ロート製薬が2024年5月9日に、皮膚を老化させる重要な要素として「THBS1(トロンボスポンジン-1)」という物質が関与していることを発見した。
これはロート製薬と大阪大学蛋白質研究所の共同研究により明らかになったものだ。
皮膚老化のメカニズム解明
- 皮膚老化の要因→紫外線などの外的要因と加齢による内的要因が絡み合う
- 加齢のメカニズム→未解明な部分が多い
- 研究方法→老化した皮膚の細胞でどの遺伝子が機能しているかを網羅的に分析
- 研究結果→皮膚の赤みや痛み、腫れなどの異常(炎症)を引き起こす要因を特定
皮膚の老化は、紫外線などの外的な要因と、加齢による内的な要因が絡み合うように影響している。このうち加齢がどのように関与するか、そのメカニズムには未解明な部分が多い。
そこで、研究グループは、老化した皮膚の細胞でどの遺伝子が機能しているかを網羅的に分析することで、老化の要因を探っている。
ここから明らかになったのは、皮膚の赤みや痛み、腫れなどの異常(炎症)を引き起こすさまざまな要因だ。
詳しく調べたところ、一般的に炎症を悪化させることにつながる「TGF-β1(トランスフォーミンググロースファクターベータ1)」が増加することを確認した。これは皮膚に限らず、炎症を引き起こす要因として知られている。
特に皮膚老化では、TGF-β1の影響により、THBS1が増えて、一方でFMODと呼ばれる要素が減ることが分かった。
皮膚老化を予防できる可能性
- 主要発見→THBS1がコントロールされやすく、皮膚老化の主要な要因である可能性
- THBS1の重要性→THBS1を減らす方法が分かれば、皮膚老化だけを防ぐことが可能
- 今後の展望→THBS1に働きかけることで、皮膚老化を効果的に予防できる可能性があり、今後注目される可能性
研究グループはシミュレーション解析と呼ばれる手法で調べたところ、特にTHBS1がコントロールされやすく、皮膚老化の主要な要因である可能性が分かった。
皮膚老化につながる炎症を抑えるためには、TGF-β1にアプローチする方法が考えられるが、これは皮膚老化以外にも影響しているため、全身への影響が大きく、副作用も懸念される。一方で、皮膚老化を引き起こすTHBS1を減らす方法が分かれば、皮膚老化だけを防ぐことができる。
THBS1に働きかけることで、皮膚の老化を効果的に予防できる可能性があるということだ。今後、皮膚の老化防止のために注目される可能性がある。