これまでの医療脱毛は「とにかく痛い」イメージがつきものでした。痛みを理由に医療脱毛を敬遠していた人も多いでしょう。
しかし、近年は技術や脱毛機の進化によって、「痛くない医療脱毛」が実現しつつあることをご存じでしょうか?加えて、クリニック側も麻酔や冷却など、痛みを軽減するためにさまざまな対処をしています。
この記事では、「痛くない医療脱毛」は本当なのかと、痛みを軽減する仕組みや新しい技術・脱毛機についてご紹介します。
なぜ痛いの?医療脱毛の仕組み
医療脱毛はなぜ痛いのでしょうか?その原因は、医療脱毛に使用するレーザーの「黒い色に反応する」という性質にあります。
医療脱毛で痛みを感じやすい理由
医療脱毛で使用されるレーザーは、ターゲットとなる毛乳頭やバルジ領域内の黒い部分(メラニン)に到達すると熱エネルギーに変化してダメージを与えます。
毛乳頭は毛母細胞に栄養を届け、分裂・増殖を促す働きがあります。また、バルジ領域は毛根よりも浅い部分にあり、毛乳頭に毛を生やすよう指令を出す器官です。つまり医療脱毛は、レーザーで毛の基礎といえる部分を破壊することで毛が再生しないようにして、永久的な脱毛を目指す施術なのです。
しかし、医療用レーザーの熱エネルギーにはデメリットもあります。熱いものに触れて火傷した時に、その周りまでヒリヒリすることがありますよね。これは熱エネルギーが毛乳頭やバルジ領域周囲の皮膚にまで伝わり、痛みとして感知されてしまうためです。
個人差がありますが膝などの皮膚の薄い部分や、VIOのように毛が太く濃い部分、VIOの中でも粘膜に近いIライン(女性器周り)やOライン(肛門周り)は強い痛みを感じやすいとされています。
回数を重ねるごとに痛みを感じにくくなるってホント?
医療脱毛は1回で完了するものではありません。毛には「毛周期」というサイクルがあるため、今生えている毛の他にも、皮膚の下にはこれから生えてくる毛が待機しています。レーザーを照射した後に伸びてくるこれらの毛を処理するためには、毛周期に合わせ、複数回の施術が必要になります。
「何回も痛い思いをしないといけないの?」というように、痛みに対する不安から脱毛を諦めるのは少し早いです。なぜなら、医療脱毛は回数を重ねるたびにレーザーに反応するムダ毛が細く、少なくなってきます。そのため、初めよりは痛みを感じにくくなることが多いのです。
また、医療脱毛を行うクリニック側でも、痛みを軽減するためにさまざまな対処法を用意しています。
医療脱毛の痛みを軽減する方法について
医療脱毛には、感じ方に個人差がありますがどうしても多少の痛みがともないます。しかし近年、痛みを感じにくいとされる医療脱毛方法が登場していることをご存じでしょうか。「そんな夢みたいな方法があるのならば知りたい」という人のために、痛みを緩和する脱毛方法の詳細をご紹介します。合わせて、痛みを軽減するためのセルフケアや、クリニック側が行っている痛み対策についても解説します。
紫外線対策
紫外線対策は今や一年を通して行うのが常識となっていますが、医療脱毛をする場合は普段から日焼け止めやUVカット効果のある上着などで、さらに念入りにする必要があります。
日焼けした肌は予約を入れていても肌トラブルを起こす可能性が高く、施術を断られることがほとんどです。日焼けした肌内部にはメラニンが増加しています。このため、メラニンに反応するレーザーを照射すると痛みを感じやすくなるだけでなく、火傷のリスクも高まるのです。また、照射したレーザーが肌表面のメラニン色素に反応して分散しやすく、毛根まで届きにくくなることも考えられます。そのため、十分な脱毛効果が得られない可能性があるのです。
そして、日焼けをしている肌は乾燥してデリケートになっています。この状態の肌は刺激に敏感になるため、普段なら何ともない部位でも痛いと感じたり、もともと痛みに弱い人なら我慢できなくなったりすることもあるのです。
乾燥
乾燥は美容の大敵であるだけでなく、医療脱毛の痛みを軽減するための大切なポイントです。すでに述べたように、乾燥した肌はダメージを受けやすい状態になっています。普段からボディローションなどを使って、保湿をしっかり習慣付けると良いでしょう。クリニックでは、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分を配合したものをおすすめされることが多いです。
ただし、施術を受ける当日はボディローションや日焼け止めは避けた方が良いでしょう。毛穴がふさがって、脱毛効果が十分に得られなくなる可能性があるからです。また、成分によってはレーザーが反応して火傷などのトラブルにつながる恐れもあります。当日は肌に何も付けず、清潔な状態で行くことを推奨しているクリニックがほとんどです。
麻酔を使用する
クリニックでは医療脱毛の痛みを軽減するための麻酔を用意しています。鼻から吸入する笑気麻酔と、レーザーを照射する部位に直接塗布する麻酔クリームがあります。
笑気麻酔
亜酸化窒素(およそ10~30%・低濃度)と酸素(およそ90~70%・高濃度)を混合した気体を使用します。鼻から吸入するとすぐにお酒を飲んでいる時のような心地よい気分になり、リラックスして痛みを感じにくくなります。施術後は100%の酸素を吸入することで笑気ガスが体外に排出されて、数分でさめるとされています。副作用の心配もほとんどありません。ただし、副鼻腔炎や中耳炎、呼吸器疾患のある人、妊娠中の人は不可とされています。念の為、麻酔後の自動車運転を避けると良いとされています。
麻酔クリーム
リドカインとプロピトカインを有効成分とする局所麻酔剤です。特に顔やVIOなど、感覚が鋭敏な部位の脱毛に適しています。効果が感じるまでに30分ほど必要になるので、施術が始まってからの使用はできません。また、リドカインなどのアミド型局所麻酔剤にアレルギーのある人は使用不可です。歯科治療でも使われている成分なので、気分が悪くなったことのある人は必ず医師に申し出て、別の麻酔方法を選択すると良いでしょう。
笑気麻酔も麻酔クリームも、費用はクリニックによって無料のオプションに含まれる場合と、別途必要になるところに分かれています。契約時に脱毛の料金に含まれるかどうか確認しておくとよいでしょう。1回あたり1,000~3,000円ほどが一般的です。
痛くない脱毛方法がある?
近年、痛みを感じにくいと注目されているのがSHR(Super Hair Removal)方式の脱毛機です。蓄熱式脱毛、蓄熱式ダイオードレーザーとも呼ばれています。低めの出力で同じ箇所に複数回熱エネルギーを蓄積し、毛を生やす指令を送るバルジ領域へダメージを与える方法です。熱破壊レーザーよりも低い65度程度の温度で照射するため、痛みを感じにくいというメリットがあります。
また、肌の表面を滑らせるように照射していくので、打ち漏れが少ないといわれています。
一般的な「熱破壊式レーザー」との違いは以下の記事を参考にして下さい。
「痛くない!」と噂の医療脱毛機を紹介!
では「痛くない」と評判のSHR式脱毛機2つを紹介します。
メディオスター NeXT PRO
メディオスター NeXT PROは808nmと940nm、2種類の波長のレーザーを同時に照射します。メラニンへの吸収性が高い808nmと、肌の深部に到達する940nmをバランスよくブレンドすることで、産毛から剛毛まで、広範囲の脱毛もスムーズに行えるとされています。
弱いレーザーを断続的に照射して熱エネルギーを毛根部に蓄え、毛法組織(毛を包み込んでいる部分)の温度を徐々に上昇させます。その結果、バルジ領域がダメージを受けるため、発毛が抑制される仕組みです。ハンドピースに冷却装置がついているため、照射時の熱が肌内部にこもりにくく、表皮や毛幹部が損傷を受けにくいため、痛みも少なくすみます。
ソプラノアイスプラチナム
ソプラノアイスプラチナムは異なる3つの波長のレーザーを一度に照射します。毛根の深さが違う毛に幅広く対応できる上、円を描くように動かしながら施術することで打ち漏れを減らすことも可能といわれているのです。メディオスター同様、低出力のレーザーを高速で断続的に照射し、付属の冷却装置で冷やしながら行うので、痛みが少なく、術後のほてりも感じにくいのが特徴です。
さまざまな毛質・太さの毛を処理でき、産毛からVIOや男性のひげなど、幅広い部位への施術に適しているといわれています。レーザーの熱量を確認しながら照射できるので、肌トラブルの心配も少ないです。
注意点・費用について
どちらの脱毛機もレーザーの波長が長く、メラニンの吸収率が低いため、日焼けした肌にも照射が可能といわれています。
しかし、赤みやほてり等の症状がある場合は、脱毛不可となることがあります。
心配な人はクリニックへ相談すると良いでしょう。
費用はクリニックによって異なりますが、どちらの脱毛機でもVIOを含む全身脱毛で5回200,000~300,000円ほどが相場です。通常、5回は照射が必要とされているので、多くのクリニックでは1回ごとに支払うよりもコースを契約すると費用が安くなるといえるでしょう。
まとめ
医療脱毛が痛かったのは過去の話になりつつあります。麻酔や新しい蓄熱式脱毛機の導入で、痛みを感じにくくすることも可能になりました。これまで痛みが不安でためらっていた人も、「痛くない」といわれる医療脱毛を体験することで、脱毛に対するイメージが大きく変わるかもしれません。気になるクリニックがあれば、まずは取り扱っている脱毛機の種類や麻酔使用に関して確認してみると良いでしょう。