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湘南美容は「新技術」をどう選ぶのか、専門チームで年間80件を精査、美容皮膚科の質を守る仕組みを語る、湘南美容クリニック皮膚科全体統括の西川礼華氏に聞く Vol.1

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/編集部)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/編集部)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏
湘南美容クリニック皮膚科全体統括

  • 非外科的治療の拡大→フェイスリフトやクマ治療などでも、デバイス・注入治療といった低侵襲でダウンタイムの短い方法へのシフトが進んでいる。
  • 安全性重視の高まり→原料の由来やリスク、施術者の資格などについて、患者側から具体的な質問が増え、リテラシーが向上している。
  • 地域によるニーズ差→地方では自然さ・低価格・気づかれにくさが重視され、都心ではそれに加えて最先端性や高い効果への関心が強い。

──ここ数年の美容皮膚科の変化は大きい。

西川氏: トレンドという点では、私たちのグループ全体を見るとお客さま数は年々増えています。その中でも、いわゆる非外科的治療、美容皮膚科のカテゴリーに入る治療を希望される方が増えており、2025年末の時点でも増加傾向が続いています。

──非外科的治療が増える変化はどの部分に現れている?

西川氏: 分かりやすいのは、従来は外科的なアプローチが第一選択になりやすかった領域です。

 例えばフェイスリフトや目の下のクマ治療のような領域でも、デバイス治療や注入治療など、より侵襲度が低く、ダウンタイムも短い方法へとニーズがシフトしてきています。背景には、ニーズに応え得る技術が次々と登場していることがあると考えられます。

 女性だけでなく男性のお客さまも増えています。SNSの影響も大きいと思います。

──治療を受ける人のニーズも変わっている?

西川氏: 特に強く感じているのは、安全性に対する関心の高まりです。以前は、例えばインフルエンサーが受けているのを見て「自分も受けたい」という、比較的シンプルな動機で治療を選ばれるケースも多かった。

 ただ最近は、お客さまから「原料は何由来か」「どんなリスクがあるか」「施術は医師が行うのか、看護師が行うのか」といった、安全性に関する具体的な質問を非常に多く受けるようになっています。

──リテラシーが上がっている。

西川氏: 美容医療が医療である以上、有害事象や合併症のリスクを伴うという認識が広がっている表れと感じています。私たち提供側も安全性や標準化をより強く意識していく必要があります。

 そうした大きなトレンドは全国で概ね共通しています。細かく見ると地域性は確かにあり、いわゆる地方では、ダウンタイムが少なく、周囲に「美容クリニックに通っている」と気づかれにくい、自然な変化を求める方が多い傾向があります。また、コスト面で低価格帯の治療が重視されやすい傾向もあります。

 一方で都心部では、そうした条件に加え、より最先端のものを受けたい、より効果が高いものを受けたいといったニーズもあり、希望が多層化している印象があります。

  • トレンドの精査→国内外の学会や承認状況を継続的に把握し、流行よりも再現性と安全性を重視して判断。
  • 多職種チームで検討→医師・看護師など現場メンバー中心の専門チームが、新技術を運用面まで含めて評価。
  • 現場循環の仕組み→本部と現場を行き来する人材配置で、実態に即した技術選定と改善を継続。

──その変化を踏まえて、新しい施術や新技術に対応する必要もある。

西川氏: 新しい施術や新技術をどう扱うかは、まさに皮膚科統括の役割を持つ私の仕事の一つとなります。大前提として、業界トレンドを正確に把握する必要があります。

 国内学会だけでなく国際学会も含めて、私自身かなりの数の学会に参加し、情報を継続的にインプットしています。その上で、グループとして何を採用し、どう展開するかを判断していく、という考え方です。各国の承認状況もかなり細かく追っています。

──判断のプロセスとは。

西川氏: 新技術を導入する際も、もちろんトレンドは見ますが、トレンドの速さそのものよりも、医療として再現性があるか、安全性が担保できるか、そこを軸に判断しています。

 グループ内には新しい治療を検討する専門のチームがあります。私を中心として、医師だけではなく、看護師なども含めた多職種で構成し、単なる机上の検討ではなく、実際に現場で診療や施術に関わっているメンバーが中心です。

 現場にいる人間が一番、お客さまの不安や不満、そして「ここがクリアできればもっと良いのに」という具体的な改善点を把握しています。新しい施術を検討するときも、導入した後に全国展開の運用に乗せても大丈夫か、オペレーション面まで含めて見極めないといけません。

 私は意識して「現場感がある人材」を本部に呼びます。一定期間が過ぎたら現場に戻っていただき、新たなメンバーを呼ぶという循環を作っています。

──専門のチームづくりはいつ頃から動き始めた?

西川氏: 本格的に機能し始めたのは2018年頃です。私自身の立場がその時期に「グループ全体の皮膚科を見てほしい」と任されたことがきっかけとなりました。

 そこで改めて思ったのは、美容皮膚科の肝は「治療をどう選ぶか」と「それをどう使いこなすか」。これは私一人だけで決めるのではなく、治療選定を組織として担えるチームにしたいということです。要望をグループ内で継続的に共有しながら、少しずつ形にしてきました。

 チームに常時参加しているコアメンバーは10名程度で、年間約80件の技術について検討しています。検討対象は幅広く、脱毛、シミ治療、たるみ治療、注入治療、痩身治療といった主要施術はもちろん、麻酔クリームをどうするか、針をどうするか、といった周辺の技術まで含まれます。

 外からは知られていないかもしれませんが、私たちとしてはお客さまにとっての安心材料になる部分だと考えています。(続く)

プロフィール

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/湘南美容クリニック)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/湘南美容クリニック)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏
湘南美容クリニック皮膚科全体統括
2013年横浜市立大学医学部医学科卒業。2015年国立病院機構東京医療センターで臨床研修修了後、湘南美容クリニックに入職。2018年湘南美容クリニック皮膚科全体統括。2023年SBC東京医療大学客員教授。日本美容皮膚科学会、日本美容外科学会(JSAS、JSAPS)、日本再生医療学会、日本先進医療医師会、日本抗加齢医学会、日本医学脱毛学会、日本レーザー医学会、ASLMS(米国レーザー医学会)など所属。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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