
今泉明子(いまいずみ・あきこ)氏。今泉スキンクリニック院長。(写真/編集部)
今泉明子(いまいずみ・あきこ)氏
今泉スキンクリニック院長
- 学会の規模が拡大→ JSASは会員数2000人を超え、美容医療に関わる幅広い職種の学びの場になっている。
- 若い世代も登壇→ 先人の知識や技術を大切にしつつ、次世代の医師にも発信の機会を広げる。
- 海外連携を重視→ 海外医師との議論やコラボレーションを通じ、日本の美容医療を発信していく。
──第114回日本美容外科学会が開催される。
今泉氏: 日本美容外科学会は、会員数が2000人を超える学会になっています。美容医療に関する学会の中でも大きな規模となっており、医師だけでなく、看護師、受付、経営に関わる方々など、幅広い職種にも浸透してきていると感じています。
今回の第114回日本美容外科学会では、これまで諸先輩方が築いてこられた知識や技術を大切にしながら、次世代を担う医師にも積極的に登壇していただくことを意識しています。古きを知り、新しいものを取り入れるということです。
日本の美容医療を海外に向けて発信していくには、若い世代の力も必要です。若い医師には語学力がありますし、海外の医師とも積極的に議論しようとする姿勢があります。流ちょうな英語でなくても、通じる英語で自分の考えを伝えようとする。そのチャレンジ精神は大きな強みだと思います。
──海外医師との連携も重視している。
今泉氏: 今回のメインセッションの一つは、外科系のフェイスリフトです。カリフォルニアから、フェイスリフトの第一人者であるBen Talei氏をお招きします。ハリウッドスターの治療も手がけている医師です。
私は外科医ではありませんので、もともと面識があったわけではありません。フェイスリフトで著名な医師を調べ、その中で最も来ていただきたい方に直接お願いしました。インスタグラムやメールで連絡し、電話もしました。最初は本当に来ていただけるか分かりませんでしたが、粘ってお願いしたところ、ご本人から直接連絡をいただきました。
Ben Talei氏は日本が好きで、日本の技術も高く評価してくださっていました。日本の医師とぜひコラボレーションしたいと言ってくださり、来日していただけることになりました。
──どのような形で学ぶセッションに?
今泉氏: 海外の医師に日本で実際に執刀していただくことはできません。そこで、日本の次世代を担う医師の手術をあらかじめビデオで収録し、その映像をもとにディスカッションする形にしました。
ビデオを作る段階から、Ben Talei氏と日本の医師がやり取りをしています。若い医師に入っていただいた理由の一つは、語学力です。当日は通訳を入れる場面もありますが、準備段階では通訳なしで議論できる医師に参加していただいています。
Ben Talei氏にお願いした理由は、技術だけではありません。指導者として非常に優れていることも大きな理由です。人格者であり、教える力のある医師だと感じています。
日本の美容医療には、まだ手の内をあまり明かさないような閉鎖的な面も残っていると思います。ただ、若い世代は、よいものをお互いに交換し、吸収しようという考え方に変わってきています。学会としても、そうした流れを後押ししたいと考えています。
- 韓国と日本をライブでつなぐ→ 解剖と実際の注入治療を同時に見ながら、注入する層を確認する。
- 安全性を高める学び→ どの層に、なぜ注入するのかを理解し、有害事象を減らす治療につなげる。
- 明日からの診療へ→ 教科書だけでは学べない実践的な知見を、日々の診療に生かすことを重視する。
──韓国と日本もつなぐ。
今泉氏: もう一つのメインセッションは美容皮膚科です。美容外科学会としては初めての試みとして、韓国の延世大学の解剖学教室、日本の学会会場、そして麻布ビューティクリニックをつないだ3地点のライブ配信を行います。
韓国側では検体を用いて解剖学的な層を確認し、日本側では実際の注入治療を行います。その様子を会場で同時に見ながら、今注入している層が解剖学的にどこに当たるのかを確認していく形です。臨床に最も役立つ内容にしたいと考えています。
注入治療は多くの医師が取り組む治療ですが、有害事象の報告もあります。副作用や後遺症が生じる可能性もゼロではありません。だからこそ、どの層に、なぜ注入するのかを理解し、再現性が高く、安全性の高い治療につなげることが大切です。
今は、美容外科だから、美容皮膚科だからと分けて考える時代ではありません。美容外科の医師が美容皮膚科を学び、美容皮膚科の医師が外科的な視点を学ぶ。お互いのよいところを取り入れながら、治療全体の質を上げていく必要があると思っています。
──実践に役立つ学びをどう作るのか。
今泉氏: 学会は、教科書や論文だけでは学べないことを学ぶ場だと思っています。実際に診療している医師の生の声を聞き、それを明日からの診療に取り入れられることが大切です。
今回の学会では、各セッションでも、できるだけ実践に役立つ話をしていただくようにお願いしています。肌質改善、シミ、たるみといったテーマでも、登壇する医師に同じような話をしていただくのではなく、それぞれ違うアプローチや考え方を話していただく予定です。
若い医師とベテランの医師をあえて組み合わせることも意識しています。座長を若い医師にお願いすることもあります。若い医師が座長になると、聴講者と近い目線で質問しやすくなりますし、ベテランの医師だけでは見えにくい疑問も出てくると思います。
学会で聞いて終わりではなく、実際の診療にどう生かすか。そこまで考えた内容にしたいと思っています。
──学会をきっかけに、学びを続けてほしい。
今泉氏: 今回の学会が、学び続けるきっかけになってほしいと思っています。医師だけでなく、幅広い職種の方に参加していただける場を作っています。
美容医療は、医師だけで成り立つものではありません。クリニック全体で来院者に向き合うものです。だからこそ、美容医療に関わる方々がもっと学びたい、もっと知りたいと思える場になればよいと考えています。
これまで積み重ねられてきた安全で再現性の高い技術を土台にしながら、さらに一歩進んだ治療を日本から発信していく。そのための学会にしたいと思っています。初めて参加される方にも、何度も参加されている方にも、新しい発見があるはずです。学んだことを明日からの診療に生かし、より安全で安心できる美容医療につなげていただきたいと考えています。(続く)
プロフィール

今泉明子(いまいずみ・あきこ)氏。今泉スキンクリニック院長。(写真/編集部)
今泉明子(いまいずみ・あきこ)氏
今泉スキンクリニック院長。1997年聖マリアンナ医科大学卒業。同大学院でアトピー性皮膚炎に対する抗アレルギー薬の効果を研究し、博士号を取得。日本赤十字医療センター皮膚科勤務を経て、2004年にニューヨークのワイル・コーネル医科大学皮膚科学教室に勤務し、皮膚の修復・再生に関わるペプチド研究に従事。2007年に東京ミッドタウン皮膚科形成外科クリニックNoage院長に就任。2018年、六本木に今泉スキンクリニックを開院。ヒアルロン酸注射、ボトックス注射などの注入治療を中心に、レーザー治療、育毛治療、化粧品開発など幅広く取り組む。アラガンジャパン、ガルデルマジャパン、Merzなどの注入指導認定医を務め、国内外の学会や講演で技術指導、啓発活動を行っている。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、国際美容外科学会、日本小児皮膚科学会、日本皮膚アレルギー学会所属。
