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予防医療の壁を越えて何を目指すのか AI時代に考える美容医療と老化研究の先 東京皮膚科・形成外科総院長の池田欣生氏に聞く Vol.4

池田欣生(いけだ・よしお)氏。東京皮膚科・形成外科総院長。フランス・パリで取材。(写真/編集部)

池田欣生(いけだ・よしお)氏。東京皮膚科・形成外科総院長。フランス・パリで取材。(写真/編集部)

池田欣生(いけだ・よしお)氏
東京皮膚科・形成外科総院長

  • 老化細胞への注目→ 池田氏は幹細胞研究を追う中で、老化細胞の除去を重要なテーマと見ている。
  • AI時代の美容医療→ 画像上の見え方はAIで整えやすくなり、医療が担う価値が改めて問われている。
  • 老化予防への関心→ 見た目を整えるだけでなく、老化そのものに向き合う医療を重視している。

──老化細胞への関心は強い。

池田氏: 幹細胞の研究について長く関心を持って見てきましたが、老化細胞には特に注目しています。例えば、老化細胞の除去は、まだ全部が分かったわけではありませんが、重要なテーマと受け止めています。

 今はAIを用いることで、論文を調べるなど、情報収集のスピードは大幅に上がりました。もっともAIは整理や構成のようなことは得意だけれど、ゼロからイチを作るのは苦手です。中には誤った情報を出す場合もありますから、研究でも診療でも、人間の側が見抜けないと危ないです。

──美容の領域でもAIの影響が出てきている。

池田氏: 今はスマホやAIで、画像の中の見え方を整えること自体は簡単にできます。本人が思っている以上に、かわいく見せることも難しくありません。

 もともと美容医療には、現実の見た目をきれいに整えたり、かわいく見せたりする役割がありますし、写真映りや見られ方を良くするために使われてきた側面もあると思います。そうした価値がなくなるわけではありません。

 ただ、画像の中だけならAIでもかなり作れる時代になってきた。そうなると、医療が本当に担うべき価値はどこにあるのかが、逆にはっきりしてきます。自分はやはり、見え方を良くすること以上に、老化そのものや老化予防に関わる医療をやりたかったのだと、前よりはっきり感じるようになりました。

  • 目標は自由に動ける時間→ 池田氏は、介護される時間を減らすことを重要な目的としている。
  • 見た目の先を考える→ 若返りは顔だけでなく、動けるか、出かけられるかまで含めて考える必要がある。
  • 美容と老化研究はつながる→ 最終的には、人間らしく生きられる時間を延ばすことを目指している。

──目指しているのは、見た目の若返りだけではない。

池田氏: はい。自分が本当にやりたいのは、介護される時間を減らすことなんです。

 介護施設に入って、車椅子になって、外に出なくなって、コミュニケーションも取りにくくなっていく。そういう状態を見てきて、自分はそうなりたくないし、そうならない方向の医療をやりたいと思うようになりました。

 50代、60代、70代になっても、自分で動ける、出かけられる、お花見に行ける。そういう自由を守ることが大事なんです。表面だけの若返りでは、そこまでは届かないと思っています。

──美容医療から始まった関心が、老後の生き方までつながっている。

池田氏: そうですね。若返りというと、どうしても見た目の話に寄りがちですが、人はみんな年を取ります。そのときに何が残るのかを考えると、顔だけ整えればいいという話ではありません。

 もちろん、見た目も大事です。本人のやる気にも関わりますし、入口としての意味もある。ただ、その先には、介護や認知、動けるかどうかまで含めて考えたい。

 自分の中では、美容と老化研究は切れていません。最終的には、その人が自由に動けて、人間らしく生きられる時間をどう延ばすか、そこを目指しています。(終わり)

プロフィール

池田欣生(いけだ・よしお)氏。東京皮膚科・形成外科総院長。フランス・パリで取材。(写真/編集部)

池田欣生(いけだ・よしお)氏。東京皮膚科・形成外科総院長。フランス・パリで取材。(写真/編集部)

池田欣生(いけだ・よしお)氏

東京皮膚科・形成外科総院長。大阪医科大学(現大阪医科薬科大学)卒業後、田嶋定男元教授、谷野隆三郎元教授の下で形成外科の診療に従事。2000年に銀座・いけだクリニック(現・東京皮膚科・形成外科)を開設しダウンタイムの少ない手術を追求し、エンジェニードル、美容用チタンピン鑷子(せっし)、Gコグスレッドなどの開発に取り組む。2010年に日本アンチエイジング外科学会、2017年には医療アートメイク学会を設立し、会長を務める。2023年、第111回日本美容外科学会(JSAS)学会長。銀座、品川、日本橋、大阪、香川、上海を拠点に美容医療の普及に取り組んでいる。日本形成外科学会専門医。日本美容外科学会(JSAS)専門医。東海大学病院形成外科非常勤講師。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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