肌にドット状のレーザーを規則的に当てて、肌に小さな穴を開けることで、肌の再生を促すフラクショナルレーザーは、この治療後に「ケラトアカントーマ」と呼ばれる出来物が発生することがあるという。
レーザー治療後に突発的に発生したケラトアカントーマの症例と、それに関連する過去のレビューが2024年4月に報告された。
レーザー治療後の肌に現れた角質の芯と盛り上がり
58歳の女性は顔の若返りの目的のためにフラクショナルレーザーを受けることにした。口元を中心にシワや小ジワが見られた。
女性はアレルギー性鼻炎と帯状疱疹になったことがあり、皮膚がんになったことはなかった。
そこで顔全体にフラクショナルCO2レーザーを、口元や目元にはエルビウムレーザーリサーフェシングを実施した。その10日後に、口元に皮膚の盛り上がりが認められ、レーザーリサーフェシングを行った部位には、角質の芯を持った4~6mmの盛り上がりが3つ確認され、これがケラトアカントーマと推定されたという。
皮膚を切り取る検査、薬剤治療、特に何もせずに観察するという選択肢があったが、傷跡が残ることを考え、週に複数回の慎重に観察することにした。すると数週間で小さくなり、6週間後目には自然に完全消失した。
美容的にも結果は良好と判断されたという。
レーザー誘発KAの特性と管理
- ケラトアカントーマの報告→フラクショナルレーザーを受けた人に目立ち、エルビウムレーザー、エルビウムYAGレーザー、ピコ秒レーザーを用いた刺青除去でも同様の報告
- ケラトアカントーマ発生の背景→過去に皮膚がん経験者に多い、治療から1カ月以内に多く発生
- 対処方法→慎重な観察、手術、凍結療法、薬など
- 一般的なケラトアカントーマの特徴→角質の芯を持つ出来物で、原因は紫外線、免疫低下、慢性的な皮膚病、HPV関連ウイルス感染など
研究グループによると、過去の報告も参考にすると、ケラトアカントーマの報告はフラクショナルレーザーを受けた人で目立っていた。また、エルビウムレーザー、エルビウムYAGレーザー、ピコ秒レーザーを用いた刺青除去に関しても、同様の報告がある。
なお、ケラトアカントーマが発生した人の中には、過去に皮膚がんを経験した人が多いと報告されている。
ほとんどのケースでは治療から1カ月以内にケラトアカントーマができていた。ケラトアカントーマの一般的な対処は、50代の女性のように慎重に観察を続けるほか、手術、凍結療法、薬などがある。レーザーに関連したケラトアカントーマも一般的な対処が取られていた。
一般的にケラトアカントーマは、角質の芯を持った出来物。原因ははっきり分かっていないが、一般的には紫外線を多く浴びたとき、免疫を低下させる薬を使っているとき、慢性的に赤みが出来る皮膚の病気、HPV(ヒトパピローマウイルス)関連のウイルス感染などで起こるとされる。ケガやヤケドの後にケラトアカントーマが発生するという報告がある。フラクショナルレーザーの後に発生しやすいことは皮膚のダメージが関係している可能性があるという。
レーザー治療の後にもこのような変化があるというのは、治療を検討をするときには知っておいた方が、後に異常があったとき早めに対処する上では役立ちそうだ。