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眉やアイラインのアートメイク除去、4人に1人で「隠れていた色」が出現、色に応じたレーザーの使い分けが重要 米国76人を検証【アートメイクの研究を見ていく】

カレンダー2026.7.21 フォルダー連載・コラム

 眉やアイラインに施したアートメイクは、レーザーで除去できる可能性がある。一方で、見た目だけでは分からない複数の色素が含まれていることもあるようだ。

 米国ニューヨークのレーザー・アンド・スキン・サージェリー・センター・オブ・ニューヨークなどの研究グループが、眉またはアイラインのアートメイクをレーザーで除去した76人の診療記録を検証した。その結果、治療後に赤やオレンジ、黄色などの「隠れていた色」が現れた人は約4人に1人に上った。

色や深さが一人ずつ異なるアートメイク

眉のアートメイクを受けた人の顔を、施術者がスマートフォンで撮影している様子。

アートメイク除去では、施術前の色や形だけでなく、治療後に現れる色の変化も確認する必要がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 色素の違い→アートメイクは色素の種類や濃さ、深さ、配合が一人ずつ異なり、同じ方法ですべてを除去できるとは限らない。
  • 調査対象→眉やアイラインの除去を受けた22~75歳の76人を調べ、治療回数は1~12回、平均2.8回だった。
  • レーザー治療→黒や茶色、赤、オレンジなどの色に応じて、755nm、1064nm、532nmの波長を使い分けた。

 眉やアイラインのアートメイクは、皮膚の中に色素を入れ、眉毛やアイラインの形を長期間保つ施術となる。中でも眉のマイクロブレーディングでは、複数の針を並べた刃を使い、皮膚の浅い部分に細い線状の色素を入れる。眉毛に見える自然な線を描けることから広く利用されてきた。

 しかし、時間の経過に伴う色の変化、希望とは異なる形や色、流行の変化などを理由に、除去を希望する人もいる。従来型のアートメイクには金属を含む色素が使われる場合がある。一方、近年のマイクロブレーディングでは、複数の有機顔料を混ぜ、肌や毛の色に合わせた色調を作ることもある。

 このため、色素の種類、濃さ、深さ、配合は一人ずつ異なり、同じ方法ですべてを除去できるとは限らない。

 研究グループは、2017年1月から2022年10月までに、眉またはアイラインのアートメイク除去を受けた患者の診療記録を振り返った。

 対象は22~75歳の76人で、平均年齢は47歳。75人が女性だった。紫外線に対する皮膚の反応を基にした「フィッツパトリック分類」では、I型からVI型まで幅広い皮膚タイプが含まれていた。

 治療部位は、眉が42人、アイラインが33人、眉とアイラインの両方が1人。治療回数は1~12回で、平均2.8回となった。

 色は黒のみが73.7%と最も多かった。そのほか、黒と赤、黒とオレンジ、黒と黄色など、複数の色を含む例も確認された。

 治療には主に、755nmのピコ秒レーザーと、532nmおよび1064nmの波長を使い分けられるピコ秒レーザーが用いられた。この施設では、黒や濃い茶色には1064nmまたは755nm、赤やオレンジには532nmというように、色に応じてレーザーの波長を使い分けていた。

 ピコ秒レーザーは、極めて短い時間でレーザー光を照射し、色素を細かく砕く。研究グループは、皮膚の反応を確認しながら、照射するエネルギーや波長を調整していた。

26%で治療後に赤や黄色などが出現

眉のアートメイク施術で、施術者が色素を入れている様子。

眉のアートメイクでは、色素の種類や深さによってレーザー除去時の反応が異なることがある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 隠れた色素→初回治療後、76人中20人(26.3%)で、赤やオレンジ、黄色、緑、青など、それまで見えなかった色が現れた。
  • 色の変化→黒い色素が先に薄くなることで、混合されていた赤や黄色などが表面化した可能性がある。
  • 安全への配慮→重い皮膚障害や永久的な脱毛は記録されなかったが、眼球や眉毛、まつ毛を保護した治療が重要となる。

 注目される結果は、初回の治療後、76人中20人(26.3%)で、それまで外からは確認できなかった色が現れた点となる。出現したのは赤、オレンジ、黄色、緑、青などだった。

 例えば、茶色や黒に見える色素でも、実際には複数の顔料を混ぜて作られていることがある。レーザーによって黒い色素が先に減ると、それまで黒に隠れていた赤や黄色が目立つようになる。

 研究グループは、この現象を「色素のアンマスキング」、つまり隠れていた色が表面化する現象として説明している。

 これは、レーザー照射によって色素そのものが黒く変化する「逆説的黒化」とは異なる。逆説的黒化は、酸化鉄や二酸化チタンなどを含む色素がレーザーに反応し、黒や濃い紫色に変化する現象を指す。

 今回の76人では逆説的黒化は確認されなかった。ただし、治療前に色素の種類を完全に把握できない場合もあり、途中で色が変わる可能性をあらかじめ伝える必要がある。

 治療後に別の色が現れた場合も、その色に適した波長へ切り替えることで治療を継続できた。研究期間中、瘢痕、皮膚の壊死、熱傷、長引く赤みや腫れ、長期的な色素異常、永久的な眉毛やまつ毛の減少は記録されなかった。

 ただし、今回の結果だけで、レーザー治療が安全だと断定することはできない。研究は一つの医療施設で過去の診療記録を調べたもので、別の治療法と比べたわけではない。使ったレーザーや治療回数も患者ごとに異なっていた。また、軽い副作用などが記録に残っていなかった可能性もある。

 眉やアイラインは目に近く、皮膚も薄いため、治療には特に注意が必要となる。アイラインを除去する際には、レーザー光から眼球を守るため、金属製の保護具を目に装着する。眉毛やまつ毛にも保護用のジェルを塗り、熱によるダメージを防ぐ。

 研究グループは、最近、眼科手術を受けていないか確認するほか、麻酔を使って痛みを抑えることも重要と指摘した。

色に合わせたレーザーの使い分けが重要

閉じたまぶたの縁に、アイラインのアートメイクを行っている様子。

アイラインのアートメイク除去では、目を保護しながら慎重にレーザー治療を行う必要がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • ピコ秒レーザー→過去11件の研究では、Qスイッチレーザーより短期間で効率よく眉の色素を除去できる可能性が示された。
  • 波長の切り替え→黒い色素の除去後に赤や黄色が現れた場合は、その色に適した波長へ切り替える必要がある。
  • 医療機関選び→治療回数や色の変化は予測しにくいため、目や毛を守りながら複数のレーザーを使い分けられる医療機関での治療が重要。

 別の研究グループは、1994~2023年に発表された11件の研究を調べ、眉のアートメイク除去を受けた計129人の結果をまとめた。

 その結果、光を極めて短い時間で照射するピコ秒Nd:YAGレーザーは、ナノ秒レーザーともいわれるQスイッチNd:YAGレーザーよりも短期間で効率よく眉の色素を除去できる可能性が示された。レーザーを当てた後に色素が黒く変化する「逆説的黒化」も、ピコ秒レーザーでは起こりにくい傾向が見られた。

 アートメイク除去は、黒や茶色を薄くするだけで終わるとは限らない。複数の色素が混ざっている場合、黒い色素が薄くなった後に、赤や黄色など別の色が目立つことがある。その際には、現れた色に適した波長のレーザーへ切り替え、治療を続ける必要がある。

 今回の研究から、治療前に色の変化や必要な回数を正確に予測するのは難しいことが分かった。目や眉毛、まつ毛を守りながら、色の変化に応じてレーザーを使い分けられる医療機関で治療を受けることが重要と言えそうだ。

参考文献

Kream E, Jairath N, Bajaj S, et al. Laser Removal of Eyeliner and Eyebrow Tattoos: Chart Review, Experiences, and Learnings. J Clin Aesthet Dermatol. 2023;16(11):47-49. PMID: 38076654; PMCID: PMC10703503.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38076654/

Geisler AN, Eber A, Kim K, Arndt KA. Lasers for the treatment of eyebrow microblading and cosmetic tattoo pigment: a review of the literature. Lasers Med Sci. 2023;38(1):256. doi:10.1007/s10103-023-03921-z. PMID: 37932517.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37932517/

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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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