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注入治療はどの層に入れているのか 解剖と臨床をつなぎ安全性を学ぶ 韓国と日本のライブ配信 今泉スキンクリニック院長の今泉明子氏に聞く Vol.2

カレンダー2026.5.19 フォルダーインタビュー
今泉明子(いまいずみ・あきこ)氏。今泉スキンクリニック院長。(写真/編集部)

今泉明子(いまいずみ・あきこ)氏。今泉スキンクリニック院長。(写真/編集部)

今泉明子(いまいずみ・あきこ)氏
今泉スキンクリニック院長

  • 解剖と臨床をつなぐ→ ライブ配信では韓国で解剖学的な層を確認し、日本で実際の注入治療を行いながら学ぶ。
  • 注入する層を理解→ どの層に注入しているのかを把握することが、安全性と再現性につながる。
  • 外科と皮膚科を横断→ 美容外科と美容皮膚科を分けず、お互いの視点を取り入れて治療の質を高める。

──韓国と日本をつなぐライブ配信での学びとは?

今泉氏: 今回のライブ配信では、韓国側で解剖学的な層を確認し、日本側では実際の注入治療を行います。解剖で見える層と、実際の臨床で注入している層を同時に見ながら学ぶ形です。

 注入治療では、自分が今どの層に注入しているのかを理解することが大切です。その層が解剖学的にどこに当たり、安全性の面でどう考えるべきかを確認する。そうした学びを、明日からの診療に役立つ内容にしたいと考えています。

 注入治療は多くの医師が取り組む治療ですが、有害事象の報告も多くあります。副作用や後遺症が生じる可能性もゼロではありません。だからこそ、解剖を理解した上で、再現性が高く、安全性の高い治療につなげることが大切です。

──美容外科と美容皮膚科を横断して学ぶ。

今泉氏: 今は、美容外科だから、美容皮膚科だからと分けて考える時代ではありません。美容外科の医師が美容皮膚科を学ぶことも必要ですし、美容皮膚科の医師が外科的な視点を学ぶことも必要です。

 お互いのよいところを取り入れながら、治療全体の質を高めていくことが大切です。今回のライブ配信も、その考え方に基づいています。実際の臨床と解剖を結びつけることで、より実践に近い学びにしたいと思っています。

──学ぶ機会を作る必要がある。

今泉氏: 私は以前から、JSAS公認の教育のためのアカデミー、AMA(AestheticMedicalAcademy)を運営しています。美容医療を学ぶ機会は、まだ十分に整っているとは言えません。勤務先で学べる医師もいますが、そうでない医師もいます。

 外科から美容医療に入る医師や、これから開業したいけれど知識やスキルに不安がある医師もいます。そうした方々のために教育プログラムを2022年から運営してきました。

 韓国の大学の解剖学教室とも継続的に連携しており、日本の医師を韓国に案内して、解剖や韓国の医師の技術、クリニックの取り組みを学んでいただく機会を設けています。

──韓国から学ぶこと、日本から伝えられること。

今泉氏: 韓国に行くと、学ぶことは多くあります。一方で、韓国の医師も日本の医師から学びたいと思っている部分があると感じています。

 日本の医師は、手技が器用で繊細です。そして慎重です。清潔操作や細かな配慮、安全性への意識、再現性の高さは、日本の良さだと思います。韓国から学ぶだけではなく、お互いに学び合う関係ができていると感じています。

 私は以前、ニューヨークのワイル・コーネル医科大学にいました。米国の医療に触れる中で、白人とアジア人では皮膚や傷の治り方が違うと感じました。白人では傷跡が比較的目立ちにくくなることがありますが、アジア人では色素沈着や傷跡への注意がより必要になります。

 だからこそ、日本の医師は自然と慎重になります。皮膚の反応を見ながら、細かく調整する。その慎重さや繊細さは、日本の美容医療の強みの一つだと思います。

  • 皮膚科の経験が土台→ 炎症後の色素沈着や傷の治り方を見る経験が、美容医療にもつながっている。
  • 注入の安全性を重視→ どの層に注入するのかを理解し、将来的な影響まで考える必要がある。
  • 実践的な学びを共有→ 医師だけでなく、看護師や受付など幅広い職種が学ぶことで、美容医療全体の質を高める。

──皮膚科医としての経験も、美容医療につながっている。

今泉氏: 私はもともと皮膚科専門医で、アトピー性皮膚炎も専門にしていました。アトピーの方では、炎症後の色素沈着や傷の治り方など、皮膚の反応を細かく見ることがとても大切になります。

 ニキビも同じです。ニキビを治すだけでなく、ニキビ跡をどう治すか。炎症の後に残る色や質感をどう改善するか。そうした視点は、美容医療にもつながっています。

 米国で白人の皮膚を見て、アジアで治療を学びながら、日本人の皮膚の特徴にも向き合ってきました。そうした経験が、今の美容医療の考え方につながっていると思います。

──注入治療で高めたい安全性。

今泉氏: 注入治療では、自分がどの層に注入しているのかを理解することが大切です。その層は安全なのか、そこに注入した結果、将来的に何が起きる可能性があるのかまで考える必要があります。

 一方で、注入している層を解剖学的に確認しながら学ぶ機会は、必ずしも多くありません。経験を重ねる中で身につけていく部分もありますが、安全性や再現性を高めるには、解剖と臨床を結びつけて学べる場が必要です。

 解剖を理解し、実際の臨床と結びつける。どの層に、なぜ注入するのかを考えながら治療する。そうした学びが、安全で再現性の高い注入治療につながると考えています。

──学会全体でも、実践的な内容を意識している。

今泉氏: 今回の学会では、明日からの診療に取り入れられる話をしていただくようお願いしています。肌質改善、シミ、たるみといったテーマでも、登壇する医師に同じような話をしていただくのではなく、それぞれ違うアプローチや考え方を話していただく予定です。

 美容医療は、教科書や論文だけでは学べないことが多い分野です。実際に診療している医師の生の声を聞き、日々の診療に生かせることが、学会の価値だと思います。

 また、学びの対象は医師だけではありません。看護師、受付、経営に関わる方など、美容医療に関わる幅広い職種にも学びの場を広げたいと考えています。美容医療は医師だけで成り立つものではなく、クリニック全体で施術を希望する方々に向き合うものです。関わる人たちがもっと学びたいと思える場になれば、美容医療全体の安全性と質の向上につながると思います。(続く)

プロフィール

今泉明子(いまいずみ・あきこ)氏。今泉スキンクリニック院長。(写真/編集部)

今泉明子(いまいずみ・あきこ)氏。今泉スキンクリニック院長。(写真/編集部)

今泉明子(いまいずみ・あきこ)氏

今泉スキンクリニック院長。1997年聖マリアンナ医科大学卒業。同大学院でアトピー性皮膚炎に対する抗アレルギー薬の効果を研究し、博士号を取得。日本赤十字医療センター皮膚科勤務を経て、2004年にニューヨークのワイル・コーネル医科大学皮膚科学教室に勤務し、皮膚の修復・再生に関わるペプチド研究に従事。2007年に東京ミッドタウン皮膚科形成外科クリニックNoage院長に就任。2018年、六本木に今泉スキンクリニックを開院。ヒアルロン酸注射、ボトックス注射などの注入治療を中心に、レーザー治療、育毛治療、化粧品開発など幅広く取り組む。アラガンジャパン、ガルデルマジャパン、Merzなどの注入指導認定医を務め、国内外の学会や講演で技術指導、啓発活動を行っている。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、国際美容外科学会、日本小児皮膚科学会、日本皮膚アレルギー学会所属。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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