ヴァンパイアフェイシャルとは、「ダーマペン4」と「PRP療法」を組み合わせた施術のことを言い、最近SNSや動画サイトなどでも話題の治療法です。肌にハリや弾力をもたらすシワやたるみの改善といったエイジングケア効果だけでなく、ニキビ跡や凸凹のあるクレーター肌への効果も高いといわれています。
ダーマペンを用いて極細の針で皮膚表面に小さな穴をあけた状態で、PRPを塗布することで有効成分が肌の奥まで大量に浸透。針の刺激によるコラーゲン増生効果とPRPによる美肌効果が期待できる手法です。
今回はこのヴァンパイアフェイシャルの施術方法から効果、また他の治療法との比較まで詳しく解説します。
ヴァンパイアフェイシャルってどんな治療?
ヴァンパイアフェイシャルとは?
ヴァンパイアフェイシャルは、自分の血液から抽出するPRP(多血小板血漿)を使用して肌の再生を促す「皮膚再生療法」と「ダーマペン4」を組み合わせた治療です。ダーマペンで穴を開けた皮膚に、高濃度PRPを直接塗布して吸収させ、肌の内側から再生を促します。「血液を使う治療だから」「ダーマペンで肌に微細な穴を開ける時に若干の出血が生じるから」という理由からヴァンパイア(吸血鬼)という名前がついたと言われています。
2014年にハリウッドセレブのキム・カーダシアンがヴァンパイアフェイシャルの治療の様子をSNSに投稿して話題になりました。日本では人気女性芸人のバービーさんがクレーターニキビ跡の治療経過をYouTubeにアップしたというニュースでヴァンパイアフェイシャルを知ったという方もいらっしゃるかもしれません。
ヴァンパイアフェイシャルの仕組み
ダーマペン4とは
ダーマペン4は、髪の毛より細い針を肌に高速で刺していくことができるマシンで1秒間に1920個もの穴を空けることができます。針で皮膚にあいた微小な穴から美容成分を浸透させるという効果と、老化やニキビ跡などのトラブルを抱える組織を針で傷つけることで、新しい肌へと再生させる効果が期待できます。また、ダーマペンにより傷つけられた肌は、細胞を修復するためにコラーゲンやエラスチンが大量に生成されるため、ハリや弾アップ、さらに細胞が活性化することでターンオーバーも促進されるので、くすみのないキメの整った美肌効果も得られるとされています。
ダーマペン4の針は0.2mm〜3mmの深さま0.1mm単位で調整することができるため、気になる症状によってアプローチする深さを変えることが可能です。最大3mmの深さにすることでこれまで特に難しいとされてきたクレーター状のニキビ跡にも高い効果が期待できるようになったと言われています。
また、ダーマペン4は併用する薬剤によって、様々な効果が得られるのも特徴の一つです。肌の悩みや症状に合わせて、最適な薬剤を選択することでより高い効果が期待できます。
PRP療法とは
PRP療法とは、自分の血液から抽出したPRP(多血小板血漿)を肌内部に注入する事で、肌細胞を修復、再生する治療です。抽出されたPRPに含まれる豊富な成長因子が、肌の内部のコラーゲン生成を促進したり、ダメージを受けた細胞を修復したりすることで、ニキビ跡など肌の凹凸や小じわの改善や、肌のツヤ感、ハリ感をアップさせる効果が期待できます。
注入する方法としては、注射器で気になる部分に直接注射する方法、水光注射などのマシンを用いて注入する手法、そしてダーマペンと併用し肌の奥まで浸透させる方法(ヴァンパイアフェイシャル)などがあります。ヒアルロン酸やコラーゲンなどの一定期間で分解される薬剤とは異なり、PRPは細胞そのものを活性化させる効果があるため、持続期間が長いことが特徴とされています。
また、自分の血液から抽出した成分を使用するため、アレルギーなどの副作用の心配がほとんど無いとされており、安全性の高い治療法だと言えます。
2020.07.31
ダーマペンとPRPの相乗効果とは
ダーマペンは、単体でも針の刺激による細胞の活性化が期待できますが、PRP療法と組み合わせるとさらに効果が高まるとされています。ダーマペンの施術直後にPRPを塗布、または、塗布したうえからダーマペンの施術をすることで、PRP成分が肌の奥に届きやすくなります。注射で皮膚に注入する場合は部分的にアプローチするところを、ダーマペンと併用することで顔全体に満遍なくPRPを浸透させることが可能なため、ダーマペン、PRPそれぞれを単体で使用するのと比べると肌質改善などの効果が格段に上がります。PRPによる治癒促進が期待できることから、ヴァンパイアフェイシャルではダーマペンの針の深さを2.5mm以上で施術することが一般的なようです。ダーマペン4で作られた針の穴を修復しようとする自然治癒の働きが、PRPに含まれる成長因子によって促進され、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった成分が大量に生成されます。
ヴァンパイアフェイシャルで期待できる効果
コラーゲンが増生されることで、肌にツヤやハリが出てシワが目立たなくなるなどエイジングケアとしての効果が期待できます。また傷を修復する自然治癒力の作用でニキビ跡や妊娠線、肉割れの改善にも効果を発揮すると言われています。実際にレーザー治療では物足りない方や、改善が難しいクレーター状のニキビ跡にお悩みの方が、多くヴァンパイアフェイシャルを選ばれているようです。
こんなお悩みの方に向いている
- ニキビ跡が気になる
- クレーター、肌の凸凹を改善したい
- エイジングケアをしたい
- 毛穴のたるみが気になる
- シワを改善したい
- 妊娠線や肉割れを薄くしたい
施術について
ヴァンパイアフェイシャルの施術の流れ
① 麻酔クリームを顔に塗布
② 採血(15㏄~20㏄程度)
③ 採血した血液を遠心分離機に入れて血小板だけを取り出す
④ PRPを皮膚表面に塗布
⑤ ダーマペン4で真皮まで微細な穴をあけてPRPを吸収させる
回数や費用、ダウンタイムなど
施術時間はどのくらい?
麻酔の時間込みで1時間程度。
施術中の痛みは?
顔全体に麻酔クリームを塗布してから施術するため、それほど強い痛みはありませんが、鼻や額など皮膚の薄い部分はダーマペンの針を刺した際にチクチクとした痛みを感じることがあるようです。
ダウンタイムは?
施術中には多少の出血を伴いますが、すぐに治まります。施術直後から赤みやほてり、ひりひり感が生じますが、一般的に数時間〜3日程度で落ち着くと言われています。目の周りや針の深さによっては、数日から〜1週間程度針跡が細かいかさぶたのように赤くなることがありますが、メイクでカバーできる程度とされています。当日の入浴やサウナ、運動などは控えるよう推奨されており、メイクも翌日からとなっています。
費用相場は?
全顔1回10万円~15万円程度、妊娠線の改善は約20万円です。
施術回数は?
自然治癒力とコラーゲン増生により症状を改善に導く治療のため、効果は施術から1カ月程度かけて少しずつ現れるとされています。1回の治療で効果を感じられることもあるようですが、1カ月ごとに3回~5回繰り返し治療をおこなうと、より長期間にわたって効果を持続できるとされています。特にクレーター状のニキビ跡の改善には複数回治療が必要とされています。
ヴァンパイアフェイシャルのメリット・デメリット
メリット
- PRPは自分の血液から生成しているため、拒絶反応やアレルギー反応を起こす可能性がほとんどなく安全性が高いとされている
- 効果がゆっくり現れるため、周りに治療をしたことが分かりにくい
- 効果の持続期間が長い
デメリット
- 効果が表れるまでに1か月程度かかる
- ダウンタイムとして1週間ほど赤みが残る場合がある
- 施術料金が高い
- クレーター、肌の凸凹改善には複数回の施術が必要
- 年齢、その時の体調によって効果が出にくいことがある
- 妊娠中、授乳中の方は施術が受けられない
ヴァンパイアフェイシャルと同様の効果がある施術
エイジングケアからクレーター状のニキビ跡など肌の凹凸改善にまで効果が期待できる治療法は、ヴァンパイアフェイシャルの他に「CO2フラクショナルレーザー」「マイクロニードルRF」などがあります。
肌を入れ替える「フラクショナルCO2レーザー」
皮膚にレーザーのエネルギーを点状に加え、皮膚組織の再生を促します。レーザー照射後の小さな傷を修復しようとする自己治癒能力により様々な成長因子が放出され、コラーゲンやエラスチンが増殖されます。エイジングケアとしての効果に加えて、レーザーで生じた小さな傷が治る過程で元々あったニキビ跡や肌の凸凹も改善される効果が期待できます。重度のニキビ跡の治療には、複数回の治療が必要とされており、4週間に1回の治療を5~10回受けることが推奨されています。
レーザー照射前に麻酔を行いますが、それでも照射中に熱感やピリピリとした痛みを感じ、照射後も強い日焼けをした後のようなヒリヒリとした熱感が数時間続くという声が聞かれます。クレーター治療など強いパワーでの照射が必要な場合は、特に症状がひどい箇所に部分的に照射を行う方がいいかもしれません。ダーマペンと違ってレーザーによる熱作用が加わるため、たるんだ皮膚の引き締め効果も期待できます。
1回の費用は5万円程度でヴァンパイアフェイシャルと比べて安価ですが、場合によっては複数回治療が必要であることからトータルでの治療費用を計算しておいたほうがいいでしょう。ダウンタイムとしては、赤みに加えてかさぶたができますが1週間程度で落ちつくケースが多いようです。
フラクショナルレーザーの治療が受けられる全国のクリニック一覧
進行性のニキビにも効果あり「マイクロニードルRF」
マイクロニードルRFとは、極細のニードル(針)で真皮層に直接RF(ラジオ波・高周波)を流して熱刺激を与え、コラーゲン、エラスチンの新生を誘導する治療です。主にニキビ跡への効果が高い施術とされていますが、ニキビの原因であるアクネ菌を熱で殺菌するため、進行性のニキビにも効果を発揮すると言われています。施術費用は5万円程度、施術中の痛みやダウンタイムも軽いほうだと言われています。1ヶ月に1回の間隔で3回程度の治療が目安とされています。
メラニンを作るメラノサイトへの栄養を供給している毛細血管を破壊することでメラニンの生成を抑えるという働きから、肝斑治療としても注目を集めている治療法です。
まとめ
いかがでしたか?マスク生活の影響か、最近はダウンタイムのある美容施術をあえて選ぶ方も増えているようです。少しハードな治療の印象があるヴァンパイアフェイシャルですが、ツヤ、ハリを手に入れて肌力を復活させたい方、長年ニキビ跡にお悩みの方は思い切ってチャレンジしてみてもいいかもしれません。まずはご自分の肌悩みが、ヴァンパイアフェイシャルで改善可能かどうかクリニックのカウンセリングを受けてみるといいでしょう。