美容医療の現場に立つ男性看護師に集まってもらい、座談会を開催。女性看護師とは違った視点もあり、美容医療を検討するときのヒントにもなるかもしれない。第7回は、手技レベル向上の仕方について。
──美容クリニックの施術の中には、手技レベルで仕上がりが異なるものもあると聞く。向上のためにどのようなことをされているのか。
髙橋: 基本的なマニュアルがあるので、それらに沿った施術がきちんと行われているか、というのを新人、中堅など立場は関係なく、定期的に確認しています。安全が第1です。
こうじ: うちは、最近マッサージピールを単に行うのではなく、エステ感覚でお客さまに「気持ちいい」と思っていただきたいため、指圧の方法、顔のツボなどを意識し、みんなで施術し合い「これどう?」「気持ちいい?」と高め合っています。
同じ製剤でも、ただ塗るだけか、揉み込むかで仕上がりが全然違います。一時的なものではありますが、施術後にほうれい線が薄くなることも。「どうやったら薄くなるのか」「お客さまに鏡を見せた後に満足してくれるのか」ということをいつも考えてやっています。
こば: 私は、ヒアルロン酸治療が好きです。エイジングケアには欠かせないですよね。一方で、マイナスイメージもすごくあるんです。それは、入れ方、ナースの介助でも圧倒的に変わります。
ボトックスとか自分で打ったことあります?
こうじ: いつも、自分で打っています。
こば: 私もやるんですけど、針先を操作する能力は簡単そうに見えて難しいです。
こうじ: すごく難しいです。結構ズレますよね。
こば: そうなんです。通常、病院での注射は一回で打ちますよね。
それに対し、美容クリニックでヒアルロン酸を打つ時には、造形を意識しながら細いシリンジで刺して3mlくらいを等間隔で細かく分けて打つ。そのため、指先の技術がすごく繊細で難しい。
さらに、ヒアルロン酸でリフトアップするときも、看護師がいかに「どうしたら持ち上がるのか」を考えながら少しずつやらないといけない。
その介助の仕方、介助をする上で解剖を理解しているのか、ヒアルロン酸はどういう人に適応なのか。知識の共有と介助の仕方などにこだわっており、それを看護師間で共有しています。
こうじ: 注入系は本当に難しいですよね。介助の仕方も難しい。
圧迫を看護師がすぐにしてあげるか否かで、お客さまの内出血の出具合が変わるので。すぐにしないと、本当にどんどん広がってしまうんです。一度、内出血が出るとお客さまはもう来てはくれないので、そういう意識を持ってやっています。
──圧迫の遅れだったとしても、「ここ、内出血出やすい先生なのかな」って思われてしまう。
こうじ: そうなんですよ。
──介助の役割は大きい。その意識を持ってくれている看護師さんであるかどうかも、施術を受ける側としては大きい。
こば: お客さまに「こんなことをしていますよ」と、お伝えすることはないですけど、技術の向上は常に意識して施術していきたいですね。
──他に、クリニック向上のために行なっていることは?
髙橋: 皆さんそうだと思うんですけど、施術だけではなく、接遇も大切にしています。お話の仕方、お辞儀の仕方、表情など、お客さまにより良い時間を過ごしていただくために、月に1度、確認、評価しています。
施術については、僕が見て評価をしているんですけど、接遇に関しては、接遇の専門のスタッフがいます。
こうじ: すごいですね。
うちのクリニックでは、SNSに注力しています。施術のことだけではなく、どんな看護師やスタッフが働いているのかが分かるよう内部の様子も発信。みんな仲が良いので、お客さまたちとも距離感が近くて通いやすい。そういう雰囲気を感じていただけたら嬉しいです。
こば: うちは、とにかく結果が出る皮膚治療をしたいので、まず知識があることを最重視しています。さらに、お客さまにも理解を深めてもらうために、医療用語は使わずに伝えることを徹底しています。知識をベースとして、それを簡単な言葉で伝える。
レーザーをしながらどのような話しをするのか?内容を確認するテストがあります。「炎症って言葉使わないでね」「それは『赤くなるよ』に変えよう」など。
こうじ: 徹底していますね。
──やさしい言葉で説明してくれるのはありがたい。
クリニックによって、手技レベルや注力している部分も異なりそうだ。自分に合うクリニックを見つけるための参考にしていただければ幸いだ。