サプリメントは健康の維持増進を目的とした健康食品です。近年、利用者が増加傾向にあり身近な存在になってきましたが、正しい知識で自分にあったサプリメントを選ぶ事が重要です。どんな成分がどのような症状に対応しているのか、正しい飲み方や副作用について、より効果的にサプリメントを用いるための基礎知識をご紹介します。
サプリメントの定義
サプリメントは薬のような形状をした物が多いですが、日本では「サプリメント」とはどのような物かという明確な定義は無く、法律ではいわゆる健康食品とされ「食品」とされています(*1)。
「健康食品」にはいくつかの分類があり、大きく分けると一般食品と保険機能食品に分けられます。
一般食品
栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品などの表示がされている食品
保健機能食品
消費者庁によって、健康への効果がある程度認められ認証された商品のみが該当します。3つ区分があり、[特定保健用食品(トクホ)]、[栄養機能食品]、[機能性表示食品]の順に効果への信頼性が高いと考えて良いでしょう。
サプリメントによって上記のどれに該当するかが異なり、また同じ成分でも製造メーカーによって認証が異なる場合もありますので購入する際は注意が必要です。
*1 アメリカ等でサプリメントを食品、医薬品とも異なる物として分類している国もあります。また、一部ビタミン等は医薬品としても扱われています。
サプリメントと薬のちがい
薬との違いとしては以下のようなものが挙げられます。
効果の違い
身体に必要な栄養素を補填し健康の維持、増進、病気の予防が目的です。効果は緩やかで、病気の治療の為に用いる事はあまりありません。
服用期間の違い
3ヶ月以上続けて摂取する事が推奨されています。
入手方法の違い
薬局やスーパーで購入できます。一部の物は病院で処方される事もあります。
症状別の必要な栄養素
疲労や肌荒れなど、様々な不調に対してどのような栄養素を摂取すると効果が望めるのか、迷ってしまうポイントかと思います。
下の表は症状ごとに対応している栄養成分です。
※表は横スクロールできます
症状 |
摂取したい栄養素 |
肌の乾燥、かさつき |
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β‐カロチン、ヒアルロン酸Na |
ニキビ、肌荒れ |
ビタミンB2、ビタミンB6 |
シミやくすみ |
β‐カロテン、ビタミンC、ビタミンE、L‐システイン、トラネキサム酸(肝斑) |
髪の毛のツヤや枝毛 |
タンパク質、亜鉛、ビタミンB6、ビオチン |
目の疲れ |
ビタミンA、ポリフェノール、ルテイン、アスタキサンチン |
目の調子を整える |
アントシアニン |
手足のむくみ |
ビタミンB群、カリウム |
便秘 |
ビフィズス菌、食物繊維 |
腰痛、肩こり |
ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンE |
冷え性 |
ビタミンE |
貧血 |
ビタミンB12、ビタミンC、鉄 |
疲労回復 |
ビタミンC、ビタミンB群、イミタソールジペプチド |
血行促進 |
ビタミンE |
食欲不振 |
ビタミンB群 |
睡眠不足 |
ビタミンB2、ビタミンB6、セロトニン |
運動不足 |
ビタミンB2、ビタミンB6 |
血圧を抑える |
タウリン、大麦β‐グルカン、サーデンペプチド、GSAC |
動脈硬化防止 |
ポリフェノール、EPA、DHA |
関節の痛み |
グルコサミン、コンドロイチン、コラーゲン |
肝機能低下予防 |
ウコン |
骨の健康 |
大豆イソフラボン、β‐クリプトキサンチン |
ハウスダストやアレルギー |
メチル化カテキン |
肌トラブルにおすすめの栄養素
※表は横スクロールできます
肌トラブルへの働き |
種類 |
成分 |
不足すると起こる症状 |
皮膚の新陳代謝促進、血行促進 |
水溶性ビタミン |
ビタミンB2 |
口内炎、脂漏性皮膚炎 |
皮膚の新陳代謝促進、肌の乾燥防止、免疫向上 |
ビタミンB6 |
口内炎、脂漏性皮膚炎 |
|
細胞分裂促進 |
葉酸 |
舌炎 |
|
コラーゲン生成、メラニン色素の沈着防止 |
ビタミンC |
皮下出血、シミそばかす |
|
肌荒れ防止、皮膚免疫向上 |
脂溶性ビタミン |
ビタミンA |
肌荒れ、ニキビ、乾燥 |
酸化防止、免疫向上 |
β‐カロテン |
ニキビ、乾燥 |
|
乾癪の症状抑制、 |
ビタミンD |
骨の軟化、骨粗鬆症 |
|
酸化防止、血液循環改善 |
ビタミンE |
しもやけ |
|
細胞分裂に必須 |
ミネラル |
亜鉛 |
皮膚炎、脱毛、傷の再生が遅延 |
古い細胞の排出 |
セレン |
脱毛、脱爪 |
サプリメントをより効果的に摂取する方法
せっかくのサプリメントもしっかりと栄養が吸収されなければ確かな効果は望めません。サプリメントの種類ごとに効果的な摂取方法が異なる為注意しましょう。
効果的な摂取のタイミング
※表は横スクロールできます
水溶性ビタミン |
3~4時間ごとの間隔をあけて摂取する。あぶらっこい食事のあと2時間は摂取を控えた方が良い。 |
|
脂溶性ビタミン |
食事中が最適 |
|
ミネラル類 |
食事中が最適 |
|
ダイエット系 |
吸収制御 |
食事の30分前が最適 |
カロリーカット |
食後の30分以内が最適 |
|
燃焼系 |
運動の30分前が最適 |
ミネラルウォーターで飲むのがおすすめ
いくつかのビタミンは水道水中の塩素によって分解されてしまいます。また鉄分はお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンによって吸収が阻害されてしまいます。
なるべく塩素が除去されたミネラルウォーターなどで摂取するようにしましょう。
サプリメントの注意点
病院にかかる時はサプリメントの使用を申告しましょう
サプリメントの中には病院で処方される薬と飲み合わせが悪く、効果の低減や副作用を招いてしまうケースもあります。事前に服用しているサプリメントを申告しておくと良いでしょう。
用法容量を守りましょう
サプリメントといえども過剰な摂取は副作用を招きます。表示された用法容量をしっかりと守りましょう。
GMPマークがついた商品が信頼できます
さまざまなメーカーから多種多様なサプリメントが販売されていますが、中には有効成分がほとんど含まれていなかったり、不純物が含まれていたり品質に問題がある商品も存在します。歴史があり信頼のおけるメーカーの商品や、「共益財団法人 日本健康・栄養食品協会」によって認定された[GMPマーク]がついた商品を選ぶと良いでしょう。
引用:http://www.jhnfa.org/gmp-0.html
サプリメントを選ぶときのポイントは「成分量」
味の好みや美味しさなどの選ぶ基準がないサプリメントにおいて、選ぶ基準にすべきポイントは「成分量」です。同じ成分のサプリメントを選ぶ際、パッケージに表記されている数値から1粒あたりの成分量を読み取ることが大切です。
表記には「内容物(成分の純粋な量)」と「内容量(添加物を含む製品自体の重さ)」の2つがあります。
上記のように製品の量が多く見えても1粒あたりの成分量にちがいがあるので、選ぶときは成分量を確認してみましょう。
まとめ
日常で生じるちょっとした不調にサプリメントはとても有効です。不調の症状や日頃の食生活から必要な栄養素を予想できれば、多種多様にあるサプリメントの中から自分にあったサプリメントを選ぶ事が出来ます。自分にあったサプリメントを用法、用量を守り正しい摂取方法で摂取する事で健やかな毎日をおくる手助けとなることが期待されます。
参考文献1:日本化粧品検定1級対策テキスト
参考文献2:サプリメント・機能性食品事典