欧州ではインフルエンサーのステルスマーケティングが依然として横行しているようだ。今後、取り締まりの強化が検討される可能性もある。2024年2月、欧州の政策の方針に大きな影響を与える欧州委員会の調査によりルール違反が明らかにされた。
ステマのルールを守れているかの調査
欧州委員会と22の加盟国、ノルウェー、アイスランドの国家消費者保護機関が、インフルエンサーのソーシャルメディア投稿に関する大規模な調査を実施した。
この調査の目的は、インフルエンサーが法律で義務付けられている広告活動の開示を遵守しているかを調べること。インフルエンサーの中にいわゆるステルスマーケティングがどれくらい広まっているかが明らかになることになる。調査対象になったのは、主要なソーシャルメディアプラットフォーム上で活動する576人のインフルエンサーだ。
調査結果はステルスマーケティングの横行ぶりをはっきりと示すものだった。
ほぼ全て(97%)のインフルエンサーが商業的なコンテンツを投稿していたが、5人に1人しかコンテンツが広告であることを表示していなかった。
インフルエンサーのうち自ら商業活動を行っていたのは78%。国に商業に従事していることを登録していたのは36%。
投稿に、メールアドレスや会社名、住所、登録番号など、企業情報の詳細を一切提供していないのが30%に上った。
38%は「有料パートナーシップ」のようなプラットフォームのラベルを表示していない。その一方で、16%が「コラボレーション」、15%が「パートナーシップ」と表示していた。11%はパートナーのブランドに対する一般的な感謝の言葉を示していた。
この調査から浮き彫りになったのは、インフルエンサーマーケティングにおける透明性の欠如と、規制への遵守不足である。
透明性向上へ強制措置も
調査結果を受けて、358人のインフルエンサーがマークされた。今後、各国の関連機関がインフルエンサーに対して定められたルールに従うよう要請。必要であれば、強制措置がとられる可能性もあるという。
調査結果については、デジタル社会における消費者保護のためのルールが求められていることが示されているという。
今回の調査結果は、今後の法改正も含めた検討にも生かされるという。
日本でも景品表示法の改正で、ステルスマーケティングが違法になった。美容医療ではインフルエンサーマーケティングが盛んだが、欧州の動向はグローバルなデジタルマーケティングのトレンドに影響を与え、日本を含む他国のルールにも影響するかもしれない。