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喫煙と酒さ、現在の喫煙は影響しないが、禁煙でリスク上昇、複雑な関連が美容皮膚科医学誌で発表される、中国の研究グループが研究結果

カレンダー2024.8.18 フォルダー最新研究
赤ら顔と喫煙との間に関連?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

赤ら顔と喫煙との間に関連?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 酒さはいわゆる「赤ら顔」を示す皮膚の病気だが、酒さと喫煙の因果関係について新たな発見が明らかにされた。

 中国の研究グループが2024年8月、フィンランドのデータを基に、喫煙と酒さのリスクとの関連を精密に評価し、美容皮膚科の医学誌で8月に発表している。

過去の喫煙が酒さリスクを高める

酒さの悩み。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

酒さの悩み。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 酒さ→顔に赤みや腫れなどの症状を引き起こす皮膚の病気で、成人の約5%に発症。
  • 喫煙と酒さの関連→過去の研究で、喫煙が酒さに関連する可能性が指摘され、喫煙本数が多いと酒さの症状が軽くなる一方、禁煙後は症状が悪化することが示唆されていた。
  • 中国の研究→新たな分析で、過去に喫煙していた人の酒さリスクが約6.8倍に増加することを確認。現在喫煙している人々にはリスクとの関連が見られなかった。

 酒さは、顔に赤みや腫れなどの症状を引き起こす皮膚の病気で、今回の研究によると成人の約5%に発症するとされる。これまでの研究では、喫煙が酒さに関連する可能性が指摘され、ヒフコNEWSでも喫煙本数が多いと酒さの症状が軽くなるという研究結果が紹介されている。ただ、禁煙後は症状が悪化することも示されており、因果関係には不明確な点が多かった。

 今回、中国の研究グループは、前回ヒフコNEWSで紹介した研究と同じ「メンデルランダム化法」という方法を使って、新たに喫煙と酒さの関連について分析した。

※メンデルランダム化法は、遺伝的な特徴を利用して、偏りなく、原因と結果との関連を分析することができることから世界中の研究で採用されている。

 研究の結果、過去に喫煙していた人で、酒さのリスクが増加することが確認された。具体的には、過去の喫煙が酒さのリスクを約6.8倍に高める可能性が示された。一方で、現在喫煙している人々には酒さのリスクと関連が見られなかった。

喫煙と酒さリスクの複雑な関係

喫煙そのものは酒さの症状を軽くする可能性。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

喫煙そのものは酒さの症状を軽くする可能性。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 前回の研究→喫煙が酒さから一時的に守る効果があるとされ、1日当たりの喫煙本数が多いほど酒さの発症リスクが低下するが、禁煙後にリスクが上昇することが示された。
  • 喫煙の長期的悪影響→長期的には喫煙が免疫系や血管に悪影響を与え、禁煙後に酒さが悪化する可能性がある。
  • 研究の結論→長期的な視点で、喫煙は推奨されず、早期に喫煙を避けることが酒さを含む健康リスク低減に重要とされる。

 前回紹介した研究では、喫煙が酒さから一時的に守るような効果があると示されていた。ヒフコNEWSの前回の記事では、1日当たりの喫煙本数が多いほど酒さの発症リスクが低下するという結果が示されていた。しかし、禁煙後には酒さのリスクが逆に上昇することも明らかになっている。

 現在の喫煙とは無関係である一方、喫煙本数が増えると酒さのリスクが低下するという結論で、一見すると喫煙は短期的には肌に良いように見えるが、長期的には肌に悪影響を及ぼす可能性があることを示していた。

 今回の論文によれば、喫煙が免疫系や血管に与える影響が、酒さの発症に関与している可能性が示されている。また、ニコチンによる血管収縮や免疫抑制が一時的に炎症を抑える一方で、禁煙するとその効果が失われ、酒さが悪化する可能性がある。このように、喫煙が酒さに与える影響は一見すると矛盾しているように見えるが、短期的な保護の効果と長期的な悪影響が絡み合っていると考えられる。

 研究グループは、「長期的な視点から見れば、喫煙は決して推奨されず、むしろ早期に喫煙を避けることが酒さを含む様々な健康リスクを低減するために重要」と結論付けている。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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