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「まぶたの下がり」がある未治療者の約7割に症状 国内初の眼瞼下垂点眼薬、手術以外の選択肢を専門医が解説 参天製薬がプレスセミナー

カレンダー2026.7.16 フォルダー 国内

 眼瞼下垂は、目元の印象だけでなく、視野の狭まりや目の疲れにも関わる病気だ。

 2026年7月の参天製薬のプレスセミナーで、九州大学眼科・診療講師の田邉美香氏が、患者の実態や診断方法、国内初の点眼治療薬の効果、手術との違いを解説した。

目元の老化に見えても、視野や全身の不調に影響

マイクを持ち、後天性眼瞼下垂の診断や点眼治療薬について説明する田邉美香氏。

後天性眼瞼下垂の診断方法や、点眼薬と手術の違いについて説明する田邉美香氏。(出典:参天製薬)

  • 見た目だけの問題ではない→ 眼瞼下垂は、上方の見えづらさや目の疲れ、頭痛、肩こり、額のシワにつながることがある。
  • 症状があっても認知は低い→ 未治療者の約7割が不調を感じていた一方、病気の可能性を知る人は1割未満だった。
  • まず眼科で原因確認→ 症状の変動や複視がある場合は、神経や筋肉の病気が隠れている可能性もある。

 田邉氏によると、眼瞼下垂は上まぶたが下がり、目を開けにくくなる状態だ。眼瞼下垂は、生まれつき見られる「先天性」と、生後に発症する「後天性」に分けられる。後天性では、加齢によってまぶたを持ち上げる組織が伸びたり、まぶたを支える部分との結びつきが弱くなったりするタイプが多い。コンタクトレンズの長期使用や眼科手術が関係することもある。

 診断では、瞳の中央付近に映る光の反射点から上まぶたの縁までの距離を測り、まぶたの下がり具合を確認する。無意識に眉を上げて目を開こうとする人もいるため、検査では眉の動きを抑え、まぶた本来の状態を調べる。

 眼瞼下垂は、見た目だけの問題ではない。上の方が見えにくくなるほか、視界を確保しようと眉を上げたり、顎を上げて頭を後ろに傾けたりすることで、目の疲れや頭痛、肩こり、額のシワにつながることもある。

 青森県弘前市の一般住民1004人を調べた研究では、上まぶたの下がりを示すMRD-1が2ミリ未満だった人は155人、15.4%に上った。対象者の平均年齢は約65歳で、約6~7人に1人が基準に該当した。

 別の調査では、まぶたの下がりがありながら治療を受けていない人の71.9%が、見えづらさや目の疲れ、外見の変化などを感じていた。一方で、まぶたの下がりが病気の可能性もあると知っていた人は7.6%だった。

 田邉氏は、症状が一日の中で変わる、疲れると悪化する、物が二重に見えるといった場合には、神経や筋肉の病気が隠れていることもあると説明した。見た目の改善を望む場合でも、まず眼科で原因を確認することが大切だ。

点眼でまぶたを引き上げる、手術以外の選択肢に

参天製薬のプレスセミナーで、眼瞼下垂の実態や点眼治療について講演する九州大学眼科の田邉美香氏。

参天製薬のプレスセミナーで、後天性眼瞼下垂の症状や治療選択肢について解説する田邉美香氏。(出典:参天製薬)

  • 国内初の点眼治療薬→ オキシメタゾリン点眼液が後天性眼瞼下垂の新たな選択肢として登場した。
  • まぶたを一時的に持ち上げる→ ミュラー筋を収縮させ、薬が効いている間、目を開きやすくする仕組み。
  • 手術とは役割が異なる→ 点眼薬は組織のゆるみを修復する治療ではなく、原因や症状によっては手術が優先される。

 「アップニークミニ点眼液0.1%」は、後天性眼瞼下垂に対する国内初の点眼治療薬として2025年12月に承認され、2026年5月に発売された。通常は1日1回、1滴を使用する。薬価基準には収載されておらず、公的医療保険の給付対象外となる。

 有効成分のオキシメタゾリンは、上まぶたにある「ミュラー筋」を収縮させ、まぶたを持ち上げる。手術で組織を修復するのではなく、薬が効いている間、目を開きやすくする仕組みだ。

 国内臨床試験では、投与14日目の点眼2時間後、上まぶたの位置を示すMRD-1は、投与前と比べて本剤群で1.09mm、プラセボ群で0.50mm上昇した。両群の差は0.59mmで、統計学的に有意だった。探索的な解析では、点眼後8時間以上にわたってMRD-1の改善が認められた。

 本剤群では112人中1人にまぶたのかゆみが認められたが、重篤な副作用や投与中止につながる副作用はなかった。添付文書では、瞳孔が開く散瞳などにも注意が必要とされている。

 田邉氏は、これまで手術が中心だった後天性眼瞼下垂に、点眼薬という新たな選択肢が加わったと説明した。ただし、点眼薬はミュラー筋を収縮させて上まぶたを一時的に持ち上げるもので、ゆるんだ腱膜や皮膚のたるみを構造的に修復する治療ではない。原因となる病気の治療や手術を優先すべき場合もあり、眼科で診断を受けた上で適応を判断する必要がある。

 上まぶたが持ち上がれば目が大きく開いたように見え、目元の印象も変わる。このため、美容目的での関心が高まることも予想される。ただし、承認された対象は後天性眼瞼下垂で、単に目を大きく見せるための点眼薬ではない。

 眼瞼下垂のように見えても別の病気が隠れている場合があり、自己判断で使用するのではなく、まず眼科で原因を確かめる必要がある。点眼薬と手術の違いを理解し、症状や希望に合った治療を選ぶことが重要となる。

参考文献

眼瞼下垂は「手術だけ」ではなくなる? 目薬が登場 「後天性眼瞼下垂」治療の選択肢に 国内承認、参天製薬が発表
https://biyouhifuko.com/news/japan/15871/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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