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GLP-1薬は美容市場をどう変えるのか 肌、髪、香りまで波及 顔や体の変化に対応する新たな需要も 英国美容協議会が整理

カレンダー2026.5.10 フォルダー 海外

 GLP-1関連薬(以下、GLP-1薬)が、美容の分野にも影響を広げているという見方が出ている。

 英国の美容業界団体である英国美容協議会(British Beauty Council)が、2026年5月にその動きを紹介している。

減量の先で美容の新しい悩み

GLP-1薬が幅広い影響を与えている。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

GLP-1薬が幅広い影響を与えている。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

  • 減量後の悩みが増える→ GLP-1薬による体重減少で、皮膚のゆるみや顔のボリューム低下を気にする人が出ている。
  • 美容支出にも影響→ 食費が減る一方で、美容やフィットネスに関心が向かう可能性がある。
  • 肌や髪のケアに注目→ ハリ低下、脱毛、ボディケアなど、減量後の変化に対応する需要が広がりそうだ。

 英国美容協議会によると、GLP-1薬は、もともとは2型糖尿病の治療薬として使われてきたが、今では体重管理の枠を超え、美容やセルフケアの考え方にも影響を与える存在になっているという。

 英国では、この1年で利用がほぼ倍増し、現在は消費者のおよそ10人に1人が使用している水準とされる。特に更年期世代の女性で利用が目立つとしている。

 また、食欲が抑えられることで、食料品への支出が減る一方、その分の支出が美容やフィットネスに向かう可能性があるとも整理している。

 体重が急に減ることで、顔のボリューム低下や皮膚のゆるみ、さらに腕や脚、手足の見た目の変化を気にする人も出てきており、ボディケアは単なる保湿ではなく、体重減少後の体を支える役割を担い始めているという。

 特に影響が広がりそうな分野として、肌、筋肉、髪、香りを挙げている。

 例えば、コンサルティング会社であるマッキンゼーの調査では、GLP-1利用者の82%が、皮膚のゆるみやハリ低下を気にしていると紹介されている。これを受けて、肌を引き締めるケアや、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、エクソソーム、PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)などを含む、いわばクリニック発想のスキンケア、EMS(電気的筋肉刺激)やマイクロカレントのような美容機器への関心が高まる可能性があるという。また、GLP-1薬の使用で食事量が減る中、食べ物に代わる満足感として吐き気や匂いへの敏感さに配慮した、控えめでやさしい香りのニーズも高まっているという。

 髪についても変化が出ているとされる。記事では、「#GLP1hairloss」の閲覧数の増加を背景に、頭皮ケアや専門家の関与が強まる可能性を指摘している。ヒフコNEWSでも、GLP-1薬による脱毛に関する研究を紹介しているが、こうした悩みへの関心が高まっている可能性がある。

美容医療で起きている変化

米国の形成外科医マイケル・ソメネク(Michael Somenek)氏。(写真/編集部)

米国の形成外科医マイケル・ソメネク(Michael Somenek)氏。(写真/編集部)

  • 顔の構造変化に対応→ GLP-1薬による減量では、脂肪の減少だけでなく顔全体の印象が変わる可能性がある。
  • 治療設計が複雑に→ 皮膚を引き上げるだけでなく、脂肪移植や栄養管理、画像診断などの組み合わせが重要になる。
  • 美容医療の考え方が変化→ 減量後の顔、体、髪、肌の変化にどう向き合うかが新しい課題になっている。

 こうした動きは、ヒフコNEWSがIMCAS World Congress 2026で取材した内容とも重なる。米国の形成外科医マイケル・ソメネク氏は、GLP-1関連薬による変化について、顔の脂肪が単に減るだけではなく、顔の浅い部分から深い部分までボリュームが減少し、骨格や靱帯が目立つなど、顔の印象そのものが変わると説明していた。

 そのため、従来のように単に皮膚を引き上げるだけでは十分ではなく、脂肪移植や脂肪の再配置、栄養管理、画像診断などを組み合わせた治療が重要になるという見方を示していた。

 GLP-1薬による体重減少が新しい見た目の悩みを生み、それへの対応が美容業界全体に求められている。GLP-1時代は、減量薬が広がること自体に加えて、その後に起こる顔や体、髪、肌の変化にどう向き合うかが重要になりつつある。

参考文献

How GLP-1s Are Reshaping the Beauty and Wellness Landscape.
https://britishbeautycouncil.com/how-glp-1s-are-reshaping-the-beauty-and-wellness-landscape/

GLP-1薬で脱毛は起きるのか 使用者の76%が抜け毛を訴え、一部薬剤や女性で目立つ傾向 因果関係は今後の課題
https://biyouhifuko.com/news/research/17630/

GLP-1時代、美容医療はどう変わるか 顔の構造変化に対応へ 外科・栄養・診断を組み合わせた治療設計が課題に IMCASで米国形成外科医が指摘
https://biyouhifuko.com/news/world/17052/

【補足】
・本文中で香りについての記述を増やしました。(2026/5/10)

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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