肥満や2型糖尿病の治療に使われるGLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1薬)の使用者では、爪が浮いたりはがれたりする症状が、薬を使用していない人の4倍以上の割合で報告された。
フランス、米国、ブラジル、メキシコの4カ国で実施された調査結果が、2026年9月30日から10月3日にオーストリア・ウィーンで開催された欧州皮膚科学会(EADV Congress 2026)で発表された。
爪のはがれる症状が39%、非使用者では9%

肥満や2型糖尿病の治療に使われるGLP-1受容体作動薬。使用者では爪や毛髪、頭皮の異常が多く報告され、皮膚への影響が注目されている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 調査対象→GLP-1薬の使用者575人と、肥満や2型糖尿病がある非使用者1329人を比較。
- 爪の異常→爪が浮いたりはがれたりする症状は使用者39%、非使用者9%。爪の変色も46%対17%と差。
- 薬との関連→体重減少や皮膚疾患、栄養不足などを考慮しても、爪の剥離や変色は使用者で約2~3倍多かった。ただし、薬が直接の原因かどうかは不明。
GLP-1薬は、血糖値を下げたり、食欲を抑えて体重を減らしたりする作用があり、世界的に使用が増えている。
GLP-1薬については、体重減少に伴う脱毛など、皮膚や毛髪への影響も注目されている。
一方、爪への影響については、これまで個別の報告にとどまり、詳しい検証は行われていなかったという。
今回、国際研究グループは、GLP-1薬を使用している575人と、2型糖尿病や肥満があるものの、同薬を使用したことがない1329人を比較した。
爪の異常について調べたところ、使用者の66%が何らかの症状を報告したのに対し、非使用者では53%だった。特に大きな差が見られたのが、爪が下の皮膚から浮いたりはがれたりする症状だった。使用者では39%が報告したのに対し、非使用者では9%にとどまり、4倍以上の差があった。
爪の変色についても、使用者では46%、非使用者では17%と、大きな違いが見られた。
GLP-1薬の使用者に爪の異常が多いのは、薬そのものの影響なのか、それとも体重が減ったことによるのか。研究グループは、この点についても調べた。
その結果、体重が減った人に対象を絞って比較しても、薬の使用者の方が爪の異常が多かった。さらに、爪に影響する皮膚の病気や栄養不足などの影響を統計的に考慮しても、爪のはがれる症状や変色は使用者で約2~3倍多かった。
こうした結果から、爪の異常には体重減少だけでは説明できない要因が関係している可能性が示された。ただし、薬が直接の原因かどうかは分かっていない。
脱毛は50%、頭皮の炎症が関係する可能性も

GLP-1薬の使用者では、脱毛や髪のボリュームの減少、頭皮の赤みなども多く報告された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 脱毛の報告→GLP-1薬の使用者の50%が通常とは異なる脱毛を報告。非使用者では34%。
- 髪や頭皮の変化→髪のボリュームや密度の減少は42%対19%。頭皮の赤みも使用者で約3倍多かった。
- 脱毛との関連→使用者の脱毛には、かゆみや赤みなどを伴う場合が多く、急激な体重減少だけでなく頭皮の炎症も関係する可能性。
同じ1904人を対象にした別の研究では、髪や頭皮の状態についても調べられた。
通常とは異なる脱毛を報告した割合は、GLP-1薬の使用者で50%、非使用者で34%だった。髪のボリュームや密度の減少については、使用者が42%、非使用者が19%となり、2倍以上の差が見られた。
頭皮の赤みについても、使用者では約3倍多く報告された。使用者では、脱毛だけが見られるケースは少なく、多くの場合、頭皮のかゆみや赤み、フケのような皮膚の剥がれを伴っていた。
GLP-1薬の使用中に見られる脱毛には、急激な体重減少だけでなく、頭皮の炎症も関係している可能性がある。
参考文献
Nail detachment over four times more common among GLP-1 users, first controlled study finds(European Academy of Dermatology and Venereology、2026年10月1日)
https://eadv.org/2026/10/01/nail-detachment-over-four-times-more-common-among-glp-1-users-first-controlled-study-finds/
