日焼けに注意!その理由とは?

脱毛するなら日焼けに注意!その理由とは?

医療脱毛を扱うクリニックでは、施術前後の期間に日焼けをしないよう注意喚起を促しています。その理由と、考えられる肌トラブルやリスクについて説明します。

なぜ脱毛に日焼けはNGなのか

日焼けした肌が脱毛に不向きな理由として、以下のような内容が考えられます。

  • 日焼け後の肌にレーザーを照射すると、火傷や毛嚢炎といった肌トラブルを起こしやすくなる
  • 日焼け後に肌が赤くなり、炎症を起こしている時は、脱毛不可となることがある
  • 照射するとしても、肌トラブルを避けるため通常よりも弱い出力となり、脱毛効果が大幅に下がる可能性が高い

医療脱毛は黒い色(メラニン)に反応する「熱破壊式レーザー」が使われることが多いです。これは、熱で毛母細胞にダメージを与え、ムダ毛の成長に関係している細胞を破壊する方法です。しかし、メラニンはムダ毛だけに存在するのではありません。紫外線を浴びると、ダメージから肌を守るためにメラニンが生成されます。日焼けをした後に肌が黒くなるのはこのためです。肌内部にメラニンが増えている状態でレーザーを照射すると、メラニンに反応して、火傷や毛嚢炎だけでなく、強い痛みを感じやすくなるといったトラブルに繋がるおそれがあるのです。

仮に、火傷などを避けるため出力を抑えてレーザーを照射したとしても、十分な脱毛効果が得られず、必要な施術回数が増えてしまったり、契約したコース回数内で充分な脱毛が得られなくなる可能性も考えられます。

また、赤い日焼けは肌が炎症を起こしている状態なので、レーザー照射は不可とされています。

日焼け肌にレーザー脱毛を行うとどうなる?

日焼け肌にレーザー脱毛を行うとどうなる?

このように、効果が得にくくなる、肌トラブルのリスクが高まるといった理由から、ほとんどのクリニックでは日焼け肌に脱毛の施術はしていません。医療脱毛よりも刺激が少ないとされている光脱毛を行う脱毛サロンでも同様です。

では、日焼け肌にレーザー脱毛を行うと、どのようなトラブルが起こる可能性があるのでしょうか。主な症状や対処法を紹介しますが、気になる症状がある場合は、早めに施術を受けたクリニックへ連絡するのがよいでしょう。

火傷

熱によって起こる皮膚や粘膜の損傷です。多少のひりつきを感じる程度であれば、流水(水道水でよい)でしっかりと冷やすことで落ち着くことが多いといわれています。水ぶくれや強い痛みがあるときは、同様に十分冷やし、早めに医師の診察を受けてください。もしも水ぶくれができた場合は、感染症などを避けるため、つぶさないよう注意が必要です。

毛嚢炎

毛嚢炎は、毛根を包んでいる毛嚢(毛包ともいいます)が細菌の増殖によって炎症を起こしている状態です。毛穴部分に赤いブツブツができたり、膿をもった丘疹ができたりします。特に、日焼けした肌は水分が減少し、肌のバリア機能が低下しているので、レーザーを照射することで毛嚢炎のリスクが高くなりやすいのです。

毛嚢炎は肌を清潔に保ち、刺激しないように注意すれば自然に治ることが多いです。しかし、場合によっては色素沈着や強い炎症を起こすことも考えられるため、医師の診察を受け、症状に合った外用薬を使用することで早期改善に繋がります。

炎症後色素沈着

脱毛前後の日焼けだけでなく、虫刺されやニキビなどの炎症による刺激が原因となり、肌は防御機能を働かせてメラニンを生成します。通常、メラニン色素はターンオーバーとともに徐々に薄くなりますが、乾燥や不規則な生活習慣などでサイクルが乱れたり、さらに紫外線を浴び続けたりすると、色素沈着が生じて消えにくくなることがあります。この肌内部にメラニン色素が残っている状態が「炎症性色素沈着」なのです。

皮膚科では、レーザートーニングやケミカルピーリング、外用薬などで治療を進めることが多いです。

どのくらいの日焼けなら脱毛OK

どのくらいの日焼けなら脱毛OK?

「脱毛に日焼けが禁物なことはわかったけど、ちょっとでもダメなの?」そんな声が聞こえてきそうですね。確かに、紫外線対策をしていたとしても、まったく日焼けせずに日常生活を送るのは難しいでしょう。ここではどの程度の日焼けなら大丈夫なのか、見分けるポイントを紹介します。ただし、施術の可否はクリニックによって判断基準が異なるので、あくまで目安と考えてください。

【日焼けによる脱毛の可否 判断基準の目安】

  • 日焼けしている部分とそうでない部分が目視ではっきりわかったらNG
  • 日焼け直後で赤くなっている場合もNG
  • 脇やVIOなど施術部位が日焼けしていなければOK

日焼けをしている部分としていない部分がはっきりわかるようであれば、施術が不可となることがほとんどです。また、日焼け直後の赤くなっている肌は、炎症が起きて軽い火傷に近い状態なので、こちらも施術が不可となるケースが多いようです。ただし、腋やVIOなど、直接紫外線にあたりにくく、日焼けをしていない部位であれば、他のパーツが日焼けしていても施術可能となることもあります。

肌状態を自己判断で見極めるのは非常に難しい上、リスクを伴います。日焼けをした後に脱毛したい場合は、クリニックに問い合わせ、指示を仰ぐとよいでしょう。

脱毛期間中に日焼けしてしまったらどうすればいい?

まずは、通常の日焼けケアと同じように、保冷パックなどで冷やし、赤みやほてりを落ち着かせます。その後、しっかり保湿して肌が乾燥するのを防ぎます。

クリニックにも早めに相談して、施術日を変更してもらうとよいでしょう。あまり間近になってからだと、希望日に予約が取れないことがあります。また、「これくらいなら大丈夫だろう」と自己判断をしても、クリニックによっては施術してもらえないかもしれません。その結果、脱毛のスケジュールが大きく狂ってしまう可能性も考えられるので、結婚式までにキレイにしたいなど、理想とする脱毛のゴールがはっきり決まっている人ほど早めの相談が必要です。

日焼け後、いつから脱毛できる?

では、日焼けした肌はいつから脱毛ができるのでしょうか?基本的には「肌が元の色に戻り、赤みやほてり等の症状が完全に落ち着いてから」とされており、明確に「何カ月間」というような期間の指定はありません。それは、肌色や肌質には個人差があり、日焼けの経過もそれぞれ異なるからです。例えば、もともと色白で日焼けしても赤くなるだけで黒くならない人なら、炎症が治まって医師の許可が出れば1カ月ほどで照射が可能になることもあります。反対に、元に戻るのに時間がかかる人は、日焼けの度合いによって23カ月ほど照射不可となる可能性もあるのです。どんな肌質でも、肌状態を自分で見極めるのは非常に難しいため、きちんと医師の診察を受けた上で指示を仰ぐとよいでしょう。

日焼けリスクの低い秋から開始するのがおすすめ!

医療脱毛は、1回の照射ですべてのムダ毛を処理できるわけではありません。定期的に58回程度の照射を行う必要があります。

そこでおすすめなのが、紫外線量が弱まる10月頃から脱毛を始めることです。着るものも長袖になり、肌を出す機会も少なくなるので、日焼けのリスクが減少します。また、秋から始めれば、次の夏にはある程度の脱毛効果が得られているでしょう。

また「来年の夏はすべすべ肌で水着を着たい!」など、具体的な希望がある人は、クリニックの医師やカウンセラーに相談すると、いつから脱毛を始め、何回程度の照射が必要かを逆算して計画が立てやすくなります。日焼けの可能性が高い屋外でのレジャーやスポーツの予定がある場合も、事前にその期間を避けたスケジュールが組みやすくなり、スムーズに脱毛を進めやすくなりますよ。

脱毛後も油断大敵!日焼け対策はしっかりと

脱毛後も油断大敵!日焼け対策はしっかりと

日焼けに注意しなくてはならないのは脱毛前だけではありません。多くのクリニックでは、脱毛後の2週間も特に紫外線対策を徹底することを勧めています。脱毛後も気をつけなくてはならない理由は何なのでしょうか?

脱毛後に紫外線対策が必要な理由

脱毛後の肌は、赤みやかゆみなどの症状が出やすく、ダメージを負っている状態といえます。少しの刺激にも敏感になっているため、日焼けをすることでさらに大きな肌トラブルが起こる可能性が高まってしまうのです。対策としては、長時間直射日光にあたらないよう注意しながら、日焼け止めやUVカット機能のある衣類で、できるだけ日焼けを避けるとよいでしょう。また、乾燥もしやすいので、刺激を避け、肌を強く擦ったりしないよう普段よりもやさしく、丁寧な保湿ケアが必要になります。

日焼け肌でもできる脱毛方法がある!

日焼け肌でもできる脱毛方法がある!

日焼け後、ある程度赤みや炎症が落ち着いたあとであれば、医療脱毛の中には、肌色が黒くなっていても施術できる可能性が高い方法があります。ここではその仕組みや特徴、費用などについて解説します。

蓄熱式レーザー脱毛

温度が低めのレーザー(弱い熱エネルギー)を繰り返し照射することで、熱エネルギーを肌内部に蓄積して、毛母細胞ではなく「バルジ領域」という部分に少しずつダメージを与えていく方法です。一気に高温で照射する従来のレーザーに比べると痛みや肌へのダメージを抑えることができるため、日焼けした肌や色黒の方の肌に合わせた出力の設定が可能となっています。蓄熱式レーザー脱毛機には「メディオスターNeXT PRO」や「Motus AX」、「ソプラノアイス プラチナム」などの機種があります。

ムダ毛の量や毛質にもよりますが、12カ月に1回のペースで58回程度照射するのが目安とされています。費用は1回あたり10,00050,000円と部位によって幅があります。セットプランを用意しているクリニックもあるので、問い合わせてみるとよいでしょう。

 YAGレーザー(熱破壊式レーザー脱毛)

YAGレーザーは波長が長く、肌の深部まで熱エネルギーが到達するという特徴があります。日焼け肌や色素沈着のある肌、色黒肌に使用可能とされており、男性のヒゲやVIOのような太く・濃い毛に反応しやすいです。代表的な「Gentle YAG Pro-U」は冷却ガス機能を搭載しており、高温のレーザーを照射すると同時に噴射して肌の温度を下げるため、ムダ毛処理をしながら火傷や痛みなどを軽減しますYAGレーザー脱毛機には、その他に「XEO」などがあります。

費用は部位によって異なりますが、1回あたり10,00050,000円ほどが相場です。複数の箇所を脱毛したいときはセットプランを利用するとよいでしょう。
48週間おきに58回程度の照射が望ましいとされています。

まとめ

近年ではさまざまな肌色に対応できる機種の登場により、日焼け肌にも施術ができる可能性が高くなってきています。ただし、日焼けによる赤みや炎症といったダメージがある時は、肌トラブルが起こらないよう、施術を断られることが多いのも事実です。
脱毛中の日焼けには、火傷などの肌トラブルリスクがあります。安全かつ希望するペースで脱毛を進めるためにも、季節を問わず日頃から紫外線対策をしっかり行うとよいでしょう。

※マッサージや化粧品などの情報が記載されている場合は監修範囲に含まれません。

※執筆・掲載日時点の情報を参考に医師監修しております。

※当サイト記事内の情報は一般的な知識であり、自己判断を促すものではありません。あらかじめ、ご容赦ください。

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