肥満や2型糖尿病などを対象にGLP-1関連薬(以下、GLP-1薬)の使用が広がる中、子どもの栄養状態への影響に注意が必要となる可能性が報告された。
米国の研究グループが2026年9月、論文で報告した。
GLP-1を使った10~17歳2031人を調査

GLP-1薬を処方された10~17歳の16.8%が、1年以内に栄養不足などと新たに診断された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 10~17歳の2031人を調査→ 米国の医療保険請求データから、GLP-1薬を使用し、治療前に栄養不足の診断がなかった子どもを抽出した。
- 成長期の栄養状態に注目→ 骨や身体が発達する10代では、ビタミンDや鉄、カルシウムなどの不足が健康に影響する可能性がある。
- リラグルチドが約8割→ 処方薬はリラグルチドが78.6%と最多で、デュラグルチド10.4%、セマグルチド9.1%が続いた。
GLP-1薬は、肥満や2型糖尿病などの治療に使われているが、美容目的での利用も広がっている。肥満や2型糖尿病などの治療に使われているが、美容目的での利用が進む。そうした中で、副作用や健康への影響についても理解することが欠かせない。
同薬は、成人での利用が広がる一方、一定の条件を満たす子どもや若年者にも使われるようになっている。成長期に使用した場合の影響を把握する重要性も高まっている。
今回、研究グループが注目したのが栄養状態。10代は身長や骨格が発達し、思春期を迎える時期だ。
研究グループによると、ビタミンDや鉄、カルシウムなどは、この時期の骨の健康や全身の発達を考えるうえで重要になる。GLP-1薬を使う子どもが増える中で、体重や血糖値だけでなく、必要な栄養が十分に取れているかを見る必要があると考えられた。
そこで研究グループは、2017~2022年の米国の医療保険請求データを利用した。1億人を超えるデータから、GLP-1薬を使用した10~17歳の2031人を抽出。対象者はいずれも、治療開始前には栄養不足と診断されていなかった。
処方されていた薬では、リラグルチド(商品名ビクトーザ)が78.6%と大半を占め、デュラグルチド(同トルリシティ)が10.4%、セマグルチド(同オゼンピック、ウゴービ)が9.1%だった。
ビタミンD欠乏は12.4%

GLP-1薬の治療開始後、早期に栄養指導を受けていた子どもは限られていた。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 約6人に1人で栄養不足→ GLP-1薬の使用開始から1年以内に16.8%が栄養不足などと新たに診断され、ビタミンD欠乏が12.4%で最も多かった。
- 栄養指導を受けた人は少数→ 治療開始から30日以内に栄養指導を受けたのは5.8%、6カ月以内でも23.3%にとどまった。
- 治療開始時から栄養管理が重要→ 薬と栄養不足の因果関係は証明されていないが、体重や血糖値に加えて栄養状態も確認する必要性が示された。
GLP-1薬を使い始めてから1年以内に、16.8%が何らかの栄養不足やそれに関連する症状と診断されていた。およそ6人に1人に当たる。中でも多かったのがビタミンD欠乏で、12.4%に上った。
こうした栄養素が不足すると、骨の健康や成長・発達に長期的な影響を及ぼす可能性がある。
一方、栄養面のサポートが十分とは言いにくい状況も明らかにされた。治療開始から30日以内に栄養指導を受けていたのは5.8%、6カ月以内でも23.3%だった。研究グループは、栄養不足が見つかってから対応するのではなく、GLP-1薬を始める段階から栄養状態に目を向ける必要があるとしている。
今回の研究は医療保険請求データを分析したもので、GLP-1薬が栄養不足を直接引き起こしたと証明するものではないが、体重や血糖値だけでなく、栄養状態も合わせて見る必要があることを示す結果となった。
参考文献
GLP-1s Linked to Nutritional Deficiencies in Children.
https://www.luriechildrens.org/en/news-stories/glp-1s-linked-to-nutritional-deficiencies-in-children/
