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複数のケロイドに「小さな穴」を開けて治療、放射線と薬剤も組み合わせ、89.7%が著明改善 87人を1年追跡

カレンダー2026.10.10 フォルダー最新研究
肩の後ろに線状の赤みを帯びたケロイドがある女性の背中。

ケロイドは治療後も再び盛り上がることがあり、複数の治療を組み合わせる方法が検討されている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 治療しても再び盛り上がることがあるケロイドに対し、手術で完全に切り取るのではなく、小さな穴を多数開けて組織を減らし、放射線と薬剤を順番に組み合わせる治療法が報告された。

 中国の研究グループが2026年10月、美容皮膚科学誌で報告した。

ケロイドに多数の小さな穴

上腕部に盛り上がった赤みのあるケロイドが見られる。

傷や炎症の後に、皮膚が過剰に盛り上がることがあるケロイド。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 87人のケロイド285個を対象→ 16~65歳でケロイドが2個以上あり、最大の厚さが5mm以下の患者に、複数の治療を組み合わせた。
  • 小さな穴を開けて組織を除去→ ステロイドと5-FUを注射した後、パンチと呼ばれる器具でケロイドに多数の穴を開け、組織を部分的に取り除いた。
  • 放射線と薬剤注射を段階的に実施→ 切除後24時間以内に計20Gyの放射線を照射し、約4週間後から薬剤注射を原則4週間隔で3回行った。

 ケロイドは、傷や炎症の後に皮膚の組織が過剰に作られ、傷の範囲を超えて盛り上がることがある病変だ。見た目の問題だけでなく、痛みやかゆみを伴うこともあり、治療後に再び盛り上がることも少なくない。

 治療には、切除、ステロイドなどの注射、放射線、レーザー、圧迫療法などが使われる。ただ、一つの治療だけでは十分な効果が得られない場合があり、複数の治療を組み合わせる方法が検討されている。特にケロイドが多数ある場合や密集している場合には、広い範囲をすべて切除することが難しいケースもある。

 今回の研究では、16~65歳の87人に生じた計285個のケロイドを対象とした。参加条件には、ケロイドが2個以上あり、最大の厚さが5mm以下であることなどが含まれた。耳や会陰部にできたケロイド、感染を伴うものなどは対象外とした。

 治療は2段階で行われた。

 最初に、ケロイド内へステロイド薬のベタメタゾンと、抗がん薬としても使われる5-フルオロウラシル(5-FU)を注射した。その後、直径数mmのパンチと呼ばれる器具で、ケロイドに多数の小さな穴を開けるように組織を部分的に取り除いた。

 切除後24時間以内に表在放射線治療を開始し、術後0~3日の4日間、1回5Gy、計20Gyを照射した。さらに約4週間後から、ベタメタゾンと5-FUをケロイド内へ4週間隔で3回注射した。症状が残った場合には注射を追加し、実際の注射回数は平均3.18回、最多で6回だった。

 研究グループは、最初にケロイドの量を減らし、放射線で再び増える組織を抑え、その後も薬剤注射を続けることで、異なる段階から再発を抑えることを狙ったとしている。

約9割が「著明改善」、全員に一時的な色素沈着

複数のケロイドがある患者Bの治療前、治療中、治療終了時、12カ月後の経過を示した4枚の臨床写真。

患者Bの治療経過。Aは治療前、Bは第II段階の初回治療時、Cは第II段階治療終了時、Dは第II段階治療終了12カ月後の自宅で撮影されたフォローアップ写真。(出典:Gong Z, et al. Journal of Cosmetic Dermatology, 2026)

  • 89.7%が著明改善→ 治療終了12カ月後、87人中78人でケロイドが平らで軟らかくなり、痛みやかゆみもなくなるなどの改善が確認された。
  • 全員に色素沈着が発生→ 87人全員に色素沈着が見られたが、80.75%では最初の治療終了から3カ月以内に消えた。
  • 有効性にはさらなる検証が必要→ 潰瘍4例、放射線皮膚炎5例も見られた。比較群のない研究であり、ほかの治療法より優れているかは分からない。

 治療終了から12カ月後、87人のうち78人、89.66%が「著明改善」と評価された。研究では、ケロイドが完全に平らで軟らかくなり、色も周囲の皮膚に近づき、痛みやかゆみがなくなった状態を著明改善としている。

 さらに7人、8.04%は「改善」、2人、2.30%は「効果なし」とされた。傷跡の状態を評価する「POSAS」と「VSS」という2つの指標についても、治療後の経過とともに数値が低下した。

 副作用で最も目立ったのは色素沈着だった。第1段階の治療後2カ月以内に、87人全員で程度の差はあるものの色素沈着が見られた。80.75%では、最初の治療終了から3カ月以内に色素沈着が消えた。最も長く続いたケースでは改善まで12カ月かかった。

 このほか、局所的な潰瘍が4例、急性の放射線皮膚炎が5例確認された。潰瘍は処置によって治癒し、放射線皮膚炎も塗り薬で改善した。感染や皮膚壊死、皮膚萎縮などは確認されなかった。

 研究グループは、ケロイドを丸ごと切除するのではなく、小さな穴を多数開けて組織量を減らす方法を、比較的身体への負担の低い治療法と位置づけている。さらに放射線や薬剤治療を段階的に組み合わせることで、再び盛り上がるのを抑えることを狙った。

 今回の研究にはランダム化された比較群がなく、ほかの治療法より優れているかは分からない。また、厚さ5mmを超えるケロイドや耳、会陰部などは対象外だった。今回の方法がどのようなケロイドに最も適しているかについては、さらに検証が必要になる。

参考文献

Gong Z, Jing W, Zhang Z, Rao W, Lei W, Yang J, Ai Y, Tao X. A Sequential Treatment of Keloids: Multiple-Hole Punch Excision Combined With Superficial Radiation and Drug. Journal of Cosmetic Dermatology. 2026;25(10). doi:10.1111/jocd.71197.
https://www.ovid.com/journals/jcod/fulltext/10.1111/jocd.71197~a-sequential-treatment-of-keloids-multiple-hole-punch

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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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