HIFU(高密度焦点式超音波治療、ハイフ)は健康被害が相次いでおり、国民生活センターなどへの相談が増加している中、訴訟に発展するケースが出てきた。2024年8月8日に、20代女性がエステ会社に賠償金を求めて訴えたことが報道されている。
ハイフによる重大な健康被害が明らかになっており、今後同様の訴訟が増加する可能性も考えられる。
ハイフのトラブル相次ぐ中、訴訟に発展
NHKなどの報道によると、エステで医師資格を持たない施術者によるハイフによりヤケドを負ったとして、20代の女性がエステ会社に賠償金約400万円を求めて提訴した。女性は太ももに施術を受けてヤケドを起こし、傷跡が残る健康被害を受けた。治療に2年ほどかかったというコメントが紹介され、健康被害が起きてから訴訟に至るまでに長い期間がかかったことがうかがえる。
23年に国の委員会がハイフによるトラブル増加についての報告書を出し、その後も厚労省の研究によりハイフによるヤケドのほか、神経障害、目の障害などが起きていることが判明している。
これまでの報道で、法律事務所がハイフの健康被害についての電話相談を受け付け、多数の相談が寄せられていることが伝えられていた。法律事務所は、ハイフの健康被害を受けた人たちに対して、返金を含めた対応などの助言を行う。そうした中で、後遺症などの重大な問題がある際には、損害賠償請求をすることも視野に入れることになる。今回、訴訟に至る事例が出た形になる。
美容施術トラブルで訴訟も起きる時代
従来、美容施術に関連した被害への対応としては、和解に向けた交渉が行われることが一般的だ。そうした動きの一つとして、国民生活センターが紛争解決委員会を通してトラブル解決に取り組んでいる。同委員会は間に入って美容施術に関連したトラブルの解決に当たっている。ヒフコNEWSで伝えているように経済被害や健康被害の和解に至るケースが報告されている。
こうした和解のプロセスでも解決しないなどの理由から訴訟に至るケースも出てくる。最近では、PRP(多血小板血漿)にb-FGF(塩基性線維芽細胞成長因子)を加えて肌のシワを改善させる施術でしこりが残ったというトラブルで訴訟に至ったケースが報道されている。男性専門医療脱毛ウルフクリニックが突然閉鎖したケースでは、返金されない利用者が集団訴訟を提起している。脱毛エステの突然閉鎖でも訴訟が起きている。
継続的に美容施術をめぐってトラブルが増えていることが報じられる。今回訴訟に至ったのはエステでの被害だったが、美容クリニックでも健康被害は報告されている。そうした中で、法律事務所が美容医療被害情報を集める動きもある。被害者には死亡事例や重大な後遺症が残るケースもあり、今後、訴訟に発展するケースが増えていく可能性もある。