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「流行っているから」は採用しない、独自の成分分析まで行う技術選び、再現性と安全性をどう担保するのか、湘南美容クリニック皮膚科全体統括の西川礼華氏に聞く Vol.2

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/湘南美容クリニック)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/湘南美容クリニック)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏
湘南美容クリニック皮膚科全体統括

  • 厳選導入→年間約80件を検討し、再現性・安全性・中長期リスクを評価した上で導入は約10件に限定。
  • 全国運用前提→経験差のある医師・看護師でも重大トラブルが起きにくいかを重視。
  • 根拠の検証→メーカー資料を鵜呑みにせず、成分分析などで品質と信頼性を独自確認。

──専門チームで検討した上で採用を決めていく。

西川氏: 約80件を検討すると申し上げましたが、最終的に導入されるのは約10件に絞り込まれます。私たちは「流行っているから入れる」という判断はしません。再現性、安全性、中長期の効果まで含めて必ず評価します。

 美容皮膚科領域では、例えばスキンブースターのように、施術直後は問題がなくても、時間が経ってからしこりができたり、遅れてトラブルが起きたりする可能性があります。だから「やってみて良かったから入れる」というのは危険だと考えています。

──中長期を見ることは重要。

西川氏: 全国展開しているため、医師や看護師にも経験の差があります。どのレイヤーのスタッフが担当しても重大なトラブルが起きにくい形で医療提供できるか。ここは大手として極めて重要なポイントだと思っています。

 検討の中ではメーカーや販売会社が提示する資料が本当に正しいかという視点も持ちます。例えば脂肪溶解注射を導入しようとしたとき、出回っている製品を複数取り寄せ、効果を機器で評価したことがあります。成分の分析に出したのです。

 すると、資料に「この成分が何%入っている」と書かれているのに、実際にはほとんど入っていない製品を確認できたこともあります。これは正直、驚く出来事でした。

──成分の確認までは大手でなければできなさそうだ。

西川氏: 成分の分析には費用がかかりますが、私たちのような大手だからこそ、あえて分析し、「もし品質にばらつきのある製品が存在するなら、それは再現性のある治療にはならないし、お客さまにとって良い選択肢ではない」と判断できる。

 専門チームを持つ中で、提示された根拠を疑って、多角的に検証し、見極める役割も担っています。

 もっとも、私たちがそうした検証結果を、具体名を出して話すことはなかなか難しいので、グループ内にとどめています。そのような検討を重ねながら、採用する技術を決めています。

  • 定期更新→既存施術のプロトコルは約半年ごとに見直し、改善を継続。
  • 満足度重視→「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」などの指標で施術別に評価し、低下要因を分析。
  • 新旧比較→新技術導入だけでなく、既存治療の改良で足りるかも同時に検討。

──新しい治療の導入と同じくらい、既存の治療の更新も重要に?

西川氏: 既存の施術も、グループ内のプロトコルは半年に1回くらいの頻度でバージョンアップしていきます。

 ここで活用しているのが、お客さまの満足度を示す指標です。治療後に満足度を調査し、施術別にスコアを継続的にトラッキングしています。一般企業でも利用されているNPS(ネット・プロモーター・スコア)と呼ばれる仕組みを使っています。

 スコアが低い、あるいは下がっている施術があれば、「なぜ下がっているのか」を掘り下げます。効果が弱いのか、痛みが強いのか、価格が高いのか。原因を見ていくと、たいてい何らかの理由に辿り着きます。

 その結果を踏まえて、価格を改定するのか、より効果が出るプロトコルに変えるのか、あるいは痛みを減らすために麻酔の見直しが必要なのか、そうしたアップデートを積み重ねています。

──新しい治療を採用する専門チームが同じく行っている?

西川氏: 新しい治療の専門チームと完全に別というより、一定のメンバーの中で担当が分かれ、検討をしています。新しい治療を検討する際には、必ず既存治療の比較も行います。

 例えば、新しい高周波のデバイスが流行して「導入したい」というニーズが出てきたときに、SBCグループにはサーマクールのような王道とされる高周波治療が既にある状況です。

 この場合には、サーマクールをリニューアルして使い方をさらに熟練すればよいのではないかという検討は必要になります。

 このように、新しい技術を導入するのか、既存の治療を改善するだけで十分なのではないか、という問いを同時に立てていくのです。(続く)

プロフィール

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/湘南美容クリニック)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏。湘南美容クリニック皮膚科全体統括。(写真/湘南美容クリニック)

西川礼華(にしかわ・あやか)氏
湘南美容クリニック皮膚科全体統括
2013年横浜市立大学医学部医学科卒業。2015年国立病院機構東京医療センターで臨床研修修了後、湘南美容クリニックに入職。2018年湘南美容クリニック皮膚科全体統括。2023年SBC東京医療大学客員教授。日本美容皮膚科学会、日本美容外科学会(JSAS、JSAPS)、日本再生医療学会、日本先進医療医師会、日本抗加齢医学会、日本医学脱毛学会、日本レーザー医学会、ASLMS(米国レーザー医学会)など所属。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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