
第26回日本抗加齢医学会総会の会場となったパシフィコ横浜ノース。(写真/編集部)
美容医療や美容皮膚科に加えて、体の内側から美容を支える「美容内科」への関心が高まっている。
第26回日本抗加齢医学会総会では、美容内科をテーマとして講演が行われた。
斎藤クリニック(東京都港区)院長で、日本機能性医学研究所所長でもある斎藤糧三氏が、慢性炎症の背景を16項目からとらえる「インフラマトリックス16」という考え方を交えながら、老化につながる心身の状態を整えるアプローチを解説した。
慢性炎症から美容を考える

第26回日本抗加齢医学会総会の会場となったパシフィコ横浜ノース。(写真/編集部)
- 慢性炎症に注目→ 美容内科では、老化や肌不調につながる体内の慢性的な炎症が重要な視点になる。
- 複数要因を整理→ 食事、腸、血糖、睡眠、ストレス、ホルモンなどを一つずつ見ていく考え方が示された。
- インフラマトリックス16→ 慢性炎症を16項目から捉え、体の内側の変化を見落とさないための整理法として紹介された。
美容内科では、栄養、腸内環境、ホルモン、代謝、睡眠、炎症、ストレスなど、体の内側の働きを整える視点が重視されている。斎藤氏の講演は、その中でも「慢性炎症」に注目するものだった。
炎症は本来、感染やけがから体を守るために必要な反応だ。美容や老化との関係で問題になるのは、強い炎症ではなく、体の中で炎症に関わる反応が長く続く状態だ。こうした慢性炎症は、組織の修復、代謝、自律神経、睡眠などに影響し、疲れやすさ、睡眠の質の低下、肌の不調、体型の変化などと関係する可能性がある。
慢性炎症と加齢の関連については、「inflammation(炎症)」と「aging(加齢)」を組み合わせて、「inflammaging(インフラメイジング)」という概念もある。年齢を重ねる中で、体内の炎症反応が静かに続き、老化に関わるさまざまな変化と結びつくという考え方だ。
斎藤氏は、こうした慢性炎症の背景を整理する方法として「インフラマトリックス16」を紹介した。これは16項目で成り立つ整理法とされる。慢性炎症を一つの原因だけで説明するのではなく、食事、腸、血糖、脂質、睡眠、ストレス、ホルモン、栄養状態など、複数の要因が重なるものとして見る発想だ。
インフラマトリックス16は、炎症を意味する「inflammation」と、複数の要素が関わる枠組みを意味する「matrix」を組み合わせた用語。別の学会の講演では「提唱」と説明されており、確立した医学的指標というより、斎藤氏が独自に考案した整理法と受け止めるのが自然だろう。
例えば、疲れやすさ、肌の不調、眠りの浅さがある場合、原因を一つに決めるのではなく、栄養状態、腸内環境、血糖変動、睡眠、ストレスなどを含めて整理する。インフラマトリックス16は、老化予防や美容内科の視点から、体の内側で起きている変化を見落とさないための整理法のようだ。
老化を16項目で考える

老化の背景に慢性炎症。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 老化を16項目で見る→ 慢性炎症につながる要因を整理し、問題がありそうな部分に対処する考え方が示された。
- 栄養や腸も重視→ タンパク質、ビタミン、ミネラル、腸管バリア、血糖変動などが評価の視点に入る。
- 美容内科の新たな切り口→ 肌や疲れを表面だけで見ず、体内の炎症や生活要因から整える方向が注目される。
インフラマトリックス16では、慢性的な炎症につながる要因が16項目でどのように重なっているかを見て、問題と考えられる部分に対処していくという。病名をつけたり、治療法を一つに決めたりするための物差しというより、老化や慢性炎症に関わる可能性のある要因を整理する表に近い。
栄養状態については、タンパク質、ビタミンD、ビタミンA、ビタミンB群、亜鉛、マグネシウム、鉄などを確認する視点が示された。慢性炎症や老化に関わる体内環境を考える上で、栄養の不足や偏りが体の回復力、免疫、粘膜の働きなどに影響する可能性を見るものだ。
栄養だけではなく、ミトコンドリアの働き、腸管バリア、腸脳相関、血糖変動、睡眠、ストレスなども話題に上った。いずれも、老化に伴う不調を一つの原因に絞り込むのではなく、複数の要因の重なりとして捉える考え方である。
肌の不調や疲れやすさなどの老化の兆候を表面の問題として見るのではなく、体の内側で炎症に関わる反応が長引いていないかを考える。インフラマトリックス16は、そのための一つの見方として紹介されたものだ。講演では複数の実践例が紹介された。
ただし、これだけで老化や不調の原因を説明できるわけではない。あくまで、慢性炎症という切り口から、腸、栄養、睡眠、ストレスなどをまとめて考えるための整理法の一つととらえられる。今後、美容内科では、老化に関わる慢性炎症をどう評価し、どう整えていくかが、より注目される可能性がある。
参考文献
世界初「スキン・ロンジェビティクリニック」、慢性炎症に着目し酸化ストレスやマイクロバイオームの乱れに対処 スキンケアと美容医療を組み合わせ CIBLE SKIN創業者のアクニン氏とジネフリ氏に聞く
https://biyouhifuko.com/news/interview/17016/
