
ヒアルロン酸は残るのか。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
ヒアルロン酸フィラーは「いずれ分解される」「必要なら溶かせる」と説明されることが多い。しかし、長期にわたって残る可能性が指摘されることがある。
英国の医師が2026年4月に、ヒアルロン酸が長期にわたって残る可能性について美容皮膚科誌で報告した。
約20年の注入歴、推定30mL超で残存を示唆

ヒアルロン酸の残り方とは。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 長期注入で残る可能性→ 約20年にわたり注入を重ねた症例で、フィラーの残存が疑われた。
- 溶解後も違和感が残る→ ヒアルロニダーゼ治療後も、ふくらみや硬さ、肌の凸凹が残った。
- 蓄積の要因も指摘→ 繰り返し注入や大きな注入量により、想定より長く残る可能性がある。
報告されたのは、中年女性の単一のケースだ。
論文によると、この女性は約20年にわたりヒアルロン酸フィラー注入を繰り返し受け、当初はほうれい線、その後は頬、くちびる、マリオネットライン、あごの輪郭などへと注入部位が広がっていった。
正確な記録は残っていないが、著者らは過去の注入量を控えめに見積もっても30mLを超えるとしている。
女性は、顔のふくらみが少しずつ目立つようになり、一部に硬さも感じるようになったという。その後、過去に入れたフィラーを溶かすため、何度かヒアルロニダーゼの治療を受けたが、それでもふくらみや肌の凸凹が残っていると感じていた。
診察では、頬のあたりや口の周りに、皮膚の下でやや硬く感じられる部分があった。MRIでも、過去にフィラーを入れた場所に対応する部分に、まとまった残存を疑わせる所見が確認された。著者らは、こうした結果から、フィラーが長く残っていた可能性があるとした。
著者らは、架橋の強さ、同じ部位への繰り返し注入による層状の蓄積、大きなボーラス注入による酵素の届きにくさなどが、長期残存に関わる可能性を挙げた。繰り返し多部位に注入した場合には、想定より長く残ることがあり得るため、説明同意の場面でも、その点を現実的に伝える必要があるとしている。
2024年の研究でも残存を確認

ヒアルロン酸注入のその後。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- MRI研究でも確認→ 2024年の研究では、注入から2年以上たった全員でヒアルロン酸が確認された。
- 最長15年の残存例→ 中には8〜15年経過しても残っていた例が報告された。
- 一時的とは限らない→ ヒアルロン酸フィラーは必ず短期間で消えるとは言い切れず、事前の理解が重要。
こうした長期残存の可能性は、単一症例だけで語られているわけではない。
2024年には、中顔面にヒアルロン酸フィラーを注入した33人をMRIで調べた論文が出ている。そこでは、注入から2年以上たった全員でヒアルロン酸が確認され、完全に消失した例はなかったと報告された。
そのうち21人は最後の注入から2〜5年、12人は5年以上が経過しており、中には8〜15年経過していた人もいた。論文では、ヒアルロン酸フィラーは最長15年にわたり確認されたとしている。
この2024年の報告は、中顔面に限った検討だが、「ヒアルロン酸フィラーは3〜12カ月程度でなくなる」といった従来の理解を見直す必要性を示した。
今回の2026年の症例論文は、そうした流れの中で、繰り返し注入を受けた患者では、長い年月の中でフィラーが蓄積し、膨らみや硬さといった問題につながる可能性があることを改めて示した形だ。
ヒアルロン酸フィラーは「完全に一時的なもの」とは言い切れない可能性がある。美容医療を受ける側としても、そうした点を理解した上でフィラー治療と向き合っていくことが大切になりそうだ。
参考文献
Prager M, Lusher J. Long-Term Persistence of Hyaluronic Acid Fillers: A Clinical Illustration and Implications for Practice. J Cosmet Dermatol. 2026 Apr;25(4):e70879. doi:10.1111/jocd.70879.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13100341/
Master M, Azizeddin A, Master V. Hyaluronic Acid Filler Longevity in the Mid-face: A Review of 33 Magnetic Resonance Imaging Studies. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2024 Jul 15;12(7):e5934. doi: 10.1097/GOX.0000000000005934. PMID: 39015357; PMCID: PMC11250456.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39015357/
