美容医療のリスク増大?世界22か国でのトレーニング不足・無資格施術者の問題を米国形成外科学会が調査
ポイント
- 米国形成外科学会が、トレーニング不足・無資格施術者による美容医療施術の実態を調査
- 22カ国、2553人の形成外科医にアンケートを実施し、規制の問題などを浮き彫りにした。
- 形成外科医などと非専門家のSNS情報が混在し、混乱を招いていると指摘する
適切なトレーニングが足りない、または医療資格を持たない施術者により美容医療が行われ、合併症につながっていると懸念される世界的な傾向があるようだ。2023年7月28日、米国形成外科学会(ASPS)は、世界中の形成外科医を対象とした調査の結果を公表した。
専門性の低い施術者の実態
ヒフコNEWSで伝えているように、HIFU(集束超音波治療)によって失明や神経障害、ヤケドが発生する問題、また、脱毛に伴って発生するヤケドの問題などが表面化している。こうしたトラブルの背景として、エステティックサロンやセルフエステのような医療機関以外での実施に問題があるという指摘がある。
このような非専門家による施術の問題は世界的にも共通し、このたび米国形成外科学会は、世界中の形成外科医を対象とした大規模な調査を実施した。調査は、中南米、欧州、アフリカ、アジア、オセアニアにまたがる世界22カ国2553人の形成外科医を対象に行われた。形成外科医には、各国の美容外科領域における規制の枠組みや安全性の課題について質問した。
施術者の資格の規制や自由な広告に課題
ここから分かったのは、十分なトレーニングを受けていない人、医療資格を持たない人が美容医療の施術を行い、結果として合併症を引き起こしているという報告が目立つこと。被害を受けた人たちが、形成外科の専門家に相談する事例が増えていると報告された。
規制の枠組みは国によって異なっている。同調査によると、美容医療が形成外科医だけに限定されていないという回答が多く、一方で、注入関連の施術についてはトレーニングを受けた医師に限定すべきとする意見が多かった。
さらに、この分野における広告慣行も懸念事項として挙げられた。形成外科医がソーシャルメディアを通じて情報提供している一方で、トレーニングを受けていない人やインフルエンサーもこれらのプラットフォームで大量に情報を出し、専門家と非専門家の境界をあいまいにしているという。これが一般の人に混乱を起こしているという見方だ。
日本に限らず美容医療のトラブルが多く発生するならば、施術者の条件や広告などをめぐって規制が強化される可能性もあり得るのだろう。
参考文献
ASPS Global Survey Sheds Light on Cosmetic Surgery Practice and Regulation Challenges
https://www.plasticsurgery.org/news/press-releases/asps-global-survey-sheds-light-on-cosmetic-surgery-practice-and-regulation-challenges
エステティックサロンなどでの日本のハイフ関連事故の詳細明らかに、国の消費者安全調査委員会が報告書
https://biyouhifuko.com/news/interview/2544/
「やってはいけないフィラー豊胸術」、世界が認めていないのに日本でいまだに行われている理由
https://biyouhifuko.com/news/interview/277/
日本の美容医療、課題と展望 日本美容外科学会JSAPSの前理事長の大慈弥(おおじみ)裕之氏に聞く
https://biyouhifuko.com/news/interview/253/
成人年齢18歳に、10代の脱毛エステや医療のトラブル相談が急増
https://biyouhifuko.com/news/japan/1696/
脱毛サロン倒産急増、予約トラブルなど影響、帝国データバンク
https://biyouhifuko.com/news/japan/860/
なぜ大阪のエステ脱毛は書類送検に?女性のやけど事件の背景を大阪府警に聞いた
https://biyouhifuko.com/news/japan/2131/
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