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美容外科からアンチエイジングへ ホルモン補充療法との出会いが転機に 再生医療へ広がる関心の原点 東京皮膚科・形成外科総院長の池田欣生氏に聞く Vol.1

池田欣生(いけだ・よしお)氏。東京皮膚科・形成外科総院長。フランス・パリで取材。(写真/編集部)

池田欣生(いけだ・よしお)氏。東京皮膚科・形成外科総院長。フランス・パリで取材。(写真/編集部)

池田欣生(いけだ・よしお)氏
東京皮膚科・形成外科総院長

  • 手術による若返り→ 池田氏は形成外科・美容外科で、手術による若返りに取り組んでいた。
  • 美容外科の捉え方→ 見た目を整えるだけでなく、その人の状態を良くする医療と考えていた。
  • 内側からの若返り→ 米国のホルモン補充療法を知り、身体の内側から若返りを考えるようになった。

──出発点は美容外科。

池田氏: はい。もともとは形成外科、美容外科が出発点です。最初はフェイスリフトや眼瞼下垂など、手術で若返らせる治療を専門にやっていました。いまは老化や再生医療の話をしていますが、最初から内科的な若返りに関心があったわけではなく、まずは外科的にどう若返らせるか、というところから始まっています。

──形成外科の延長線上に美容外科があった。

池田氏: そうです。形成外科には、単に見た目を整えるだけではなく、先天異常や病気を持って生まれた方に対して、機能も外見も良くしていくという考え方があります。私はそういう思想の延長として美容外科を見ていました。見た目を良くすることが、単なる装飾ではなく、その人の状態をより良くすることにつながるという感覚です。

──そこからアンチエイジングへ関心が広がった。

池田氏: 2000年ごろに、アメリカでホルモン補充療法が広がっていく流れを知ったことが大きかったです。高齢者に若い人に近いホルモン環境をつくることで、筋肉や活力が戻るという考え方ですね。当時のアメリカでは、その流れが後の美容内科につながっていったのですが、それを見て衝撃を受けました。

 外科で顔を若く見せるだけでなく、身体の中から若返りに働きかけることができるのではないか、という発想に触れたんです。

──当時の日本では、そうした考え方はまだ一般的ではなかった。

池田氏: そうですね。当時の日本では、美容といえば美容外科が中心でした。美容内科のような市場は、まだほとんどありませんでした。プラセンタを使うと少し元気になる、というような話はありましたが、それくらいでした。

 一方で、成長ホルモン補充のような話になると、がんを加速させるのではないかという警戒も強くて、簡単には手を出せない空気がありました。私自身も興味はありましたが、すぐに飛びつくのではなく、論文を読みながら慎重に見ていました。

  • 当時は手術が中心→ 日本では美容といえば手術が中心で、美容内科はまだ一般的ではなかった。
  • 海外研究を参考→ 池田氏は海外の論文や研究を見ながら、内側からの若返りを慎重に探った。
  • 再生医療への関心→ 手術だけでは老化全体は変えられないと感じ、再生医療や老化研究へ関心が広がった。

──論文を追う中で、見方が変わっていった。

池田氏: はい。最初は半信半疑でしたが、世界中で追試が進み、筋肉や活力の変化が確認されていくのを見て、これは単なる流行ではないと思うようになりました。

 自分が30歳くらいのころで、若さのエネルギーとは何かを、自分の感覚としても考えていた時期でした。30歳でも十分若いのですが、もっと若いときの、何をやっても楽しい、無理がきく、あの感じは何なのか。そこに医療で近づける可能性があるなら、見た目だけではない若返りがあるのではないかと感じました。

──当時のアンチエイジングは、現在とは違った。

池田氏: 違っていたと思います。当時は、老化といえば酸化還元やビタミン点滴のような話が中心でした。がん治療に使われていた点滴が、老化予防にも使えるのではないかという流れもありましたし、それが雑誌などで取り上げられると、点滴で若返るというような形で一気に広がることもありました。

 ただ、私の関心は、そうした流行の表層よりも、その先にある本質でした。老化とは何か、外科では届かない若返りとは何か、そこをずっと考えていました。

──研究にも取り組み始めた。

池田氏: 海外の情報に触れている医師や、内科的なアンチエイジングに関心のある仲間と一緒に、当時は研究会という形で、手術だけではない若返りを考える場を作っていきました。その流れの中で、プラセンタだけではなく、脂肪由来の細胞や再生医療に近い領域にも関心が広がっていきました。美容外科から始まったのですが、結局は老化そのものに向き合う方向へ進んでいったのだと思います。

──外科から始まった経験が、その後の研究にもつながっている。

池田氏: はい。手術は強力ですが、それだけで人間全体が若返るわけではありません。顔を整えても、身体の内側の老化までは変えられない。その限界を現場で見ていたからこそ、見た目の若返りを入り口にしながら、もっと根本のところを知りたいという気持ちが強くなったのだと思います。(続く)

プロフィール

池田欣生(いけだ・よしお)氏。東京皮膚科・形成外科総院長。フランス・パリで取材。(写真/編集部)

池田欣生(いけだ・よしお)氏。東京皮膚科・形成外科総院長。フランス・パリで取材。(写真/編集部)

池田欣生(いけだ・よしお)氏

東京皮膚科・形成外科総院長。大阪医科大学(現大阪医科薬科大学)卒業後、田嶋定男元教授、谷野隆三郎元教授の下で形成外科の診療に従事。2000年に銀座・いけだクリニック(現・東京皮膚科・形成外科)を開設しダウンタイムの少ない手術を追求し、エンジェニードル、美容用チタンピン鑷子(せっし)、Gコグスレッドなどの開発に取り組む。2010年に日本アンチエイジング外科学会、2017年には医療アートメイク学会を設立し、会長を務める。2023年、第111回日本美容外科学会(JSAS)学会長。銀座、品川、日本橋、大阪、香川、上海を拠点に美容医療の普及に取り組んでいる。日本形成外科学会専門医。日本美容外科学会(JSAS)専門医。東海大学病院形成外科非常勤講師。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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