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世界の形成外科医による美容施術3520万件超、外科最多はまぶたの手術 ヒアルロン酸25%減、ボツリヌス療法7%減 ただし美容医療全体を示す数字ではない ISAPSが2025年調査

カレンダー2026.10.7 フォルダー 海外

 世界で行われる美容医療では、どのような施術が多く、人気はどう変化しているのか。

 国際美容外科学会(ISAPS)は2026年9月、世界の形成外科医による美容目的の施術の調査結果を発表した。

世界で3520万件、まぶたの手術が外科で最多

手のひらに載せた透明な地球儀と、青空を背景にしたイメージ。

世界の形成外科医による美容施術件数を調べたISAPSの国際調査。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 世界で3520万件超→ 形成外科医による美容目的の施術は、外科約1788万件、非外科約1732万件と推計された。
  • 外科最多はまぶたの手術→ 約246万件で前年から16.2%増え、女性、男性ともに外科手術の1位となった。
  • 施術ごとに増減が分かれる→ バストリフトは48.1%増えた一方、脂肪吸引は11.4%減、豊胸術は2.2%減となった。

 ISAPSは毎年、美容外科をはじめ、世界の美容医療の動向を調査している。

 今回の調査では約1万7000人の形成外科医に参加を呼びかけ、2900人から得たデータなどを基に世界の施術件数を推計した。調査は、形成外科専門医または各国で同等の資格を持つ医師を対象とし、51の国および地域について個別のデータをまとめている。

 2025年の世界調査によると、形成外科医による美容目的の施術は、外科手術が約1788万件、注入治療などの非外科施術が約1732万件となり、合わせて3520万件を超えた。

 内訳を見ると、外科手術は1788万3610件。最も多かったのはまぶたの手術で245万7677件となり、前年から16.2%増えた。2位は脂肪吸引の184万9828件、3位は豊胸術の162万2639件、4位は乳房を引き上げる手術(バストリフト)の114万3862件、5位は腹部形成術の103万9808件だった。

 中でも大きく増えたのが乳房を引き上げる手術で、前年から48.1%増加した。一方、脂肪吸引は11.4%減、豊胸術は2.2%減となり、施術によって動きに差が見られた。

 部位別では、顔や頭部の手術が約769万件で前年から3.2%増え、乳房関連も5.7%増えた。一方、体や手足に関する手術は8.9%減少した。

 男女別に見ると、まぶたの手術が女性、男性ともに外科手術の1位となった。女性では続いて豊胸術、脂肪吸引、男性では、女性化乳房の手術、鼻の手術が多かった。

ヒアルロン酸は25%減

地球儀の周囲に、日本、米国、中国、英国、韓国など各国の国旗が吹き出し状に並ぶイメージ。

美容医療の国際的な動向を把握するには、国や地域、施術を担う医師の範囲の違いにも注意が必要となる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 非外科最多はボツリヌス療法→ 約733万件で非外科施術全体の42.3%を占め、ヒアルロン酸注入が約474万件で続いた。
  • ヒアルロン酸は25.2%減→ ボツリヌス療法も7.0%減り、非外科施術全体では前年から15.7%減少した。
  • 切らない引き締め治療は増加→ 非外科的な肌の引き締め治療は23.3%増え、注入系とは異なる動きが見られた。

 非外科の施術は1732万420件だった。最も多かったのはボツリヌス療法で733万3647件と、非外科施術全体の42.3%を占めた。2位はヒアルロン酸注入の473万7957件、3位は切らない肌の引き締め治療の152万8552件だった。

 前年と比べると、ボツリヌス療法は7.0%減、ヒアルロン酸は25.2%減となった。

 一方、切らない肌の引き締め治療は23.3%増えている。非外科施術全体では15.7%減となり、外科手術よりも減少が目立った。

 年齢による違いもある。豊胸術の49.5%、鼻の手術の57.0%は18~34歳が占めた。一方、脂肪吸引では35~50歳が44.1%で最も多く、ボツリヌス療法も47.0%が35~50歳だった。

 国および地域別では、施術総数が最も多かったのは米国で約546万件。米国は非外科施術でも約323万件と最多だった。ブラジルは総数約322万件で、外科手術は約236万件と世界最多だった。中国は総数約284万件だった。

 世界全体では、2021年と比較可能な施術に限ると9.2%増えている一方、2025年は前年と比べて減少した。特にヒアルロン酸などの非外科施術が減る一方、まぶたの手術や乳房を引き上げる手術、切らない肌の引き締め治療などは増えており、美容医療の中でも施術ごとの動きが分かれている。なお、今回の調査では、個別にデータを掲載する国および地域が前年の32から51に増え、新たな施術項目も加わった。こうした変更が世界全体の推計値にも影響するため、ISAPSは前年との増減について、各年で共通する施術に限って比較している。

全体像の把握には限界も

世界の美容医療は?画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

世界の美容医療は?画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 3520万件は世界全体ではない→ ISAPSの調査は形成外科専門医などを対象としており、皮膚科医や美容皮膚科医などによる施術は十分に含まれない可能性がある。
  • 統計の対象も毎年変化→ 2025年版では個別掲載する国・地域が32から51に増え、新しい施術項目も追加された。
  • 前年比減だけで市場縮小とは言えない→ 集計方法や対象範囲の変更も推計値に影響するため、ISAPSも共通する施術に限って前年との増減を比較している。

 ただし、ISAPSの3520万件という数字を、そのまま「世界で行われた美容医療の総数」と考えることはできない。ISAPSの調査は、形成外科専門医または各国で同等の資格を持つ医師を対象にしたものだからだ。

 現在の美容医療では、ボツリヌス療法やヒアルロン酸の注入、レーザー、肌治療などを皮膚科医や美容皮膚科医などが行うこともある。国によってはメディカルスパなども施術の担い手となっている。こうした形成外科医以外による施術は、今回の数字には十分に反映されない可能性がある。

 また、美容医療では新しい機器や施術が次々に登場しており、統計の分類そのものも変化している。2025年版でも新しい施術項目が追加され、個別に集計する国および地域も前年の32から51へ増えた。ISAPSも、こうした変更が世界全体の推計値に影響すると説明している。

 そのため、今回の施術件数の減少だけから、世界の美容医療全体が縮小したとは言えない。今回の調査は、世界の美容医療の大きな流れを知る重要な手がかりである一方、その全体を映した数字ではないという点にも注意が必要だ。

参考文献

New Global Aesthetics Report: Eyelid Surgery, Liposuction, and Breast Augmentation Rank as Top Surgical Procedures
https://www.isaps.org/discover/about-isaps/global-statistics/global-survey-2025-full-report-and-press-releases/

見えない美容医療 世界でどれだけ施術されているのか簡単には分からない 全体像をつかみにくい3つの理由 市場推計も大きく割れる【編集長コラム】
https://biyouhifuko.com/news/column/18336/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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