
子どもから思春期へ成長する時期には、肌にすむ菌のバランスや肌状態が変化する可能性がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
子どもから思春期へと成長する時期に、肌にすむ菌のバランスにも大きな変化が起きている可能性がある。
日本メナード化粧品が2026年6月に報告した。
11.6歳を境にアクネ菌が増加

6〜18歳の女性を対象に、頬の皮膚常在菌叢と肌状態の関係が調べられた。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 研究対象→6〜18歳の健常女性24人の頬から皮膚常在菌を採取し、年齢による菌の構成変化を調べた。
- 菌叢の転換点→アクネ菌は11.6歳を境に増える傾向を示し、レンサ球菌やコリネ桿菌は同じ時期から減少した。
- バリア機能→6〜11歳では皮膚常在菌の多様性が高いほどTEWLが低く、皮膚バリア機能が良好な傾向が見られた。
皮膚の表面には、アクネ菌やブドウ球菌、レンサ球菌、コリネ桿菌など、多様な細菌が存在し、「皮膚常在菌叢」を形成している。これらの菌は常に同じ状態にあるわけではなく、生活環境や外部からの刺激、個人差などによって構成が変化すると考えられている。
一方、成人と比べて未成年の皮膚常在菌叢についての研究は少なく、成長に伴ってどのように変化するかは十分に分かっていなかった。
今回の研究では、6〜18歳の健常女性24人の頬を綿棒で拭き取り、皮膚常在菌を採取した。菌の遺伝的な情報を高速で調べられる「次世代シーケンサー」を使って菌の構成を網羅的に調べ、年齢に伴う菌の割合の変化を解析した。
その結果、6〜11歳ではブドウ球菌、レンサ球菌、コリネ桿菌の割合が比較的高かったのに対し、12〜18歳ではアクネ菌とブドウ球菌の割合が高かった。
さらに、年齢と各菌の割合との関連を解析すると、アクネ菌の割合は「11.6歳」を境に増加する傾向を示した。一方、レンサ球菌とコリネ桿菌はほぼ同じ時期から割合が低下していた。
そこで研究グループは、この11.6歳という転換点を基準として6〜11歳と12〜18歳に分け、皮膚常在菌と肌状態との関係を詳しく調べた。
6〜11歳では、細菌叢の多様性を示す「シャノン・インデックス(Shannon Index)」が高いほど、肌から失われる水分量を示す経表皮水分蒸散量(TEWL)が低いという相関が確認された。TEWLが低いほど水分が逃げにくく、一般に皮膚のバリア機能が良好であると考えられる。
この年代では、皮膚常在菌叢の多様性が高いことが、良好な皮膚バリア機能と関連している可能性がある。
アクネ菌は「少ないほどよい」とは限らない?

思春期の肌では、アクネ菌の割合と角質水分量との関連が確認された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 肌のうるおい→12〜18歳では、アクネ菌の割合が高いほど角質水分量が多い傾向が確認された。
- アクネ菌の役割→アクネ菌は皮脂を分解し、皮膚を弱酸性に保ったり、うるおいの維持を助けたりする働きも持つ。
- 研究の注意点→対象は24人と少なく、確認されたのは相関であり、菌の構成が肌状態を直接変えたとは断定できない。
12〜18歳では、別の特徴が確認された。アクネ菌が皮膚常在菌叢に占める割合と角質水分量との間に正の相関があり、アクネ菌の割合が高い人ほど肌の水分量が多い傾向が示された。
アクネ菌というと、ニキビの原因というイメージを持たれやすい。しかし、アクネ菌は本来、皮脂などを分解して脂肪酸やグリセリンを生み出し、皮膚を弱酸性に保ったり、うるおいの維持を助けたりする皮膚常在菌でもある。今回の結果は、思春期の肌ではアクネ菌が単純に「少ないほどよい」とは限らず、適切なバランスで存在することが肌状態に関係する可能性を示すものといえる。
一方で、皮脂が過剰に分泌されるなどして毛包内の環境が変化すると、アクネ菌が炎症に関わる反応を促し、赤みや膿を伴うニキビにつながる場合がある。そのため、今回の研究もアクネ菌を増やせば肌がうるおうことを示したものではない。重要なのは、年代に応じた皮膚常在菌叢のバランスであると考えられる。
また、今回の調査は24人を対象としたものであり、皮膚常在菌と肌状態の「相関」を調べた結果である。菌の構成が直接バリア機能や水分量を変化させたといった因果関係まで明らかにしたわけではない。今後、より多くの人を対象にした検証や、成長に伴う変化を継続的に追う研究が求められる。
児童期から思春期という肌が大きく変わる年代に、皮膚常在菌叢にも約12歳を境とする変化が存在する可能性を示した点は興味深い。子どもの肌をひとまとめに考えるのではなく、年齢ごとの菌の特徴や肌悩みに合わせたスキンケアを考える手掛かりとなりそうだ。
参考文献
皮膚常在菌叢が示す肌の転換点を発見 ~児童期~思春期の肌は『11.6歳』で変わる?!~
https://corp.menard.co.jp/research/news/20260604_3.pdf
