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「かわいい」は変わらなくても中身は変わる 「ナチュラル」「大人」「フェミニン」「上品」… SNS時代に多様化進む 花王が20年のメイク調査を分析

カレンダー2026.5.31 フォルダー 国内

 日本国内の「かわいい」に寄せられるイメージは時代とともに変化し、中身はナチュラル、大人っぽい、女っぽい、上品などへ移り変わっていた。その背景には流行するSNSの影響もある可能性がある。

 花王が2026年5月に、18〜24歳を対象に、2005年から2025年までのメイク嗜好の変遷を分析した結果を公表した。

 美容医療の意識に通じるところがあるかもしれない。

「かわいい」の中身が変わる

2005年から2025年までの若年女性のメイク重視点の推移を、口紅、ファンデーション、チーク、アイライン、マスカラ、アイシャドウ、眉の割合で示した積み上げ棒グラフ。

18~24歳のメイク重視点の推移。2005年から2025年にかけて、重視されるメイク部位が変化している。(出典/花王)

  • 「かわいい」は一貫して上位→ 20年間を通じて、若年女性のなりたいイメージでは「かわいい」が強く意識されていた。
  • 中身は時代で変化→ ナチュラル、大人っぽい、女っぽい、上品など、「かわいい」の意味合いは移り変わっていた。
  • メイクの重点も変化→ マスカラ、アイライン、チーク、リップなど、重視されるパーツも時期ごとに変わっていた。

 調査を行ったのは同社のビューティリサーチ&クリエーションセンター(花王BRCC)。

 同センターは、化粧意識やファッション感度の高い女性を対象に、2005年から継続してカラーやメイクの嗜好調査を行ってきた。今回はその中でも、流行の変化に敏感な18〜24歳に絞って、「なりたいイメージ」と「メイク重視点」の20年分を整理した。

 その結果、「なりたいイメージ」では「かわいい」が20年間を通して上位を占め続けていた。一方で、その周辺に並ぶ言葉は時代とともに変わっていた。

 2005年ごろは「ナチュラル」、2007年ごろからは「大人っぽい」「フェミニン」、2010年ごろからは「女っぽい」も加わり、2025年には「フェミニン」「上品」も上位に入った。

 こうした結果から、「かわいい」という言葉そのものは不動でも、その中身は同じではなかったと整理している。

 メイクの重点も、おおよそ3〜4年ごとに変わっていた。図表では、囲み目メイク、すっぴん風メイク、立体メイク、小顔メイク、血色メイクなど、その時期ごとの特徴も整理されている。

 そうした中でも、2005〜2007年はマスカラとファンデーション、2008〜2011年はアイラインとマスカラ、2012〜2015年はアイラインやファンデーション、チーク、2016〜2018年はアイブロウとリップ、2019年はアイシャドウとリップが中心となったという。

 さらに2020年以降は、マスク着用の影響もあってアイシャドウやアイブロウといった目もと重視が強まり、2024〜2025年にはマスカラ、アイライン、チークが重視される流れが見られたという。

SNSが変えた「かわいい」

日本におけるSNSの変化と、2005年以降のメイクの重視点やメイクイメージの変遷をまとめた表。

日本におけるSNSの変化とメイクの変遷。(出典/花王)

  • SNSが発信源を変化→ テレビや雑誌中心から、インフルエンサーや生活者一人ひとりへ広がった。
  • 海外の影響も拡大→ InstagramやTikTokを通じて、韓国、中国、タイなどアジア圏の美容情報が身近になった。
  • 自分に合う美へ→ みんな同じ「かわいい」ではなく、それぞれが自分に合うメイクを選ぶ流れが強まっている。

 興味深いのは、こうした変化をSNSの広がりと重ねている点だ。

 2005〜2007年はmixi、GREE、モバゲー、YouTube、2008〜2011年はTwitter、Facebook、LINE、ハッシュタグ検索開始、2012〜2015年はPinterest、Instagram、noteと整理した。

 さらに、2016〜2018年はVTuber、TikTok、LIPS、Instagramストーリー、2020〜2023年はChatGPTの対話型生成AIサービス開始、BeReal、Threads、TwitterからXへの移行、2024年以降はBlueskyという流れを示している。

 花王は、メイクの発信源がテレビや雑誌の女優およびモデル中心から、読者モデル、インフルエンサー、さらに生活者一人ひとりへと広がったと見る。

 その結果、年齢や性別にとらわれない表現が増え、さらにInstagramやTikTokを通じて海外の情報が身近になったことで、韓国、中国、タイなどアジア圏の影響も強まったとしている。

 ここで見えてくるのは、「みんなが同じかわいいを目指す時代」から、「それぞれが違うかわいいを選ぶ時代」への移行だ。花王は、一人ひとりが自分に合うメイクを主体的に選ぶ流れが強まっており、2026年以降もその傾向が続くと指摘する。

 この調査はメイクの話だが、美容医療の見方にも重なる部分がありそうだ。

 従来の美容医療では、比較的単一の「理想顔」や「黄金比」が強く語られる場面もあった。だが、若年層の「かわいい」がこれだけ多文化化し、細分化し、SNS経由で更新されるのであれば、これから求められる美のあり方も一枚岩ではなくなるとみるのが自然だろう。

 それは最近よくいわれるナチュラルさやアジアの雰囲気が重視される動きとも合う可能性がある。

参考文献

花王ビューティリサーチ&クリエーションセンターが日本の「かわいい」メイク20年を紐解く! ~若年層調査から見えたメイクの多様化と多文化要素の拡大~
https://www.kaobeautybrands.com/content/dam/sites/kanebo/www-kaobeautybrands-com/pdf/press-release/2026/260513_release.pdf

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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