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美容医療の疑問やトラブルの相談、最も多いのは「目・まぶた」、厚労省検討会で示された6月3週間の相談内容、日本美容医療協会が情報を提供

カレンダー2024.7.22 フォルダー 国内
厚生労働省。(写真/Adobe Stock)

厚生労働省。(写真/Adobe Stock)

 厚生労働省が6月に「第1回美容医療の適切な実施に関する検討会」を開催し、美容医療に関連して起こるトラブルへの対応などが話し合われた。今後、現状の把握が進められ、それに基づいて対応が検討されていくことになる。

 第1回の会議では、日本美容医療協会が、同協会のオンライン公開相談室に寄せられた相談内容が紹介され、美容医療に関連して一般の人たちがどのような疑問や問題を抱えているのかが具体的な数字や事例を踏まえて説明された。

3週間で149件の相談

 2024年6月1日~22日までの約3週間に寄せられた相談は149件だった。

 最も多いのは「目・まぶた」に関する相談で32件、「鼻」が29件、「フェイスリフト」が28件で、それぞれが特に多かった。

 以下、「脂肪吸引」が10件、「顔の輪郭」が7件、「レーザー」が6件、「胸」「アザ・シミ」「脱毛」「包茎」がそれぞれ4件、「口・唇」「スキンケア」「ワキガ」がそれぞれ1件だった。

美容医療相談件数

部位・施術 相談件数
目・まぶた 32件
29件
フェイスリフト 28件
脂肪吸引 10件
顔の輪郭 7件
レーザー 6件
4件
アザ・シミ 4件
脱毛 4件
包茎 4件
口・唇 1件
スキンケア 1件
ワキガ 1件

 協会によると、相談内容は大きく4つに分かれている。1つ目は、医学的な相談で、治療選択のための助言を求めるもの、2つ目は、医学的に起こり得る合併症であるものの、医師の説明不足があったもの、3つ目は、金銭トラブルや医学的、法律的対応の相談、4つ目は、仕上がり不良や術後合併症。

 健康被害、治療を受けるに当たっての相談や経済的なトラブルなどの相談も含まれていることになる。

 約3週間の相談ではあるが、日本の美容医療で起きている健康関連のトラブルの傾向を理解するためのヒントを与えてくれる。「目・まぶた」は日本人で特に施術件数が多いと知られており、それに伴い疑問点や問題についての相談も多く寄せられている。「目・まぶた」の内訳は、「眼瞼下垂」「くまとり」がそれぞれ5件、「重瞼」「脱脂」がそれぞれ4件、「眉下切開」が3件、「脂肪注入」「ヒアルロン酸」がそれぞれ2件だった。

※重瞼は二重まぶたなどに関連した施術。

 「鼻」の内訳は「プロテーゼ」「鼻メッシュ」がそれぞれ4件、「フェイスリフト」の内訳は「糸リフト」が4件となっていた。鼻については、プロテーゼや鼻メッシュといった人工物を入れる施術に関連した相談が見られる。このうち鼻メッシュは、糸状のものを鼻に挿入するもので、しこりができるなどの問題が報告されている。

 フェイスリフトでは糸リフトの相談があり、これも人工物を挿入するもので何らかの問題が起きている可能性がある。脂肪吸引では重大な事故が報告されているが、今回の相談件数としても少なくなかった。

相談は4つのタイプに分類

相談が多い。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

相談が多い。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 協会では、相談の具体的な例を紹介しており、現場はどのような問題が起きているかを理解するためには参考になる。

 1つ目の「助言」を求める相談内容では、血液をさらさらにする薬を飲んでいる人がフェイスリフトをしてよいかと相談しているケース。また、フェイスリフトによって目の形が変わるのかという相談があったほか、「貴族手術とほうれい線への脂肪注入」に関する内容も紹介された。貴族手術は鼻翼の付け根が内側にくびれている状態を、人工物などを挿入して外側に張り出させ、鼻の左右のくぼみを目立たなくする手術。これがほうれい線の脂肪注入と似た効果を持つという情報があり、どうとらえればいいか説明を求めるものだった。これはメディアで取り上げられた情報を確かめるためのもので、根拠情報が明確に示されていない情報に接した人からの問い合わせが発生していると推測される。

 2つ目の「合併症に関連して医師の説明不足」についての相談内容では、鼻整形施術後にピリピリする違和感、HIFU(高密度焦点式超音波治療、ハイフ)後のかゆみの症状についての疑問が寄せられていた。

 3つ目の「金銭トラブルや医学的、法律的な対応」についての相談内容では、美容医療でトラブルに遭った後に、どこの医院に行けば良いかを相談する内容が示された。

 4つ目の「出来上がり不良や合併症」についての相談内容としては、クマ取り手術と脂肪注入後の施術後のしこりの相談、目のくまの治療後にまぶたがあっかんべーのようにめくれて内側が見える状態になったという相談があった。さらに、糸リフト後にかえって太って見えるようになった不満についての相談も寄せられていた。

複合的なトラブルの相談も

 このほか、いくつかの問題が複合している相談もある。ボツリヌス療法後に目が開かなくなったという相談、ダウンタイムがゼロと聞いていたのに腫れが続いていて、治療費も当初の情報と比べて高額になったという相談。また未承認薬の脂肪溶解注射であるBNLSカベリン注射で、鼻に痛みが出たという相談もあった。

 協会では、「本来医師の診察を受け、自分に合った治療法の診断を受けて、他の治療法やリスクやダウンタイムなどについて、また費用についても合意を得てから治療を受けるべきなのにそうなっていない状況」を指摘。問題点を次のように列挙している。

  • 相談室やネットで情報を得ようとしている。
  • 治療法の選択が医師以外の無資格者によって行われている。
  • 当然起こり得るリスクやダウンタイムの説明がなされていない。
  • 合併症が起きたときに責任を持って対応されていない。
  • 想定された金額と異なる金額が提示され契約に至っている。

 さらに、トラブルが起きているクリニックが偏りがある点も指摘した。

 この協会の調査は今後の美容医療の問題を検討していく基礎資料として重視されることになると見られるとともに、今後、7月以降の情報も公開される可能性があり、相談の実態がよりはっきりと見えてくることが予想される。

 また、美容医療のトラブルはなかなか見えづらいが、このように相談内容が公開されることで、似たようなトラブルを避けられることにつながることから、今後、情報を積極的に公開されていくことも望まれる可能性があるだろう。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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