
グリコール酸やサリチル酸などの浅いピーリングは、色素沈着の種類や肌質に応じて慎重に選択される。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
肝斑やニキビ跡の色素沈着などに対するケミカルピーリングは、どのように使うのが効果的なのか。
中国の研究者らが2026年7月、過去の文献のレビューを美容皮膚科学誌で報告した。
肝斑にはグリコール酸、ニキビ後の色素沈着にはサリチル酸

ケミカルピーリングは、肝斑や炎症後色素沈着などの色素性皮膚疾患で、外用治療などと組み合わせて用いられることがある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- グリコール酸→特に肝斑で研究の蓄積が多く、浅いピーリングを繰り返すことで色素沈着の改善が報告されている。
- サリチル酸→抗炎症作用や毛穴詰まりを改善する作用があり、ニキビ後の炎症後色素沈着で有用な選択肢となる可能性がある。
- 併用治療→ケミカルピーリング単独ではなく、紫外線対策や色素沈着に対する外用治療と組み合わせることが重要。
研究者らによると、肝斑、炎症後色素沈着(PIH)、日光黒子、リール黒皮症、目の周りの色素沈着などは、美容皮膚科で相談の多い色素性皮膚疾患。
炎症後色素沈着はニキビや湿疹などの炎症が治まった後に色が残る状態、日光黒子はいわゆる「老人性色素斑」と呼ばれるシミの一種で、紫外線の影響などによって生じる。リール黒皮症は、顔などに灰褐色から褐色の色素沈着が広がる病気だ。こうした色素性皮膚疾患は、健康上大きな問題にならない場合でも、顔など目立つ場所に現れやすく、長期間続いたり再発したりするため、治療が難しいことも少なくないという。
今回の論文で研究者らは、こうした色素性皮膚疾患に対するケミカルピーリングの有効性や安全性について分析している。
ケミカルピーリングは酸などの薬剤を皮膚に塗り、皮膚表面にコントロールされた化学的な作用を与えることで、角質の剥離や表皮のターンオーバーを促す。研究者らは、メラニンを含む角質細胞の排出を促すほか、外用薬を浸透しやすくする効果も期待できると説明している。また、レーザーなどと比較して行いやすく、繰り返して行える点も特徴として挙げている。
研究グループは、2026年1月までに報告された英語論文を検索。過去の臨床研究やレビューから、使用する薬剤や濃度、治療法、効果、安全性について整理した。
その結果、研究者らが最も強いエビデンスに支えられていると評価したのが、浅いグリコール酸ピーリングだった。特に肝斑については、表皮の浅い部分に作用するグリコール酸ピーリングを繰り返すことで、色素沈着の改善を示した研究が複数報告されていた。研究者らは、グリコール酸を単独で用いるよりも、紫外線対策や色素沈着に対する外用治療と組み合わせることが重要だとまとめている。
一方、研究者らはサリチル酸について、抗炎症作用に加えて、ニキビの原因となる毛穴の詰まりを改善する作用を持つ点に注目している。そのため、ニキビを伴う人や、ニキビの炎症後に生じた色素沈着では特に有用な選択肢になり得ると評価した。
グリコール酸についても炎症後色素沈着への有効性を示す報告があり、研究者らは、広い範囲に存在する表皮性の色素沈着では選択肢の一つになるとしている。
肌色に合わせた治療が重要

肌色が濃い人では、強い炎症が色素沈着を悪化させる可能性があり、浅いピーリングを慎重に行うことが重要となる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 濃い肌色への注意→強いピーリングによる炎症は、炎症後色素沈着や色むらを起こし、かえって症状を悪化させる可能性がある。
- 治療の深さ→フィッツパトリック分類III~VI型では、ごく浅い、または浅いピーリングを基本に慎重に行うことが推奨される。
- 治療の組み合わせ→肝斑では日焼け止めや外用薬を併用し、炎症後色素沈着では原因となるニキビや皮膚炎を先に抑えることが重要。
ケミカルピーリングでは、作用を強くすれば効果も高くなるとは限らない。今回のレビューで重要なポイントとして示されたのが、皮膚に与える影響の範囲を必要以上に深くしないこと。
トリクロロ酢酸(TCA)は、日光黒子のような部分的に現れる色素斑や一部の肝斑で効果が期待されるものの、グリコール酸より安全に使える範囲が狭いという。特に肌色が濃い人では、強い炎症を起こすことで炎症後色素沈着や色むらが生じ、かえって色素の問題を悪化させる可能性がある。
そのため研究者らは、フィッツパトリック分類III~VI型では、ごく浅い、または浅いピーリングを基本とすることを推奨している。治療前から紫外線対策を行い、肌のバリア機能や炎症の状態を確認しながら、低い強度から慎重に治療を進めることも重要になる。
肝斑では再発しやすいため、ピーリングだけで治療を完結させるのではなく、日焼け止めやハイドロキノン、アゼライン酸などの外用治療を組み合わせることがポイントになるとした。
炎症後色素沈着でも、ニキビや皮膚炎など原因となった炎症をまず抑える必要があり、炎症が続いている状態で強いピーリングを行うことは避けるべきとされた。
乳酸、ジェスナー液、レチノイドを利用したピーリングや、リール黒皮症、日光黒子、目の周囲の色素沈着に対する治療についても改善を示す報告はある。グリコール酸やサリチル酸に比べると研究数が少なく、治療方法も統一されていないという課題も浮かび上がった。
色素沈着の種類や深さ、肌質に応じて実施方法を調整し、ほかの治療と組み合わせることで、ケミカルピーリングをより有効に活用できそうだ。
参考文献
Li Y, Xiang W. Advances in the Application of Chemical Peels in the Treatment of Pigmentary Skin Disorders. Journal of Cosmetic Dermatology. 2026;25(7):e71048.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jocd.71048
