サプリメントの安全性への関心の高まりとともに、「ブレンドビタミン」が注目されるかもしれない。これは複数のビタミンをあらかじめ組み合わせたもので、体の老化防止への効果が期待されている。
2024年4月、芝浦工業大学と岐阜大学の研究グループは、ブレンドビタミンがマウスの空間認識能力と記憶力を改善することを報告した。美容医療でもビタミンの利用が一般的で、この結果は参考になるかもしれない。
酸化ストレスによる細胞ダメージを防ぐ
芝浦工業大学がブレンドビタミンに注目したのは、加齢に伴う認知機能や筋力の低下が、酸化ストレスという細胞のダメージに関連しているから。ビタミンは、酸化ストレスを引き起こす「フリーラジカル」を中和する力を持ち、サプリメントからの摂取が一般に行われている。
多くの人が異なるサプリメントを組み合わせて使用するが、適切な量の摂取は難しく、過剰摂取のリスクもある。
そこで芝浦工業大学と岐阜大学の研究グループは、必要量が事前に決められたブレンドビタミンに注目。マウスの実験を通じて効果を検証した。「Twendee X」というブレンドビタミン製品を1カ月間マウスに摂取させ、空間認識能力と記憶力などへの影響を調査した。
空間の認識や記憶の力が向上
研究結果として確認されたのは、ブレンドビタミンによって空間認識能力や記憶能力が改善することだ。
具体的には、ブレンドビタミンを摂取したマウスは、迷路を通過する時間が短縮され、同じような迷路の実験では同じ場所に繰り返し入らないという短期間の記憶力の向上が見られた。また、1カ月間のランニング距離の上昇も認められた。図では赤い色で示されているが、青い色よりも改善が認められる。
「記憶力の低下はアルツハイマー病などの病気に関連しており、ブレンドビタミンによる記憶力の改善は人間における記憶力低下の予防に役立つ可能性がある」と芝浦工業大学。また、「市場には多くの抗酸化サプリメントが存在しており、消費者がどれを選べば良いか判断するのは困難。研究結果は、抗酸化サプリメントをあらかじめブレンドすることの有効性を支持している」ともいう。
サプリメントの安全性が注目される中で、あらかじめ成分が組み合わされたものが脚光を浴びるかもしれない。