ほくろは針で除去できる?
針などでほくろを取るのは絶対にやめましょう。SNSでは“セルフほくろ除去”が行われているようですが、化膿や皮膚障害など思いもよらぬ危険性が潜んでいます。
自分でほくろを取る危険性
巷で耳にするセルフほくろ除去の方法と、その危険性やリスクを解説します。
針・カッター・爪切りによるほくろ除去:化膿や感染症のリスク
ほくろを針でほじったり、カッターや爪切りで切除したりする人がいるようですが、この方法は最も危険性が高いと言われています。不衛生な器具でほくろを取ると感染を起こして化膿したり、最悪の場合皮膚が壊死する恐れもあるのです。
ほくろ除去クリームによるほくろ除去:重大な皮膚障害のリスク
ネット上では「ほくろ除去クリーム」なるものが販売されているようですが、このようなクリームは非常に危険です。
引用:https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20231213_1.pdf
事実、クリームを塗布した箇所が赤く腫れ、化学火傷で皮膚が壊死していると診断された方もいるようです。国民生活センタ-も重い皮膚障害などを引き起こすおそれがあるとして使用中止を呼びかけているため、購入しないようにしましょう。
もぐさによるほくろ除去:やけど等のリスク
もぐさはヨモギから作られたもので、お灸として用いられています。ほくろの上に火をつけたもぐさをのせ、わざと「やけど」をさせてほくろを取るようです。しかし、やけどでほくろは除去できません。それどころか、傷跡が残ったり最悪の場合皮膚が陥没してしまうリスクもあります。
家庭用レーザー除去ペン:未知のリスク
驚くことに、家庭用レーザー除去ペンでほくろを取る人もいるようです。家庭用レーザー除去ペンはネット通販で簡単に手に入りますが、リスクや副作用が未知数です。予想だにしない皮膚トラブルに見舞われる危険性があるため、手を出さないようにしましょう。
ほくろ除去は医療機関ですべき理由3選
セルフほくろ除去の危険性がお分かり頂けたと思いますが、医療機関でほくろを除去すべき理由はそれだけではありません。
ほくろに合った適切な処置ができる
ほくろの除去方法は複数あります。
- 切除縫合法
- 電気メス
- レーザー
一般的な切除縫合法は、メスでほくろを切除して縫合します。完全にほくろを切除するため再発する可能性が少ないのがメリットですが、皮膚を縫った箇所に赤みや傷跡が残ることもあります。
対して、電気メスやレーザーを用いる方法は、傷の治りが早く傷跡も残りにくいと言われています。ただし、皮膚深部にできたほくろは、レーザーだけでは除去できないことがあります。
このように、一口にほくろ除去と言ってもその治療方法は様々です。医療機関を受診すれば自分のほくろに最も適した方法で処置してもらえるため、再発などのリスクも少なくなるでしょう。
治療後のアフターフォローが受けられる
きれいにほくろを除去するには、治療後のアフターフォローが欠かせません。ほくろ除去後はしばらくの間テープを貼って生活しますが、テープ貼りを怠ると傷口悪化や色素沈着を起こし、美しい仕上がりになりません。
「テープから血が滲んできた。」、「かさぶたをうっかり剥がしてしまった。」など、トラブルが起きた時にきちんとアフターフォローを受けるためにも、ほくろ除去は医療機関で行うことをおすすめします。
医師に悪性腫瘍かどうか見極めてもらえる
ほくろの多くは良性ですが、ごく稀に悪性腫瘍のケースがあることをご存じでしょうか?特に悪性度の高い悪性黒色腫(メラノーマ)の場合、早急な診断と治療が不可欠です。
ほくろが良性か悪性か自分で見極めるのは不可能です。医療機関でも目視に加え病理検査を行います。ほくろ除去を考えた時には医療機関を受診して、ほくろが悪性腫瘍でないか診断してもらうことが大事です。
ほくろの種類と原因
ほくろには沢山の種類があり、それぞれ原因も異なります。
ほくろの分類
引用:https://setagaya-hifuka.jp/mole.html
ほくろの原因である母斑細胞が、表皮・真皮・皮下組織のどこに集中したかによって、ほくろの種類は境界母斑・複合母斑・真皮内母斑の3つに分類されます。
また、時間の経過と共に【境界母斑→複合母斑→真皮内母斑】へと変化します。
境界母斑
母斑細胞が表皮と真皮の接合部分に存在するほくろ。薄く小さなほくろで、目立たないのが特徴です。
複合母斑
境界母斑と真皮内母斑の混合型と呼ばれるほくろ。真皮と表皮の接合部分の他、真皮内にも母斑細胞が集まっている状態です。境界母斑より色が黒いのが特徴です。
真皮内母斑
真皮内だけに母斑細胞が集まってできたほくろ。多くは半球状に盛り上がっています。
Ackermanが提唱するほくろの分類
境界母斑・複合母斑・真皮内母斑の3つの分類の他に、A. Bernard Ackerman氏(アメリカ)が提唱した4つの分類もあります。
ミーシャー母斑
引用:https://setagaya-hifuka.jp/mole.html
ドーム状に7mm前後にふくらんだほくろ。首から上にできる後天性のほくろで、顔のほくろの大半はこれに分類されます。年齢と共に淡褐色~常色に変化し、毛が生えていることも多いです。
クラーク母斑
引用:https://setagaya-hifuka.jp/mole.html
手足を含む全身にあらわれるほくろ。形は丸く黒褐色。ほくろの縁に行くにつれて、色が薄くなっていることが多いです。幼少期に出現し、成長するに連れて消えていくことがほとんど。
ウンナ母斑
引用:https://setagaya-hifuka.jp/mole.html
上腕、ふともも、首などにできるほくろ。桑の実のような形状で1cm前後のことが多い。
スピッツ母斑
引用:https://setagaya-hifuka.jp/mole.html
幼児や年齢が若い方に多く出現するほくろ。紅色や黒褐色のものがあり、悪性黒色腫(メラノーマ)と見た目が似ているものがある。
シミとほくろの違い
シミとほくろは似ていますが、両者には大きな違いがあります。
引用:https://www.instagram.com/biyou_hifuko
|
ほくろ |
シミ |
原因 |
母斑細胞 |
メラニン色素の沈着 |
できる皮膚階層 |
真皮or真皮と表皮の間 |
表皮 |
主な治療法 |
・レーザー ・電気メス ・メスによる切除など |
・シミ取りレーザー ・光治療 ・トーニング ・内服外用薬 |
シミの原因は「メラニン色素」ですが、ほくろの原因はメラノサイトが変異してできた「母斑細胞」が原因です。
また、シミができる皮膚階層は「表皮」ですが、ほくろは「真皮or真皮と表皮の間」に出現します。シミ治療は表皮のみにアプローチすればよいので、傷跡なく除去できます。しかし、ほくろは真皮までアプローチする必要があるため、傷跡が残ることもあります。
それぞれ適した治療も異なるため、ほくろやシミが気になる人は美容皮膚科を受診してみましょう。
そもそもほくろは除去する必要があるのか?
ほくろは無理に取らなくてもよい?判断基準をまとめました。
気にならなければ無理に除去する必要はなし
良性のほくろは、自分が気にならなければ無理に取る必要はありません。年齢と共にほくろが大きくなって心配になる方もいるかもしれませんが、これはほくろの老化現象です。病気ではないため、審美的な観点で気にならないのであれば除去する必要はありません。
悪性黒色腫の場合は切除が必要
悪性黒色腫(メラノーマ)の場合は、ただちに手術する必要があります。悪性黒色腫は皮膚がんで、ほくろとよく似ています。
- 左右非対称で色が均一でない
- 大きさが直径6mm以上
- 急にサイズが大きくなった
- 色が前と変化した
- 血や体液が滲んでいる
- 足裏や爪の中などにある
ほくろにこのような特徴がある場合は、自分で判断せず医療機関を受診して下さい。
ほくろを除去するメリット・デメリット
ほくろを取ろうか迷っている方へ。ほくろ除去のメリット・デメリットをお伝えします。
ほくろ除去のメリット
ほくろ除去は、審美的なメリットだけでなく健康や生活に関するメリットもあります。
コンプレックスが解消される
ほくろを取ると長年のコンプレックスから解放され、様々な良い変化が起こります。
- 性格が明るくなった
- 恋愛に前向きになれた
- おしゃれやメイクを楽しめるようになった
など、ほくろを取るだけで人生そのものが明るくなる方もいらっしゃいます。
大きなほくろや顔中に広がるほくろは、その人の印象を大きく左右します。ほくろをチャームポイントだと思えないなら、除去を考えてみましょう。
日常生活の質が向上する
ほくろを取ることで、日常生活の質が向上することもあります。
- 大きなほくろが洗顔する時に引っかかる
- まぶたのほくろが視界に入って邪魔
- ほくろが眼鏡に当たって痛い
- 髪をとかす時に頭皮のほくろに櫛が当たる
- ほくろが邪魔でメイクがしにくい
など、ほくろのせいで生活に支障をきたしている時は、思い切って除去することも考えましょう。
ちなみに、「ほくろにより何らかの機能的障害がある場合」や「悪性腫瘍との鑑別が問題になる場合」などは、ほくろの切除が保険適応になるケースもあるため、医師に相談してみましょう。
肌のトーンが明るくなる
意外ですが、ほくろを取ると肌が明るくきれいに見えるようになります。
例えるなら、ほくろは白いキャンバスに広がる汚れ。頬にゴマ粒のように広がるほくろが無くなるだけで、肌が明るくクリアにみえるのです。
悪性腫瘍を見つけられる
医療機関でほくろを取る時には、ほくろが悪性でないか医師が確認してくれます。特にほくろを保険診療で切除する場合は、切り取ったほくろを病理組織検査に出すため、皮膚がんの早期発見・治療に繋がります。
ほくろ除去のデメリット
続いて、ほくろ除去のデメリット2つをみていきましょう。
施術後のアフターケアが必須
ほくろ取りは施術後のアフターケアが大切。テープを指示された期間貼らなかったり、紫外線対策を怠ったりすると、除去した跡が盛り上がったり色素沈着を起こしてしまいます。
ほくろが再発することもある
ほくろは一度除去しても再発することがあります。真皮深くにある母斑細胞を完全に取り切れなかった場合は、時間と共に母斑細胞が再び増殖してしまうのです。
再発を防ぐには真皮までアプローチして母斑細胞を除去する必要がありますが、削り過ぎると傷跡になる可能性もあります。取り残しなく美しく仕上げてもらうためにも、ほくろ除去の経験豊富な医師にお願いしましょう。
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