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美容医療は「ロンジェビティ」の流れの中でどう変わる?世界的に健康長寿に注目 日本でもSBCが戦略を打ち出す【編集長コラム】

細胞の老化を防ぐ方法とは。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

細胞の老化を防ぐ方法とは。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 世界的に美容医療が、健康寿命を延ばすロンジェビティの視点から発展する動きが目立っている。日本国内最大級の美容医療チェーンを展開するSBCメディカルグループホールディングス,(SBC)も、ロンジェビティ領域を重視する戦略を打ち出した。

 美容医療はこのようなロンジェビティを重視する流れの中でどう変わるのか。

「老化」に注目する背景

「Cible Skin」正面とウィンドウディスプレー。

シャンゼリゼ周辺にあるロンジェビティ・クリニック「Cible Skin」。(写真/編集部)

  • 老化への関心→ 美容医療は見た目の改善だけでなく、老化の原因そのものに向き合う流れが強まっている。
  • 統合的なケア→ 海外では施術とホームケアを組み合わせ、炎症や酸化ストレスにも対応する考え方が広がっている。
  • 測定して対策→ 老化を可視化し、数値に基づいて管理する発想が注目されている。

 ヒフコNEWSでは、この1月から2月にかけて、フランスのパリで開催されたIMCASや現地の医師に取材をして、海外のロンジェビティに関わる動きを確認している。

 例えば、フランスパリのシャンゼリゼ通り近くにクリニックを開設しているCIBLE SKINは、「世界初のスキン・ロンジェビティクリニック」を掲げ、皮膚老化を慢性炎症の問題として捉える。肌にシワやたるみができるのは、老化が進むためであるという観点から、こうした形の変化を整えるばかりではなく、根本的な原因に対処する。その観点から注目しているのが、炎症、酸化ストレス、マイクロバイオームの乱れという要素だった。非外科的施術とホームケアを組み合わせるのが大きなポイントで、クリニックで美容施術を受けることと、自宅などでスキンケアをすることを一体としてとらえているのがポイントだ。医療とコスメティックを組み合わせるという動きは、これからの美容医療のトレンドを考える上では重要と見られた。

 また、IMCASでは、元ガルデルマCEOのウンベルト・アントゥネス氏が、美容医療施設の多くがウェブサイト上で「ウェルネス」「再生」「ロンジェビティ」といった言葉を使い始めていると指摘した。美容医療の中に、ロンジェビティの概念が切っても切れない考え方として浸透していることが示された。

 ロンジェビティを考えるときに欠かせないのは、老化を単なる自然現象ではなく、測定し、遅らせ、管理する対象として見る考え方の広がりだ。化粧品最大手のロレアルがロンジェビティ研究を強化しているが、生物学的年齢や老化関連バイオマーカーの解析に乗り出していることは無関係ではないだろう。老化の程度を測って、そこに手を打つという手法が一般的になる可能性がある。

日本でも「美容医療」+「健康長寿」

来場者最多になった大阪ヘルスケアパビリオン。(写真/Adobe Stock)

来場者最多になった大阪ヘルスケアパビリオン。(写真/Adobe Stock)

  • 日本でも動き→ SBCがロンジェビティを重視する戦略を打ち出し、国内でも関心が高まりつつある。
  • 健康長寿との接点→ 見た目の若さだけでなく、身体機能や体内年齢も含めて考える方向に広がっている。
  • 今後の広がり→ 日本でも美容医療とロンジェビティを結びつける動きが増える可能性がある。

 SBCはこの3月に「SBC Wellness 2.0」を掲げて、ロンジェビティの取り組みを強化すると説明した。ロンジェビティについては、「長寿・身体機能の最適化」と位置付けている。

 SBCは、ロンジェビティ領域で手掛ける内容として、血液バイオマーカーなどによる「数値化」、体内年齢スコアなどの「可視化」、サプリなどの「最適解」、健康管理などの「伴走」、健康に関わるデータを継続的に蓄積する「資産化」を打ち出している。こうした方向性は前述の世界の動きとも通じるところがある。

 日本では、大阪・関西万博をきっかけに、健康長寿や身体年齢に対する関心が高まり、ロンジェビティという概念の認知も広がる可能性がある。見た目の老化だけではなく、身体そのものの年齢が重要だということが、パビリオンで人気を集めた。

 IMCASで示されたアントゥネス氏の調査と比べると日本ではロンジェビティという概念が美容クリニックで広がりを見せているとは言い切れないかもしれないが、今後、一層、ロンジェビティを打ち出す動きは増える可能性もある。

参考文献

SBCメディカルグループ、次世代ウェルネス戦略「SBC Wellness 2.0」を発表
https://sbc-holdings.com/ja/news/360?from=top

世界初「スキン・ロンジェビティクリニック」、慢性炎症に着目し酸化ストレスやマイクロバイオームの乱れに対処 スキンケアと美容医療を組み合わせ CIBLE SKIN創業者のアクニン氏とジネフリ氏に聞く
https://biyouhifuko.com/news/interview/17016/

「55歳以上は巨大市場」 美容医療はロンジェビティの考え方で大きく伸びる スキンケアやGLP-1関連治療も拡大の予想が示される IMCASで22兆ドル経済圏のメガトレンドと表現
https://biyouhifuko.com/news/world/16948/

美容医療はスキンケア・施術・皮膚科などが統合、ロンジェビティ分野へ広がる 一般の医療が美容に転用されるとの観測も IMCASで元ガルデルマCEOが講演
https://biyouhifuko.com/news/world/16783/

ロレアルが長寿研究の強化、予防の重視を宣言、老化への対策で提携を広げる、「フラーリッシング×ロンジェビティ」で変わる美容医療
https://biyouhifuko.com/news/world/13274/

老化を左右するのは遺伝よりもライフスタイル、喫煙や運動不足などは要注意、50万人の調査から考える「ロンジェビティ(longevity)」、オックスフォード大学が研究結果を報告
https://biyouhifuko.com/news/research/11479/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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